クラッシク音楽こぼれ話
第1回 『オーケストラのプライド トランペット』

 ちょっとしたコラムでも、トランペットについて書くのはやはり緊張します。その理由は、いろいろな方面で有名な話ですが、トランペット奏者と言うのは非常にプライドが高いからです。

 でも、ちょっと考えてみるとその理由も分かるような気がします。トロンボーン奏者の私から見ても、演奏会においてトランペット奏者の受けるプレッシャーは非常に大きいと思うからです。

 たとえば次に紹介する曲を皆さんが演奏会場で聞いたとしましょう。

ムソルグスキー 展覧会の絵
マーラー     交響曲第5番
レスピーギ    ローマの松
ホルスト      惑星

 これらの曲を聴いて、演奏会場から出てきた皆さんが口ずさむのは、ほとんどがトランペットパートが演奏した部分だと思います。

 それだけ聴衆に強烈に訴えかける力がこの楽器にはあります。また、逆に言うと、最も攻撃(批評)を受けてしまうのもこの楽器であると思います。

 そんなリスキーな戦いを繰り返すうちに、おのずとプライドが高くなって行くのではないだろうかと思います。

 でも個人的には、こう言った雰囲気は嫌いではありません。トランペット奏者には孤高であってほしいと思う。そして、その中でこそ生まれる緊張感のある音楽もあるのだから・・・。

なーんて、こぼれ話ではなくなってしまいました。(反省)


そこで、最後に「こぼれ話」っぽい話を1つだけ。

皆さんは、ベートーベン作曲 レオノーレ序曲第3番をご存知でしょうか?

 トランペット奏者の仕事には、ステージ裏で演奏するといったものがあります。これは、特に珍しいものではなく、私の知っている限りでも、

マーラー  交響曲1番2番
レスピーギ ローマの松

 などと結構あります。それでは、なぜレオノーレを取り上げたのか?

 ポイントは、この曲はわりと優雅な曲であって、とてもトランペットのバンダが登場するとは思えない。しかも、突発的に演奏されます。

 カンのいい方なら分かったでしょうか。
 そうです。ある演奏会で、この曲が演奏されたとき、トランペット奏者が突然ステージ裏で吹き出します。そして、その人はステージに上がる必要がなく、楽譜も持たずに私服で演奏したのです。

 その通り、「音だし(練習)」と勘違いした、コンサートホールの警備員が演奏をやめさせようとトランペット奏者を羽交い締めにしたことがあったとか、なかったとか。。。

 まあ、何かと話題に事欠かないトランペットパートは、色々な意味でオーケストラの顔(プライド)ではないでしょうか。


 このコラムは、以前にこのサイトで公開されていた記事を改版したものです。使いまわしですが、ご容赦下さい。



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