週刊三軒茶屋 第44号 著作:たけい 公開日:2005/03/13

音評 交響曲「イース」を聴いて (再録)

1988年、記録的な大ヒットを飛ばしたゲームがある。「ドラゴンクエスト3」である。当時は、コンビニによる予約販売なんてまだ無かった頃、しかも平日に販売を開始したものだから、さあ大変です。学校や会社をさぼったり、買ったゲームを強奪されたりと社会問題にまで発展しました。

そして、このゲームのサントラ集「交響組曲 ドラゴンクエスト3」も同様に話題になった。今でこそ、ゲームのBGMとしてフルオーケストラや生歌などが、当たり前のように組み込まれているが、当時のそれは実に粗末なものだった。まじめな話、今の携帯電話の着メロにも劣るものだったのである。

そんな中にあって、ゲーム音楽というジャンルを立ち上げたのが、このCDではないのだろうか?指揮はすぎやまこういち自身。オーケストラはN響(NHK交響楽団)と実に力が入っている。ゲーム音楽の演奏にプロのオーケストラを使用したことに驚きを感じたのを覚えている。

しかし、今回はあえてこのドラクエ3のサントラは取り上げない。取り上げるのは、交響曲「イース」である。同じく1988年の作品だが、たけいとしてはこちらの方がお気に入りである。

このCD、まず目につくのが編曲者である。なんと、あの羽田健太郎氏なのである。これだけ聞いても、この当時いかにゲーム音楽というジャンルに関心が集まり始めていたかを知ることができる。羽田健太郎といえば、僕は結構「タモリの音楽は世界だ」という番組が好きだった。多分このコラムを読んでいる10人に1人ぐらいは「そうそう」と言ってくれていることでしょう。

このCDには羽田氏のコラムが掲載されています。ちょっと抜粋すると、

(中略)
まだ、若い方々も、ゲーム音楽をきっかけにこういうクラッシク音楽に触れる機会が多くなり、音楽の素晴らしさを少しでも感じ取って頂ければと思います。そうい言った意味でもこれからこのジャンルでどんどん素晴らしい音楽が生まれてくることを期待しています。

実に先見の明があるコメントです。ゲーム音楽はもやはゲームのおまけではなく、音楽の1ジャンルとして確固たる地位を築いています。

さて、演奏団体はというと「キング・シンフォニック・オーケストラ」とある。うーん知らない(笑)。まあ、それもそのはずで、演奏団体紹介を読むと、まあ早い話がこのCDを作るために寄せ集められた混成部隊なのである。だからこそ、このCDが面白いのかもしれない。なんと言って良いのか分からないが、このCDは良い意味で統一感がないのである。つまり、各パートごとが実に個性的なのである。

各楽章の個人的な聴きドコロをまとめてみました。

一楽章
「草原のテーマ」 … ラッパが好き勝手に吹いているのが面白い。たまに指が回ってないがそこはご愛嬌。

二楽章
「廃坑」…数あるゲームミュージックの中で、これほど「廃坑」にマッチする曲はないと思う。オドロオドロしさが秀逸。

三楽章
「ランスの村」…フルートの独壇場。演奏者のブレスまで聞こえてくるほどの熱演。

四楽章
「ノルティアの氷壁」…ナイスアレンジ!かっこいいです。ただ、さすがにラッパがバテて来ていて、気合で吹いているさまがひしひしと伝わってくる。

とにかく、ドラクエのサントラには無い味がここにはあるのである。


1.第1楽章(イースより)
・FEENA
・FIRST STEP TOWARDS WARS
・PALACE

2.第2楽章(同)
・PALACE OF DESTRUCTION
・BEAT OF TERROR
・THE MORNING GROW
3.第3楽章(イース2より)
・TOO FULL WITH LOVE
・PALACE OF SALMON
4.第4楽章(同)
・TOO MAKE THE END OF BATTLE
・SUBTERRANEAN CANAL
・LILIA
・ICE RIDGE OF NOLTIA



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