週刊三軒茶屋 第24号 著作:アイヨシ・フジモリ
編集:フジモリ 公開日:2003/10/11

2003年プチ書評(7月10日〜8月27日)

読書の夏!
というわけで、読書感想文さながら、アイヨシ・フジモリが書いたプチ書評をまとめました。
ネタバレ注意です。


2003年07月10日(木)
フジモリ

森博嗣「迷宮百年の睡魔」新潮社

フジモリの中で、森博嗣ベスト3に入る傑作。
前作「女王の百年密室」の続編だが(なんで出版社が違うんだろう?)、森博嗣のエッセンスが濃縮された、森博嗣ファンにはたまらない一冊。
このシリーズ、アイヨシも書いたがソフト的にもハード的にも「未来」を描いている硬派なSFであり、そちらのファンも楽しめる。
森ファンなら必読。
SFファンなら1冊目とセットでオススメ。


2003年07月12日(土)
フジモリ

西尾維新「ヒトクイマジカル」講談社ノベルズ

戯言シリーズ最新刊。
森博嗣「迷宮睡魔の百年」がミステリィをトッピングとしたSFならば、戯言シリーズはミステリィをトッピングした「ブギーポップ」。
しかしミステリィ部分もある程度楽しめ、漫画風のキャラクタや世界観なども慣れると楽しめる。
清涼院流水と上遠野浩平のインブリード、といったところだろうか。
相変わらず救いのない話とぶっ飛んだ設定で読ませてくれるが、今作ではついにラスボス(作者あとがき談)が登場する。
物語もクライマックスを迎え(?)、非常に楽しめたが、なんというか、ブギーポップと方向性が似ているのに、ブギーポップより先に、ブギーポップで言いたそうなことを言ってしまって終わってしまうのでは、という思いもあり、「おい!上遠野!もたもたしてると追い抜かれるぞ!」という危惧が(笑)。
ま、戯言ですが。(定番のシメ)

あ、あと、表紙の裏(裏表紙じゃなく、ほんとに裏)も必見。


2003年07月22日(火)
アイヨシ

島本和彦 『吼えろペン』第8集 小学館(サンデーGXコミックス)

富士鷹ジュビロ最高(笑)。
ストーリーも面白いけど、”絵”が爆笑もの。
からぶりサービスって何だよ。
マサルが似すぎ。
しかも殺すな!でも、本編で死んでもあんまり不思議じゃないし…(コラコラ)
富士鷹の顔がかなり藤田チックです。フェイスレスかよ!
とにかく面白すぎます。買いです。藤田和日郎ファンにもオススメ(?)。


2003年07月26日(土)
アイヨシ

勝又清和 『消えた戦法の謎』 MYCOM将棋文庫

将棋の本です。
将棋の戦法は時代によって変わっていきますが、アマチュアレベルでは、なぜ、かつて有効だった戦法が指されなくなったのか分からないときがあります。
その謎を追うと共に、それに代わって生じた戦法、失われた戦法の復活の可能性などなど、定跡の変遷を知ることができ、とても興味深い一冊です。
勝つための本としては役に立たないところも高ポイントです(笑)。


2003年08月06日(水)
アイヨシ

おかゆまさき 『撲殺天使ドクロちゃん』 電撃文庫

ぴぴるぴるぴるぴぴるぴ〜♪

タイムパラドックスがテーマのSF作品ですね。
撲殺しても生き返る魔法のバット「エスカリボルグ」は、SF超大作『ハイペリオン』シリーズの聖十字架を彷彿とさせますね……

……ぶちっ

っていうか何なんだこれは!
よく雑誌掲載したな、文庫化したな。どうかしてるぞメディアワークス。
よくこんな書評が書けるなぁ……。
あ〜、脳を丸洗いしたい。それだけです(笑)。
ちなみに、アイヨシはこの本買ってません。借り物です(ここ強調)。
手許に置いておきたくない本です。
これを返すためだけに炎天下の市街にさまよい出る事もやぶさかではありません。
たしかに、ヤバイ本だとは聞いてました。
1ページ開いただけでかなりヤバそうでした。
読んだら、ホントにヤバかった。
珍しく存在を全否定したくなった一冊です(笑)。


2003年08月10日(日)
フジモリ

京極夏彦「陰摩羅鬼の瑕」講談社ノベルス

感動しました。
とにかく、何か残したい。感想を書きたい。
凄まじい。
以下、ネタバレですので反転してください。
ココカラ↓
実は、読みながら今回の「トリック」には気づきました。
トリックという言い方は好きではないですが、今回の作品における「トリック」とは、いわばこちら側の世界とあちら側の世界の「齟齬」のことです。
端的に言うと、death=lost(missかな?)と認識していた伯爵の論理のこと。
今回の話は舞台や登場人物はそれほど拡散せず、ある意味一本筋です。(あえてそうしたのでは、とふんでいますが)
で、トリックが分かった後のフジモリの関心は「どうやって京極堂がこの「齟齬」を照らし、憑物落しをするか」でしたが、これが見事。
伯爵を「こちら側の世界」に戻し、すべての事柄をつなぎ合わせ、「新しい世界」を構築する。
京極堂ミステリィは、思うに、舞台となる「異世界」を京極堂が「解体」し、「新しい世界(=こちら側の世界に「翻訳」された世界)」を構築することにカタルシスを得ているのだと思いますが、それが今回もバチリと嵌まりました。
読んで鳥肌が立つ小説を読んだのは久しぶりです。
今までの京極堂ミステリィでは「解体」、あるいは異世界の「解明」のプロセスについて感動してきましたが、今回は「構築」のプロセスに感動しました。

