週刊三軒茶屋 第28号 著作:フジモリ 公開日:2004/06/06

ライトノベル論について、あれこれ

 2003年度に発売されたライトノベルから、参加者がオススメを投票形式で紹介するサイト、「このライトノベルがすごい!」で、集計結果が発表されました。

小説投票数別ランキング総合

1位 イリヤの空、UFOの夏 その4 (電撃文庫/秋山瑞人) 51票
2位 七姫物語 第2章 世界のかたち (電撃文庫/高野和) 23票
3位  撲殺天使ドクロちゃん(電撃文庫/おかゆまさき) 22票
3位 AHEADシリーズ 終わりのクロニクル 1<上>(電撃文庫/川上稔) 22票
5位 マルドゥック・スクランブル The Third Exhaust-排気(ハヤカワJA文庫/冲方丁) 21票
6位 きみとぼくの壊れた世界(講談社ノベルス/西尾維新) 20票
7位 バッカーノ! 1931 The grand punk railroad 特急編(電撃文庫/成田良吾) 19票
7位 ヒトクイマジカル 殺戮奇術の匂宮兄妹(講談社ノベルス/西尾維新) 19票
9位 銀盤カレイドスコープ vol.2 フリー・プログラム:
    Winner takes all?(スーパーダッシュ文庫/海原零) 16票
10位 AHEADシリーズ 終わりのクロニクル 2<下>(電撃文庫/川上稔) 14票
10位 Dクラッカーズ7−2 王国−a boy &a girl− 14票
10位 涼宮ハルヒの憂鬱 14票


 この結果についてアイヨシがコメントとしたことから、しばらくの間「号外さんちゃ」にてフジモリ、アイヨシの「ライトノベル論」が展開されました。
以下はその記録であり、読者の方の「ライトノベルとは何ぞや?」という問いのご参考になれば幸いです。

2004年05月13日(木) 号外さんちゃ434号@アイヨシ

 「このライトノベルがすごい!」の順位が発表されてます。
ランキング10位中、アイヨシが既読なのは1位のイリヤ、2位の七姫、5位のマルドゥック、6位のきみとぼく、7位のヒトクイマジカル
の5冊だけなので10冊の順位を総合的に評価することはできません。
が、微妙です。

この5冊をアイヨシ的に順位付けしますと、

1位 マルドゥック・スクランブル The Third Exhaust-排気
  (ハヤカワJA文庫/冲方丁) 
2位 イリヤの空、UFOの夏 その4 (電撃文庫/秋山瑞人) 
3位 ヒトクイマジカル 殺戮奇術の匂宮兄妹(講談社ノベルス/西尾維新)  
4位 きみとぼくの壊れた世界(講談社ノベルス/西尾維新)  
5位 七姫物語 第2章 世界のかたち (電撃文庫/高野和)

だと思います。ほら微妙(笑)。
ちなみに、2位と3位の間にはかなりの差があります。
3〜5位は団子です。でも七姫は少し落ちるかな。悪くはないんですが。
1位と2位はホントに僅かなんですけどもハッキリとした差があります。
あくまで個人的な評価ですけどね。

で、感想を読んでて気になったのは、イリヤの感想には時々、「ライトノベルらしくない終わり方」といった感じの、マルドゥックには「ライトノベルとは言えないが」といったニュアンスの表記が見られることです。
そんなわけで、ライトノベルって何じゃらほい? と思うのですが、
抽象的な概念としては、ジュブナイル(子供向け小説)と一般小説の中間、中高生向けの小説と定義されるのでしょう。
もうちょっと内容を具体的に詰めてみますと、

まず、中高生向けなので、それ以上の、大学レベルとかの知識が要求されるようなのはダメだと思います…条件その1。
もっとも、中高生にも分かりやすいような配慮がなされていれば、その結果として学問レベルが高くなってもそれは問題ないと思います。

それと、忠実に映画化しちゃったらR指定されちゃうようなエログロ描写があるのはまずダメでしょう…条件その2。

あと、ジュブナイルは子供が乱暴に扱っても壊れないように、とか、文字が大きくないとダメ、とかの理由があるのでしょうが、
ある程度の立派な装丁の本として売られていることが多いです。
このことは、ジュブナイルは大人が子供に与える小説であることを意味していると思います。大人が買うから、高くても良いのです。
しかし、ライトノベルはそれより一歩進んで、子供が自発的に選んで買えることが必要だと思います。
つまり、安価であること…条件その3。
したがって、文庫が理想。
新書・ノベルズでも1,000円以下ならセーフだと思います。

