
| 週刊三軒茶屋 第56号 著作:フジモリ 公開日:2005/07/31 フジモリの中欧旅行記(プラハ編:その2) |
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フジモリ 「さて、フジモリの中欧旅行記も第4回を迎えました。プラハ編第2回になります」 御影 「いよいよ佳境やな」 フジモリ 「うん。非常に壮大な「聖地巡礼(=マンガ、小説の舞台となった地を探訪すること)」の旅だが、ようやく目的を達することができる」 メージャ 「浦沢直樹「MONSTER」をプラハまで持ち込むぐらいだもんなぁ。気合入ってるな」 フジモリ 「そうだね。では前回までのあらすじを」 舞奈 「了解。えーっと、フランシーヌの足取りを追い求めてプラハに降り立ったフジモリだが・・・」 メージャ 「・・・・・・待て!おかしいって!前回と目的違ってるって!」 舞奈 「え?プラハと言えば「からくりサーカス」よね」 フジモリ 「(舞奈に向かって)そうだよなぁ」 御影 「こらぁっ!!前回までの伏線はどないしたんや!」 舞奈 「そんなもん知らん」 メージャ 「うわ、言い切っちゃったよこの人!シリアスな雰囲気台無し!」 御影 「マンガ変わっとぉやん!」 フジモリ 「まあまあ。前ふりで長くなるのも困るんで、説明しとこうか。えーっと、プラハを舞台にしたマンガは浦沢直樹「MONSTER」だけではなく、藤田和日郎「からくりサーカス」もそうだ。白金、白銀の兄弟が錬金術の修行を行ない、フランシーヌに出会ったのがここプラハ。まあ、「MONSTER」と違って中世を舞台にしているので原作と同じ場所の探訪は無理だけど、なにかネタになればと思って原作を読み返してきた、というわけだ」 御影 「二重の目的があったんやね。てっきり前回までの壮大な伏線を無視した大規模なボケかと思ったわ」 舞奈 「え?違うの?」 フジモリ 「違うって!・・・というわけで、フジモリの中欧旅行記プラハ編第2回、スタートです」 |
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| <6日目> フジモリ 「「MONSTER」「からくりサーカス」の話は適宜補足するとして、フジモリの観光ルートに沿って案内したいと思う。まずは、スタヴォフスケー劇場(旧:プラハ国民劇場)に行きました。写真はこれ。このホールはモーツァルトのオペラ「ドン・ジョバンニ」の初演を行なったホールで、ホール脇に銅像がある。写真はこちら」 舞奈 「いきなり強敵登場ね。戦闘準備!」 御影 「敵ちゃうわ!ドラクエ引きずり過ぎやって!」 フジモリ 「いや、見るからにアンデッド系のモンスターだろ」 メージャ 「確かに死者だけどさぁ」 フジモリ 「ちなみにモンスターと「MONSTER」でかけてみました。エヘン」 メージャ 「なに勝ち誇ったような顔してるんだよ!今回はフジモリがボケに回るのかよ!」 フジモリ 「まあ、ワンパターンも飽きてきたから。さて、次に移動したのはミュシャ美術館。ミュシャについては前回も説明したけど、再度補足を。 チェコに生まれたミュシャは、ミュンヘン、パリにて美術を学んだ。彼の出世作は1885年、舞台女優サラ・ベルナールの芝居のために作成した「ジスモンダ」のポスターである。威厳に満ちた人物と、細部にわたる繊細な装飾からなるこの作品は、当時のパリにおいて大評判となり、一夜にして、彼のグラフィックデザイナーとしての地位を不動のものとした。またサラ・ベルナールにとっても、この「ジスモンダ」が、フランス演劇界の女王として君臨するきっかけとなった。その後もミュシャは「椿姫」、「メディア」、「ラ・プリューム」、「トスカ」など、サラ・ベルナールのポスターを制作している。 サラ・ベルナールの他、多くのポスターの制作をおこなっている。煙草用巻紙(JOB社)、シャンパン(モエ・エ・シャンドン社)、自転車(ウェイバリー自転車)などのポスターである。これらは女性と様式化された装飾の組み合わせが特徴的である。 ポスターに並び、装飾パネルも数多く手がけている。2点ないし4点のセットの連作が多く、いずれも女性の姿を用いて様々な寓意を表現している。代表的な作品には以下のようなものがある。 『ビザンティン風の頭部』-「ブルネット」、「ブロンド」(1897年) 『四芸術』-「詩」、「ダンス」、「絵画」、「音楽」(1898年) 『四つの宝石』-「アメジスト」、「エメラルド」、「トパーズ」、「ルビー」(1900年) 『四つの星』-「明けの明星」、「北極星」、「宵の明星」、「月」(1902年) 商業的に成功をおさめ、財政的な心配のなくなったミュシャは1910年、故国であるチェコに帰国し、20点の絵画から成る連作「スラブ叙事詩」を制作する。