週刊三軒茶屋 第46号 著作:フジモリ 公開日:2005/03/28

「いま、会いにゆきます」読みましたので、そのお話を。(後編)

メージャ 「メージャです」

舞奈 「舞奈です」

御影 「御影です」

舞奈 「3人そろって!」

御影舞奈 「「キレンジャー!」」

舞奈 「カレー大好き!」

メージャ 「初っ端から意味不明のツカミをするなぁっ!ゴレンジャーは5人だから3人合わせてもなんにもならないし!キレンジャーは単品だから!」

舞奈 「説明的突っ込みありがとぉ〜。芸風が確立してきたわね」

メージャ 「いいって!話進めるよ!・・・さて、本題に入る前に終わってしまった前回の失敗を踏まえ、今回はサクサク進めることにします。今回の週刊さんちゃは、市川拓司の「いま、会いにゆきます」の書評、というか感想です」

舞奈 「では、早速なんだけど、シチュエーションはオーソドックスよね」

御影 「そやね。死んだ妻が再び現れて、また去っていくっちゅう筋は、それこそ「黄泉がえり」を彷彿とさせるわぁ」

舞奈 「でも、「いま、会いにゆきます」では再会した妻・澪が記憶を失っている。主人公「巧」は、彼女に、彼女と出会ってから今までの思い出を語りながら、記憶を取り戻させようとするのね」

御影 「その思い出も、ごく普通のものやね。例えば、巧と澪が初めて手をつなぐシーン。

「じゃあ、ぼくのポケットを貸してあげるよ」
きみは隣に立つぼくの顔を見上げ、それから視線を戻し、また自分の指に息を吹きかけた。逡巡を思わせる何秒かの沈黙があり、それからきみは言った。
「じゃあ、おじゃまさせてもらいます」
そしてぼくのピーコートのポケットに左手をさし入れた。(p176)

 みたいに読者にノスタルジィを喚起し甘酸っぱい思い出を「蘇らせる」。具体的ながらも一般性を内包しているんやんね。このへんの匙加減がうまいわぁ」

舞奈 「「死んだ妻が現れる」という非現実的なシチュエーションながら、きわめて身近な、そして普通の恋愛小説になってるのよね。それこそ、読者が感情移入できるぐらいに。これを読みながら、読者は自身と照らし合わせることができる。彼女が再び去っていき、主人公だけでなく、読者も「喪失感」を得るわけ。「自分の大切な人が死んでしまったら?そしてその人が再び現れたら?」という問いを主人公とともに考えさせる。うまいわねぇ」

メージャ 「え?え?すごく普通に進められてるけど」

御影 「え?悪いん?」

メージャ 「悪いわけじゃないが。前編のぐだぐださはなんだったんだろうと思って」

舞奈 「あ、あれは、「書評界初の前後編書評!ただし前編は前ふりのみ!」という書評を成し遂げようと思って」

御影 「巫女子ちゃん風やね」

メージャ 「意味ないよ!・・・あ、巫女子ちゃんっていうのは葵井巫女子といって、西尾維新「クビシメロマンチスト」に出てくる、「ラジオ体操第2!ただし時間がないのでヒゲダンス!みたいな!」(p46)とかいった言い回しを得意とするキャラのことね」

舞奈 「ほんと、律儀に説明してるわね」

御影 「ほんま、新しい突っ込みスタイルやねぇ」

メージャ 「いや、感心されても困るんだけど。じゃあ、このいい雰囲気のまま感想に戻ろうか。舞奈や御影はこの本読んで自身と照らし合わせたりした?」

舞奈 「そうね。私も大切な人を失い、再び現れ、そして再び去っていった、その思い出と重なり合って、涙を流したわ」

メージャ 「え?そうだったんだ?・・・ごめん、ちょっと込み入ったこと聞いちゃったな」

舞奈 「(少し目を潤ませながら)いや、いいわ。そう、あの人のいった言葉が今でも心に残ってる・・・」

メージャ 「(もらい泣きをしながら)なんて言葉?」

舞奈 「うん。

「ジョルノ・・・おれは・・・生き返ったんだ。
(中略)
これでいい。気にするな・・・みんなによろしくと言っておいてくれ・・・」

そして、彼が天に召されていく・・・。ぐす、ひっく(泣き出す)」

メージャ 「ブチャラティかよ!それ、荒木飛呂彦「ジョジョの奇妙な冒険」第5部のブチャラティのセリフ(63巻p42)じゃねえかよ!確かに死んで蘇ってまた去っていったけど、それ、マンガのことだって!」