以上の私的3条件を踏まえて改めて上記5冊を検討してみますと、マルドゥックがライトノベルじゃないと言われるのには激しく納得。
条件1で微妙なのに加えまして、明らかに条件2に該当しちゃってます。
エロくてグロいし。だからどうした。面白きゃいいんです。
きみとぼくはエロで微妙。でも、いまどきこれをアウトにするのも野暮か。
セーフということで(笑)。
ヒトクイマジカルはシリーズ全体としてのイメージが強すぎて評価不能というのが本音です。どんな風に終わるのか想像つかないし。
最後のバトルは好きです。主人公カッコいいって初めて思ったかも。
でも、ちょっとグロいかも(笑)。
七姫はライトノベルとして王道だと思います。
特に2巻は、主人公のカラスミがそれなりに祭り上げられて、それなりに大変な目にあって、当事者にして傍観者として悲惨な乱世の中を生き抜いていく姿が、まだシリーズ途中なので保留の箇所も多いですが、何となく今の日本の状況のオマージュみたいで高評価です。
(にもかかわらず5作中最下位評価だったりします。)
問題はイリヤです。
上記3条件で検討しますと、イリヤは間違いなくライトノベルです。
なのに、ライトノベルらしくない終わり方って言われてます。
思うに、4巻の著者近影らしきものの下にあるコメント、ハッピーかアンハッピーか論争の投影なんだと思います。
アンハッピー⇒ヘビー⇒ライトじゃないよ! ってことじゃないかと。
でも、ライトノベルが全部ハッピーエンドだったら、胡散臭すぎて、
中高生の信頼を失っちゃうと思います(←それはお前だろ)。
だから、アンハッピーでも全然OKです。
(この後、「イリア」の結末について語っていますが、それはまた別の機会に・・・)

2004年05月13日(木) 号外さんちゃ434.1号@フジモリ

あれ?ドクロちゃんは?(笑)>アイヨシ
さて、アイヨシからライトノベルとはなんぞやとのお話がありましたが、運良くというか悪くというか、原稿は書いてあとはたけいにわたすだけ、というアップ待ちの書評で「クビキリサイクル」「クビシメロマンチスト」「イリヤの空、UFOの夏(1)」をとりあげてます。

以下、書評「クビシメロマンチスト」より抜粋。

御影 「そーいや、あんた、「クビキリサイクル」の書評で、「この小説はミステリィの手法をキャラクタ小説にぶちこんどる」、ゆぅとったやんな。キャラクタ小説ってなんなん?」

フジモリ 「うん。まあ、厳密な定義はないんだけど、大塚英志なんかは著書「キャラクター小説の作り方」で  1.自然主義的リアリズムによる小説ではなく、アニメやコミックのような全く別種の原理の上に成立している。  2.「作者としての私」は存在せず、「キャラクター」という生身ではないものの中に「私」が宿っている。  と定義している(p28)」

御影 「わかったよぉなわからんよぉな」

フジモリ 「うーん。つまり、「小説のイメージを実写ではなくアニメ(2次元)として脳内にイメージしやすい小説」ってのが「キャラクター小説」なんじゃないかなと思うんだけど」

御影 「・・・それってなんかめっちゃ異論を受けそうなんやけど」

フジモリ 「あくまでフジモリの定義だけどね。つまり、人によって森博嗣の小説をキャラクタ小説と思う人もいるだろうし、「マリア様が見てる」を脳内で実写版でイメージすればキャラクタ小説ではない。まあ、アニメ調の挿絵が脳内のイメージを補填するし、あながち間違いじゃないと思うんだけどね」