あと、メタな読み方ですが、作者が「ジョーカー」である榎木津をいかに封じるかも興味深く、今回は「一時的な失明」でした。次回はなんだろうな、と変な期待をしてします(笑)。

今回は、あえて「解明」を簡単にして、「解体」「構築」を前面に出したのではないかと考えています。
↑ココマデ

それにしても、凄まじかったです。
ごちそうさま。


2003年08月17日(日)
フジモリ

秋山瑞人「イリアの空、UFOの夏(その4)」電撃文庫

ネタバレ反転ココカラ↓
その2までの明るい雰囲気がどんどん暗くなっていき気分が重くなりました。
おそらく、イリアも、そして榎本も死んだのでしょう。
しかし、死地に赴くイリアは幸せだったと思います。
そういう意味で、フジモリはハッピーエンドだと思っています。
あと、T・Sがわかりません。
↑ココマデ


2003年08月20日(水)
アイヨシ

上遠野浩平 「ビートのディシプリン SIDE2」 電撃文庫



って感じですね(笑)。
SIDE1だと、「死神は出てこない」ってオビに書いてあったのに今回あっさり出てくるし(笑)。
それに、物語が佳境に入ってきてるっぽいのに、登場人物は増えつづけ、風呂敷が拡がりまくってます。どうやって畳むつもりでしょう?
まさか、殺せばいいや、とか思ってるのでは? …ありうる(笑)。
とにかく、いろんな意味で予測がつきにくくなってます。


2003年08月25日(月)
アイヨシ

有栖川有栖 「幽霊刑事」 講談社文庫

幽霊が探偵という作品ですが、ゾンビが探偵やってるのがあるくらいですから、別にどうってことはないですね(笑)。
やはり「ゴースト〜ニューヨークの幻〜」と比較検討すべきなのでしょうか?
でも、アイヨシはその映画見てないし、見る気もないです(笑)。
でも、ある伏線の張り方には感心しました。
「そうくるか!」という感じで、これだけでも読む価値ありだと思います。


2003年08月26日(火)
フジモリ

別冊宝島編集「僕たちの好きな京極夏彦」宝島社

「ガンダム」とか「ファイナルファンタジー」とか出してきた「僕たちの好きな〜」シリーズであるが、まさか京極夏彦まで出すとは(笑)。

とは言うものの、水木しげるインタビューをはじめ、全作品解説から登場人物解説(これは非常にありがたい)などもあり、別冊宝島にしては(失礼!)非常に楽しめる一冊。

文庫版「狂骨の夢」がノベルス版「狂骨の夢」から大幅に加筆修正されたのは、とある医学博士がノベルス版にツッコミを入れたのを受けてのことである、などという話もあり、京極ファンは必読。


2003年08月27日(水)
フジモリ

あずまきよひこ「よつばと!」メディアワークス

いわずとしれた「あずまんが大王」作者による新作。
キーワードは「明るく」「楽しく」「ほがらかに」(意味不明)。
コメディなんだけど、「笑う」のではなく「楽しくなる」本。
しかし、主人公よつばの変さとか「あずまんが大王」に通じる部分はある。
まあ、読んで損はないっちゅうこっちゃ。
 

☆付録:週刊さんちゃ用プチ書評 アイヨシ

山口雅也 「続・垂里冴子のお見合いと推理」 講談社ノベルス

お見合いをするたびに事件に巻き込まれて破談に追い込まれてしまう、垂里冴子とその家族たちによる短編集。
トリック自体は短編向けのあっさりしたものばかりで、それはそれで読みやすいような物足りないような感じです。
ただ、推理と恋愛は思考のベクトルがやはり全然違うのかな? とは思いました。


小沼丹 「黒いハンカチ」 創元推理文庫

またまたミステリ短編集。
昭和30年代に書かれたものなので、文体も古いままなのですが、でも読みやすいです。この文体だけでも読む価値があると思います。
ニシ・アズマという女性教師が主人公にして探偵役を務めていますが、事件を解決するだけでなく、事件発生前に目端をきかせて問題を解決してしまうこともあります。どことなく爽やかな感じが新鮮です。
ところで、表題作にもなっている「黒いハンカチ」で問題になっている英語のクロスワードの「――籠なぞ作るに用いられる薄く細長い木片」(p60)って何でしょう? 教えてもらえるととても嬉しいです(笑)。


橋元淳一郎 「カメレオンは大海を渡る」 ハヤカワ文庫

サイエンス・コラム集です。
アイヨシのような文系人間には、本書のような、最新科学を分かりやすく説明してくれる本はとてもありがたいです。
今の御時世、最新科学が人の世のあり方を変えてしまうことはざらなので、後手に回らないように理系のアンテナも常に持っていたいと思っています。



週刊 さんちゃTOPページへ