週刊三軒茶屋 第42号 公開日:2005/01/23

『ライトノベル☆めった斬り!』 プチ書評

号外さんちゃから再録です。
大森望・三村美衣『ライトノベル☆めった斬り!』(太田出版)をアイヨシ・フジモリの二人でそれぞれプチ書評しましたので、まとめてみました。

参考サイト : ライトノベル☆めった斬り! Official Site


アイヨシ(めった斬りブックガイド既読調査 : 既読数31)

『ライトノベル☆めった斬り!』(大森望・三村美衣/太田出版)読了。

ライトノベルについての書評&対談本。別にめった斬ってはいません。作品の評価については大森・三村両氏の主観が入りまくりで面白くて、ライトノベル史的な分析はしっかりなされているので、トリビア欲も満たされます。

ってゆーか、想像以上に分からないことが多くって、それがむしろ安心です。逆に知ってることがあると不安になるくらいです。これからは、そういう知識についてはこの本のせいにできます(笑)。

以下、雑感。

二番手キャラ好きですが、『ベルセルク』でジュドー好き、というのが正しい例えだと思います(笑)。「侘び・寂び・萌え」という冗談は知らなかったので笑いました。「まだ十三巻しか出ていないので追いつくのは簡単」(p142)って、全然簡単じゃないよ。そんなの漫画でも大変だよ。そういう意味では、ライトノベルってやっぱり特殊だと思います。
「《ドクロちゃん》が究極かと思ったら、あれは出発点だった」(p210)というのは絶対に間違った方向性だと思います。そういうのを迷走って言うんだよ。ま、いろいろあるのが魅力ではありますが。


フジモリ(めった斬りブックガイド既読調査 : 既読数23)

2004年の一大ブームだった、ライトノベルの解説書。
今年はweb版「このライトノベルがすごい!(現:『ライトノベル・ファンパーティー』」にはじまり、良質なライトノベルを「紹介」し、ライトノベルとはなんぞやということを「語る」サイトや本が百花繚乱した年だった。

で、今年出たライトノベル関連本でも決定版なのが、この「ライトノベル☆めった斬り!」。大森望と三村美衣との対談形式によるライトノベルの歴史というパートと、ライトノベル100シリーズの書評というパートに分かれている。二人とも驚異的な読書量で、ライトノベルはもちろん古今東西のSF、ミステリィを例に挙げ、紹介する本の「面白さ」を語っている。対談自体は二人の主観的な意見で進められているが、こういった「外からの視点」っていうのは、ライトノベルというジャンルにとって斬新な観点だったと思う。

web版「このライトノベルがすごい!」に始まるライトノベルの「紹介」「語り」のムーブメントは、いわば読者の視点、「内からの視点」だった。実際、ライトノベルが「大人が子供に向かって書くのではなく、若い作家が同時代感覚を共有する(気分的に同世代の)若い読者に向かって書いている」(p5)という性質を持っている以上、この流れは必然的なものだと思うが、普段ライトノベルを読まない人、「ライトノベルってなに?」っていう人たちに、「ライトノベルってこんなに面白いんだよ!」と伝えるには主観性が強すぎてしまい、やや偏った論旨になってしまうことは否めない。

しかも、「人に薦める本」と「自分が面白かった本」、さらに言うと「売れている本」とではどうしてもギャップが出てしまう。さまざまなところで企画されている「ライトノベルランキング」の結果が多種多様なのも、これに起因しているんじゃないか、と思っている。

「内なる視点」から語られるライトノベルっていうのは、どうしても「ライトノベル既読者」、つまり自分たちの「同朋」に向かって語られるものだ。じゃあ、これからライトノベルを読む人に対してどんな本を薦めたら良いの?ってなったときに、他のジャンル(SF、ミステリィ、恋愛小説、漫画、アニメなどなど)を踏まえて、「外からの視点」で「面白い」と薦めているのがこの本なのかな、と思った。

とまあ、一席ぶったところで、雑感を。

誤植が多いのがご愛嬌だけど、やはりライトノベル史は参考になった。世代でいうなら、「ロードス以前の世代」「ロードス世代」「スレイヤーズ世代」「スレイヤーズ以後の世代」の4つかな。で、今「語って」いる世代は「ロードス世代」が多いように思う(フジモリ含む)。富士見ミステリー文庫で本格といったら新城カズマ「浪漫探偵」シリーズを抜きに語ったらいかんでしょう。

予備リストには挙がってたけど、やっぱり「ザンヤルマ」について解説してほしかったなぁ。「落ちモノ系」という名称は初めて知りました。ってか、「ドラえもん型」はほとんど「落ちモノ(次々に異世界からの住人が現れる)」だと思うんだけど。。。

読みたくなった本は、「タイム・リープ」「塩の街」「空の中」。4つの頂点が「マリみて」「ドクロちゃん」「マルドゥック」、「D−17」ねぇ。マトリクスにすると、「ハード」「ソフト」「萌え」「エロ」って感じですかね。

ライトノベル☆めった斬り!

大森 望(著),三村 美衣(著)
単行本: 260p
サイズ: 19(cm)
出版社: 太田出版
ISBN: 4872339045



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