御影 「うう。なんか今回いろいろすごいこと言っとぉ気がすんねんけど」

フジモリ 「気にするな。で、西尾維新だが、前作でも言ったけど、この人の手法はキャラクタ小説のそれだ。個性的な登場人物は、やや非現実的なところがあるし、口調、容姿、名前など、マンガやアニメ、ゲーム(特に美少女ゲーム)寄りだと思う。まあ、だからこそ、今までミステリィに触れたことのないライトノベル読者層を惹きつけているんだと思うけどね」 で、最初の話。 ライトノベルとは何か?という定義ですが、2種類のアプローチがありまして、 1. 中高生を読者層(ターゲット)とした小説 2. 中高生を読者層(ターゲット)としている文庫から発売された小説 なのかな、と。 キャラクタ小説は1に含まれますが、現在の主流は「ライトノベル=キャラクタ小説」なのではないか、と思っています。 ちなみに、乙一の「きみにしか聞こえない」は2にあてはまるのでライトノベルですが、同じ短編が収録されていても、ハードカバーになった「失はれる物語」はライトノベルではありません。 どんなもんでしょ。」

2004年05月14日(金) 号外さんちゃ434.3号@アイヨシ

>フジモリ ドクロちゃんはフジモリから借りた1巻しか読んでないのです(笑)。

で、ライトノベル論ですが、反論する気はあんまりないです(笑)。 アイヨシがライトノベルとして掲げた3つの条件を簡潔に再掲しますと、

(1)中高生の知識で読めること
(2)性的・暴力的に過剰な表現がないこと
(3)安価なこと

ですが、これだと「中高生向けの小説」としては妥当かも知れませんが、実際のところ、この条件だとほとんどの小説が該当してしまうため、今の「ライトノベル」の現状・現象を説明することができてません。

そんなわけで、さらに踏み込んだ条件付けが必要になりますが、その場合に、ライトノベル=キャラクター小説という前提に対して、基本的にはそのとおりだと思います。 (気持ちとしてはライトノベル≒キャラクター小説) マンガ的・アニメ的な表紙絵・挿絵でデコレートされた小説が「ライトノベル」と言われていることは間違いないわけですから。

じゃあ、キャラクター小説って何?

となります。 まだまだ検討不足で、飛躍があり得ることを承知で考えてみましたが、 「登場人物が空想のものであることを理解しつつ、そのイメージを、 広い意味で楽しむ小説」 って感じでしょうか…?

良く分かりませんが。 この定義のもとにたどり着く極論ですが、 最古にして最も典型的な「キャラクター」は「神」だと思います。

で、信仰心が「萌え」で、神に萌えている人が信者だと…。 やばくなってきましたね(オドオド)。 でも、「ライトノベル 定義」でググると2700件以上ヒットしますから、これくらいの意見は出てますよね。だから大丈夫。きっと。多分…。

2004年05月15日(土) 号外さんちゃ434.4号@フジモリ

ライトノベル論。

アイヨシの定義
(1)中高生の知識で読めること
(2)性的・暴力的に過剰な表現がないこと
(3)安価なこと

ですが、まあ、アイヨシも言っていますが、これは「ジュニア向け小説」であって、微妙にライトノベルと違う気がするんですよね。この定義で行くと星新一がライトノベルになって(これはこれでいいのか?)、ドクロちゃんが非ライトノベルになってしまう(笑)。

ライトノベルってのはいわゆる「パッケージ」であって、例えば怪盗ルパンを電撃文庫から出したら立派なライトノベルになってしまうわけで。
そういう意味で、講談社ノベルスから出ているますがまさしく「キャラクタ小説」なので、西尾維新は「ライトノベル」という扱いを受けているのではないでしょうか。(よく、京極作品などを「キャラクタ小説」とする書評があったりしますが、これは「キャラ萌え小説」、もっと正確に言うと「一部の読者にとってはキャラ萌え小説として楽しめる小説」なだけで、フジモリはキャラクタ小説とは異なると考えます)

一方で、「カラフル」なんかは値段は高く、キャラクタ小説ではないですが、ライトノベルと言っていいと思います。 こういう、キャラ萌えに頼らない(キャラクタ小説ではない)ライトノベルの発掘を今後していきたいなぁ、とか思っています。

で、アイヨシの話を野暮を承知で補足しますと、キャラクタ小説という概念から考えると、「聖書」というよりはむしろ「古事記」、「ギリシャ神話」あたりかな、と思ったり。ただし、キャラクタ小説との大きな違いは、「キャラクタ小説は架空のキャラクタに自己を反映させるが、神話は異なる」という点でしょうか。