この一連の作品はスラブ民族の歴史を描いたものである。スメタナの組曲『わが祖国』を聴いたことで、構想を抱いたといわれ、完成まで20年を要している。また、この時期にはチェコ人の愛国心を喚起する多くの作品群やプラハ市庁舎のホール装飾等を手がけている。1918年にハプスブルク家が支配するオーストリア帝国が崩壊し、チェコスロバキア共和国が成立すると、新国家のために紙幣や切手、国章などのデザインを行った。 (以上、wikipediaより) プラハはミュシャの生誕地ということもあり、財団が経営する美術館がある。建屋自体は狭いものの、通常の美術館展示などにはない作品があるし、日本語のパンフレットもある。なにより、ミュシャグッズがお値打ち価格で手に入るので、ミュシャファンは立寄って損はないと思うよ」 御影 「ミュシャってとりわけ日本人に人気があるような気ぃすんねんけど」 フジモリ 「そうだね。「あ、ミュシャの影響受けてるな」と思う画風のイラストレーターもいるしね。しかし、ミュシャが日本人に好かれているのは、その画風だけではない!」 メージャ 「ほうほう」 フジモリ 「ミュシャは、今から1世紀以上前に「萌えキャラ」を生み出した偉大なる人物なのだ!」 舞奈 「な、なんだってー」 メージャ 「待て待て待て!ミュシャファンに怒られるぞ!なんでミュシャが「萌えキャラ」を産むんだよ!」 フジモリ 「いいところに気が付いたね。まあ、「萌えキャラ」というより「擬人化キャラ」なんだけど。「擬人化キャラ」というのは、「びんちょうタン」、「OSたん」はたまた「あふがにすタン」など、動物系・非人間キャラクターや無生物などの外見を人間化したキャラクタのこと。第4回日本オタク大賞にもなった「擬人化キャラ」、実はミュシャも同じことをしている。ミュシャの作品は、「四季(春、夏、秋、冬)」「芸術(詩、音楽、舞踏、絵画)」など、様々な事象を女性化しやものが多い。(他にも、宝石や花など枚挙にいとまないね)。これ、「擬人化キャラ」だと思わない?」 舞奈 「確かに。現在で言うなら、「春タン」「夏タン」とか「絵画タン」なわけね」 フジモリ 「その通り。つまり、我々の今通っている道は、ミュシャが100年前に通った道なのだ!」 舞奈 「な、なんだってー」 メージャ 「もういいって!まあ、言いたい事はわかるけどさぁ」 フジモリ 「ただ、現代の「擬人化キャラ」は少女として描かれることが多く「女性性」(←誤字にあらず)を極力排しているのに対し、ミュシャの「擬人化キャラ」は丸みを帯びた線で「女性」を強調されて描かれている」 舞奈 「でも、「ハロ」に似た円を背後に配することによって聖女を意識している部分もあるわよね。「女性性」と「聖人性」を同時に描くことにより、ギャップによる「萌え度」を生み出す意図があったということも考えられるわよ」 メージャ 「萌え談義はいいって!散々やり尽くしただろうが!」 フジモリ 「とにかく、ミュシャの綺麗な作品を見ながらそんなことを考えたりした。充実した時間を過ごすことができました」 御影 「んーで、次はどこ行ったん?」 フジモリ 「旧市街広場の仕掛け時計が有名なので、一旦広場に移動。ヤン・フスという聖人の像があるこの広場、漫画「MONSTER」でもこの広場の描写はあった。仕掛け時計の描写はこちら。ルンゲ警部がカフェでピルスナービールを飲んだのもここだね。漫画の場面そのままだったよ。で、仕掛け時計が動くのを待っていたんだけど・・・」 舞奈 「う、うわーっ!うわーっ!!」 メージャ 「なんだ、どうした!?」 舞奈 「あ、あれ!セグウェイだ!!!すごい!初めて見る!!」 御影 「何やねん、セグウェイって?」 フジモリ 「えーっと、アメリカの発明家ディーン・ケーメンが開発した電動立ち乗り二輪車。イメージとしてはホッピングに大きい二輪がついた感じかな。日本では道路交通法の関係で(公道を走る場合はナンバプレートとウインカーがいるらしい)全く見る機会はない。観光用に利用しているらしく団体で乗っていたんだ。いやあ、面白かったね」 舞奈 「うわ、ほんとに前に傾くだけで進んでる!あ、その場で回転した!すごいすごい!!」 メージャ 「プラハに来て一番食いついたのがセグウェイかよ!」 舞奈 「いやあ、いいもの見たわ。プラハでイチオシの観光スポットね!」 御影 「ここで「イチオシ」を使うんかい!しかも観光「スポット」ちゃうし!」 