森博嗣『四季』文庫版の解説は読者から募集したものを森博嗣氏および講談社編集部が選定し、掲載するという今までにない試みのものでした。
(詳細はこちら)
フジモリも森博嗣作品の書評を数多く書いてある手前、「よし、いっちょ送ったろ!」と一念発起。「どうせ4作分送ってOKなら全採用を目指せ!」と間違ったモチベーションで4作分の書評を書き、投稿しました。
結果、『四季 秋』のみ採用されることになりましたが、没になった3作が不憫ですので(笑)フジモリが送った書評を一挙掲載してみることにしました。
「ああ、この4作から森博嗣は『四季 秋』の書評を選んだんだな」とお思いいただければ幸いです。ちなみに、採用作は原文ままで、改行以外修正はされていませんでした。
なお、ネタバレしないよう細心の注意を払っておりませんので未読の方は覚悟の上お読みください。
『四季 春』
【天才の萌芽、物語の始まり】
春は芽生えの季節。森博嗣『四季 春』では真賀田四季の幼少時代が描かれている。彼女の中に存在する兄・基志雄の一人称で語られるこの物語は、彼女の
「天才」が周囲に認知される過程を「最も近しい場所」から綴る。そして最も近しい存在である保護者・基志雄の存在を真賀田四季が超えたとき、彼女の長い長い物語が始まる。
春は芽生えの季節。森博嗣は天才の萌芽を余すところ無く書ききっている。
|
『四季 夏』
【夏の太陽のように】
森博嗣『四季 夏』では同氏の作品『すべてがFになる』に繋がる妃真加島の事件を真賀田四季の視点から描いている。瀬在丸紅子達との出逢いにより彼女は成長を遂げる。そして、その成長を具現する為の儀式。凄惨な事件を経てなお彼女の輝きが損なわれないのは、出会う人々すべてを受け入れ飲み込む、彼女の天才性と揺るぎない意志によるものである。輝いても輝いてもその光を失わない夏の太陽のように。
|
『四季 秋』
【物語の交差、物語の再構築】(採用作)
『四季 春』から続く真賀田四季サーガ。『四季 秋』では過去のシリーズの登場人物が交差し、そして過去の事件が再構築される。過去の物語ですら真賀田四季の物語を彩る伏線でしかなかった事実に読者は驚愕し、そして作者森博嗣の構成力に感嘆する。
『四季』によって、読者はこれまでの物語が真賀田四季という一人の天才を中心に紡がれていたという事実に否が応にも気付かされるであろう。
|
『四季 冬』
【季節は巡る】
冬。生命が眠りにつく季節。森博嗣『四季 冬』では真賀田四季の回想を軸に、彼女を取り巻く人々のその後とこれから彼女を取り巻くであろう人々の兆しが描かれている。残雪のように彼女の心に浮かび上がるのは犀川創平の姿と声。
「四季」という物語は彼女の失恋と再生の物語だったのではないだろうか。彼女は初めて孤独を意識し、そして孤独を超越する。彼女は長い眠りにつく。季節は巡り、新たな物語が始まる。
|
ちなみに、フジモリとしては夏>春>冬>秋の順にお気に入りです。まさか「秋」が採用されるとはなぁ、という想いはありますが(笑)、とりあえずこの場を借りて、フジモリの書評を読まれなおかつ採用していただいた森博嗣氏および講談社編集者の方々に深く御礼申し上げます。(ぺこり)
|