キャラクタ小説では三人称(=神の視点)よりも一人称が多いですが、これも、「自己の投影」という考えからすればうなずけます。 で、こういったことをふまえ、アイヨシの疑問の発端となった、、「このラベ」のなかの「ライトノベルらしくない・・・」といった発言なのですが、そもそもライトノベルというジャンルに対し、「ゲームやマンガのノベライズ、あるいはそれに準じたもので、基本的に予定調和の大団円で終わるもの」というちょっと軽く見られているという風潮があるのだと思います。実際そういった作品は多いですが、そういった世間一般のあまりよくないイメージに対し、ライトノベルというジャンルに分類されている小説でも、ヘビィなストーリィ、しっかりと練られた世界観のものもある、という意味で、そういう表現を使ったのでは、と善意的に解釈してみます(笑)。

まあ、皮肉にもそういう「ライトノベルらしくない作品」がライトノベルのなかで高い評価を得ている、という状況には、苦笑せざるを得ませんが。

2004年05月17日(月) 号外さんちゃ434.6号@アイヨシ

ども。神をキャラ扱いしたアイヨシです(笑)。
でも、キャラを神扱いするよりはましかと…
新興宗教のほとんどはキャラの神化だと思うんですが…
…またヤバイ方向に行く前にまとめましょう。
(でも、神とキャラの関係ってのは、創作ネタとしても評論ネタとしても面白そうだなぁ…。)

ジュニア向け小説とキャラクター小説とライトノベルの関係は今後の課題といったところでしょうか。
三つの概念を円にして、三原色みたいに重ね合わせる形で図式化して、どこにどの作品が該当するか、みたいな方法でつめていけば、それぞれの立場とか、概念自体もハッキリすると思います。…誰かやってくれないかなぁ…(コラコラ)。

あと、これはフォローしとかなきゃと思うことをいくつか。
ジャンル論をする上で忘れちゃいけないと思ってるのは、ジャンルより作品単体の方が大事だということです。ジャンルっていうのはひとつの基準・価値観であって、その価値観からはずれてるからといってその作品の持つ他の価値まで否定するようなことがあってはならないということです。ただ、人によってこだわりたい基準があって、それがミステリだったりSFだったりする、ということだと思ってます。

そんなわけで、そもそもアイヨシが勝手にひっかかった「ライトノベルらしくない…」なんですけど、アイヨシはこの発言自体をマイナスに評価してはいません。だって、この発言をした人は、結局イリヤに一票を投じているわけなので。「ラノベらしくない」という理由でイリヤを否定している人がいるとしたら、その人とは闘わなきゃいけないと思いますが、でも、闘いたくないです(逃げ腰)。まあ、本の読み方なんて人それぞれってことで。

それはそれとして、ジャンル論って面白いですよね。定義・概念を検討する論理的面白さもさることながら、自分の価値観とか世間の評価基準とかが見えてくるので。
したがいまして、これからも何かのキッカケがあればこの議論は勝手に再燃するでしょう(笑)。

それと、ジャンル論の結果ドクロちゃんがどのジャンルに落ち着こうが、個人的には全く構わないのですが(笑)、「あれ」は残虐描写には入らないと思います。ギャグ漫画で、車にひかれたキャラがペチャンコになっても、次のコマでは復活しているみたいなもんだと思います。あるいは条件(2)を「少年漫画誌に見られる描写内であること」って修正しちゃえばいいかも(節操ねぇな)。

以上ですが、まとめになってればいいな(笑)。

2004年05月19日(水) 号外さんちゃ434.7号@フジモリ

フジモリ版「ライトノベル論」まとめ。

抽象的に言うと、「マンガ」と「小説」をつなぐ掛け橋。
マンガの文法と小説の文法を取り込めるところがライトノベルの最大の強み。
ライトノベルがキャラクター小説中心になっているのは、「キャラ萌え」中心になっている今のマンガ界と密接なつながりがあるのではないでしょうか。
QuickJapan54号で冲方丁が「ジャンルを特化することで出てきた不満に応える形で出てきたのがライトノベル」と言っていましたが、言い得て妙だと思いました。

つまり、「なんでもあり」がライトノベルの本質、ということで。

御影 「ここまで引っ張ってそれがオチかいっ!!」

<週刊さんちゃ版ボーナストラック>

フジモリオススメのライトノベル。
(以下4作品は「このライトノベルがすごい!」に投票しており、コメントも投票した際に記載したものです)