フジモリ 「まあまあ。それだけ衝撃だったってことで。で、仕掛け時計を見たあと(写真はこちら)、カレル橋を渡ってプラハ城に向かいました」 メージャ 「カレル橋では漫画「MONSTER」では○○○○○の息子である人形使いと出会うんだけど?」 フジモリ 「うん。カレル橋には漫画でも描写があった「似顔絵描き」や「マリオネットの路上パフォーマンス」などがたくさんいて、非常に賑やかだった。この橋は市街とプラハ城をつなぐメインとなる橋で、モルダウ(河)に架かっているんだ。舞奈、歌っていいよ」 舞奈 「ではお言葉に甘えまして。えへん。♪みぃ〜よアムールに波ぃ〜白くぅ〜」 メージャ 「わざとだろ!ぜったいわざとだろ!前々回スメタナの「モルダウ」歌ってただろうが!」 舞奈 「そんなものは知らん」 メージャ 「また言い切ったよこいつは!アムール河はロシア!この川はモルダウ!♪麗しき河よモルダウの〜、だろうが!」 舞奈 「ああ、それ2番」 メージャ 「2番じゃないって!曲全然違うって!曲どころか河自体違うって!」 フジモリ 「プラハ城の前に立寄ったのがストラホフ修道院。ここではウィーン国立図書館並みの豪華な図書館を見学しました」 メージャ 「聞けよ!人の話!」 舞奈 「まだ半分も進んでないから巻いていかなきゃね。長すぎるわよ」 メージャ 「お前らのせいだって!」 フジモリ 「この図書館、写真撮影にはお金がかかります(名目は図書館の維持費)。しかし写真を撮りたくなるほどの荘厳さ、豪華さがある。天井には宇宙が描かれ、並んでいる書物は経てきた時代を感じさせる。フジモリにとって圧倒され、かつ心安らぐ空間だったね」 御影 「んーで、いよいよプラハ城やね」 フジモリ 「うん。前日の夜もプラハ城を巡ったけど、昼はまた別の趣きがあるね。再び聖ヴィート大聖堂。今回は中を見学した。ミュシャが作成したステンドグラスもあり、観るところは多い。プラハ城は観光スポットがブロックによって分かれていて、どのブロックを周るかによって入場料が異なるんだ。事前にどこを見たいかチェックしておくとチケット売り場でまごつかずに済むよ」 御影 「フジモリは他にどこに行ったん?」 フジモリ 「うん。「黄金小路」というところを見てきた。写真はこちら」 舞奈 「え!?ひょっとして錬金術関連?」 フジモリ 「そう。そのものずばりでフジモリもびっくりした。中世プラハでは錬金術の研究が盛んで、「黄金小路」という小道沿いにある建物が錬金術師の住居だったそうだ。もっとも、実際に研究していたのは城内の火薬庫であり、そこには当時の錬金術師たちの使った器具が展示されている、そうだ」 メージャ 「「そうだ」ってなんだよ。ここまで来たんだから当然見に行ったんだろ?」 フジモリ 「うう。火薬庫の2階から上は軍事博物館になっていたんだけど、錬金関連の展示が閉まっていて見ることができなかったんだ。これがプラハ旅行で一番の心残り。ただ、漫画「からくりサーカス」の舞台と重ね合わせることができ、意外な収穫だったね」 御影 「黄金小路にはカフカの家もあったんやんね」 メージャ 「カフカってフランツ・カフカ?」 舞奈 「そう。「変身」で有名なフランツ・カフカはこの黄金小路に住んでいたみたい。先ほどの写真の青い家です。(カフカ記念館は市街にあります)」 御影 「それってカフカも錬金術師やってこと?」 メージャ 「いや、さすがに違・・・」 舞奈 「そうね。「変身」なんて案外実体験をモチーフにしてたりして。人間とホムンクルスとの合成。イメージはこちら」 メージャ 「錬金違いだって!プラハと関係なくなってるから!」 御影 「次回はドイツ編をお送りします」 メージャ 「それも違う錬金!エドがいるところ!」 フジモリ 「まあ、フジモリの観光は「MONSTER」「からくりサーカス」と漫画が原動力だったけど、どうせ旅するんだったらその地を舞台にした映画やマンガ、小説などを吸収すれば何倍も楽しめる、ということがわかったよ。プラハ城を堪能し、宿に戻りました。疲れのためそのままバタンキュウ、というわけで、今回はこれで終了です。次回は完結編。プラハからウィーンに戻り、そして帰国します」 御影 「旅行記も次で終了かぁ。ほんま、長かったなぁ」 舞奈 「はたして、そううまくいくかしらね?」 メージャ 「無駄に思わせぶりなナレーション入れるなって!無事に帰ってきたから旅行記書いてるんだろうが!」 舞奈 「それは、新たな旅の序章でしかなかった・・・」 メージャ 「新たな旅なんてしてないって!」 フジモリ 「請う!ご期待!」 メージャ 「期待させるなぁっっ!!」 |