御影 「ぐすっ。シーザーぁ」

メージャ 「それ第2部のシーザー・ツェペリ!どっちも死んでるけどマンガでしょ!」

舞奈 「まあ、所詮私たちは運命の奴隷だもんねぇ」

御影 「んなこと言ったらあかん!泥を見ぃへんで、星を見なあかん!」

舞奈 「そうね。遠く輝く夜空の星に僕らの願いが届くとき、銀河連邦はるかに超えて光とともにやってくるのね」

御影 「今だ!変身!」

舞奈 「♪ふぅ〜たりがひとぉり〜ばろろぉ〜おむぅ〜」

御影 「それは「バロム1」やろが!もぉええわ!」

舞奈御影 「「どうも、ありがとうございました〜」」

メージャ 「あれ?どっかで見た光景・・・ってコラぁっ!またボケたおして果てしなくずれていってるから!」

御影 「え?まあ、これがウチらの芸風やし」

舞奈 「芸人で言うと「笑い飯」タイプ?」

御影 「ああ、あの人たちもボケツッコミ兼用やんね」

メージャ 「またグダグダになってってるって!ちゃんと整理して突っ込むから!まず、「運命の奴隷」っていうのはジョジョの奇妙な冒険第5部のエピソード「ローリング・ストーン(ズ)」から、「泥と星」は同じくジョジョの冒頭の言葉、「二人の囚人が鉄格子の窓から外を眺めたとさ。一人は泥を見た。一人は星を見た。」から!で、「遠く輝く〜」のフレーズは「ウルトラマンA」の主題歌からで、主人公「北斗と南」の二人でウルトラマンAになるから、「健太郎と猛」の二人で変身する「バロム1(さいとうたかをのマンガ。実写化された)」とボケたんだろ!・・・ああ、疲れた」

舞奈 「お疲れぇ〜(ハイタッチ)」

御影 「いぇ〜い(ハイタッチを返す)」

メージャ 「お前らでするのかよ!」

舞奈 「と、いい具合にグダグダになったところで、感想にもどりましょうか」

御影 「まあ、ブチャラティの話はおいといて、読者が自身の思い出と重ね合わせるというポイントは、売れる(=多くの人から共感を得られる)要素やんね」

舞奈 「そうね。思うんだけど、その作品が売れる、ヒットする要素として、「シンプル」っていうのがあると思うの。何故かって言うと、「他人に伝えやすい(伝達性)」「自身と重ねやすい(抽象性)」「話題にしやすい(議題性)」を持っているから。例えば、大ヒットした映画「タイタニック」。筋は簡単。「沈む巨大客船タイタニックを舞台にした恋人同士の話」これで充分相手に伝わるわね。で、「自分が乗っていたらどうするか?」という問いを重ねあわせ、それをネタに他人と会話ができる。セカチュウもそうよね」

御影 「もちろん、それだけやないねんけどね」

舞奈 「まあね。で、「いま、会いにゆきます」なんだけど、筋はシンプルながらも、恋人同士の思い出という部分に卑近な具体性を持たせている。しかし、「自分だったらどうするか?」の問いをネタに他人と会話できるだけの抽象性、話題性をもっている。「泣かせ」に徹していない分、わりかし良かったかな、と思ってしまったわ」

メージャ 「うんうん」

舞奈 「不覚にも」

メージャ 「不覚かよ!」

舞奈 「大ヒット作品で感動するって言うのは私のアイデンティティが許さないの。そっちはメージャ専門」

メージャ 「オレは「ロード・オブ・ザ・リング」観て号泣したけど」

舞奈 「だから、そういう部分はメージャ担当だから。とにかく、読む人は素直に自分の甘酸っぱい思い出とかぶらせて感動してみてください」

御影 「フジモリみたいに甘酸っぱい思い出のない人はぁ?」

舞奈 「その場合、ノンブル先生のエピソードで感動してください」

メージャ 「確かに。フジモリも「その部分が一番うるっときた」って言ってたからなぁ」

舞奈 「とにかく、罰ゲームとして読んだけど、いろんなことを考えさせられたんで、読んで損はなかったわね。それが、今回の感想かしら」




御影 「まあ、週刊さんちゃ2回分のネタになったし、元は取れたなぁ。たまにはこういうのもええわぁ」

メージャ 「せっかく純な恋愛小説読んだんだから、そんな不純なこと言わないの」

御影 「純・・・純・・・」

舞奈 「そう呟いた御影の顔は、ちょっと優しかったわけで。富良野は、まだまだ寒いわけで」

御影 「ほたるぅ〜(田中邦衛風に)♪る〜る〜るるる〜」

舞奈 「それは「キャッ党忍伝べらんめい」でしょ!」

御影 「「キャット」しか合ってへんがな!もぉええわ!」

舞奈御影 「「どうも、ありがとうございました〜」」

メージャ 「一回死んで生まれ変わっても、こいつらとシンプルで純な書評ができない気がするよ・・・」



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