秋山瑞人「イリヤの空、UFOの夏 その4」電撃文庫

 ライトノベルという枠でおさまりきらない傑作。
 全編を通しての感想になりますが、最初はボーイ・ミーツ・ガールのほんわかラブコメにSF要素をややまぜる、というぐらいだったのですが、次第に重い展開になっていきます。
 浅羽とイリヤの逃避行のくだりは痛すぎて読むのを止めたくなるぐらいでした。
 そしてラスト。
 夏の終わりと、自分の中で失われたなにかを思い出ださせる、ずっしりと重い余韻が残りました。
 最後についてはいろいろと意見があるようですが、フジモリはハッピーエンドだと思っています。
 イリアは、幸せな気持ちで旅立っていったのですから。

成田良悟「バッカーノ! 1931 The grand punk railroad 特急編」電撃文庫

 「鈍行編」を表舞台とすると、「特急編」はまさしく舞台裏の作品。
 なにごとも舞台裏が面白いというのはひとつの真実で、「バッカーノ!」シリーズのなかでは一番好きな作品です。
 愛に生きるレイルトレーサーが素敵(笑)。
 これ読むともう一回「鈍行編」が読みたくなります。

新城カズマ「イスベルの戦賦 <天の踵>よ、来たれ」ファミ通文庫

 稀代のストーリーテラー新城カズマが満を持して送る本格ヒロイックファンタジー。
 地に足ついた舞台設定で、安心して物語の世界にひたることができる。(特に架空言語は必見!)
 物語も、国を失った王女の復讐譚という重い内容でありながら、王女の成長、仲間との友情、ちゃんちゃんばらばらの活劇と、エンターテイメント性あふれた作品になっている。
 映画「ロード・オブ・ザ・リング」からファンタジーに入門した人も、「ロードス島戦記」からの人も、はたまた元祖「指輪物語」からの人も楽しめる一冊。

乙一「ZOO」集英社

 日常に融合した「奇妙」を描く天才、乙一の、この短編集はひとつの到達点である。

<週刊さんちゃ版ボーナストラック>

アイヨシオススメのライトノベル。

冲方丁「マルドゥック・スクランブル The Third Exhaust―排気」ハヤカワ文庫

 とにかくカジノの場面が絶品! ルーレットに手に汗握り、ブラックジャックに涙する!
 読め読め読め!

秋山瑞人「イリヤの空、UFOの夏 その4」電撃文庫

 3巻までのホンワカラブラブストーリーを踏み台に、希望のない逃避行をきっちり描き切った文句なしの傑作。
 ここまでキャラをいたぶれる作者の鬼畜ぶりには頭が下がります(笑)。
 (欲を言えば、水前寺の出番が後半ほとんどなかったのに少々不満が残りますけど。)

西尾維新「ヒトクイマジカル 殺戮奇術の匂宮兄妹」講談社ノベルス

 戯言シリーズの6冊目。シリーズ途中なので評価不能というのが本音ですが、その割には高く評価してます。
 戦って思い知るのではなく思い知るために戦うというのもかなり屈折したもんだと思いますが、そんな流れになってしまうのがこの主人公のらしさでもあり、魅力だと思います。…正直なところ、かなり共感できるのです(笑)。

西尾維新「きみとぼくの壊れた世界」講談社ノベルス

 妹ラブでもいい、売買春してもいい、人を殺してもいい。そんな壊れた価値観をもったキャラたちの織りなす物語は、キャラ萌えという意味で、今風のライトノベルだと思います。
 何をしてもいいけれど、世界のすべてに嘘をついちゃダメってところが、嘘ばかりでは成立しない「ミステリ」ってジャンルとそれなりにマッチしていると思います(←ちょっとネタばれ?)。
 …ただ、やっぱり妹ラブはちょっと(笑)。

高野和「七姫物語 第二章 世界のかたち」電撃文庫

 主人公のカラスミがそれなりに祭り上げられて、それなりに大変な目にあって、当事者にして傍観者として悲惨な乱世の中を生き抜いていく姿が、何となく今の日本の状況みたいにも思えて面白いです。
(シリーズ途中なので保留の点も多いですが。)
 もっとも、趣味の問題ですがちょっと生ぬるい気もします(透明感があるとも言えますが…)。



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