週刊三軒茶屋 第23号 著作:アイヨシ・フジモリ

2003年上半期プチ書評(1月11日〜7月6日)

 「号外サンチャ」でアイヨシ・フジモリが書いたプチ書評をまとめました。
いわゆる「総集編」です。
決して手抜き企画なんかじゃナイデスヨ!
普段の書評と違って、かなり肩の力が抜いて書かれていますので、気楽な気持ちでご覧ください。

2003年01月11日(土)  フジモリ

槻城ゆう子 「召喚の蛮名 学園奇覯譚」 エンターブレイン

クトゥルー神話を下敷きにした学園ものマンガ。
クトゥルーというオカルト心をくすぐる題材であり、非常に骨太の作品である。
主人公の女の子が神智科という魔法使い養成学級に編入することから物語が始まるところなどは某大ヒットファンタジィ映画と似ているが、こっちのほうが先である。
クトゥルーという名前を知っている人なら迷わず読むことを勧めます。
最近読んだマンガの中では一番のヒット!!

2003年02月26日(水) アイヨシ

冬目景 「羊のうた」7巻 幻冬舎(バーズコミックス)

青春系引きこもり漫画(コラコラ)ついに完結。
6年半か…。連載途中で出版社がつぶれて雑誌が変わったりしてるのに、よくぞ完結してくれました。良かった良かった(何様)。
ラストのハッピーエンド(??)はちょっと意外。一読したときは疑問に思いましたが、こうして単行本で改めて読むと、「これしかないな」と思いました。でも、「当初予定していた本当に救いのないラスト」というのも興味があります。多分、アイヨシが予想していたものに近いと思うんだけどなぁ(笑)。

2003年04月04日(金) アイヨシ

有栖川有栖・他 「新本格猛虎会の冒険」 東京創元社

阪神ファンのミステリ作家(一部例外アリ)が集まった、タイガーズを応援するミステリ・アンソロジーという呆れた本です。
なぜかダジャレが多目です。
それに、「ジャイアンツのマスコットはゴキブリそっくりだ」(本書p82より)などの作中の文章に見られるように、アンチ巨人ファンが読んでも楽しいです。
正直、ミステリの観点から評価しますと、遊び心だけの作品だと思います。
阪神ネタの観点から評価しますと、かなりディープなものもあるので、私には評価不能です(笑)。
(補足:これを書いてたときは、まさか阪神が前半戦でマジック点灯などという、ぶっちぎりの快(怪?)進撃を続けるとは思いもしませんでした。)

2003年04月11日(金)  アイヨシ

熊倉隆敏 「もっけ」 講談社(アフタヌーンKC)

マンガです(最近、小説読む体力がないので…)。
現在2巻まで刊行されてます。
本格妖怪マンガです。
京極堂シリーズはいつ出るんだ!という人にオススメ。
一話完結形式で、簡単に読めますが、それでいて奥が深く、再読性の高いマンガです。
なんとなく『あずまんが大王』みたいな雰囲気もあります(笑)。
(補足:京極堂シリーズ最新作『陰摩羅鬼の瑕』は講談社ノベルズで8月8日発売予定です。)

2003年04月20日(日) アイヨシ

島本和彦 「吼えろペン」第7集 小学館(サンデーGXコミックス)

相変わらず面白いです。
連載当初は浮いていた(?)戦隊ヒーローネタも、今では(違った意味で)市民権を得ていますので、まさに絶好調といえるでしょう。
マンガネタも楽しいです。
今回の巻で一番好きなのが桐きざ美先生の話です。
キャラクターの表情といい、絶妙の間といい、とても笑えました。

次巻はまた4ヵ月後か…。

2003年04月28日(月)
フジモリ

とり・みき 「猫田一金五郎の冒険」 講談社

パロミステリィ(最近の呼び方で言えば「メタ・ミステリィ」か?)漫画。
「斜めすぎる屋敷の犯罪」「Y2Kの悲劇」などというタイトルからしてもわかるとおり、ミステリィのパロディ(というには原型をとどめていないが(笑))である。
原作を知らなくても楽しめ、あまりにもばかばかしくて笑いがこみ上げてくる。
フジモリのイチオシは「百八つ墓村」。
ちなみに、京極夏彦との合作漫画もあるので、そっちのファンにもオススメ。

2003年05月29日(木)  アイヨシ

倉知淳 「壺中の天国」 角川文庫

第1回本格ミステリ大賞受賞作の文庫化です。
正真正銘の通り魔殺人事件を本格ミステリするというのは、ありそうで実はあまりなかったような気もしますが、(詳細はネタばれになってしまうので省略しますが、一見通り魔で実は違う、というのが定番だと思います。)
まあ、面白かったです。

しかし、そうした部分よりも気になったのが、物語に登場する電波系怪文書の内容。
この本が最初に単行本で発表されたのは平成12年なのですが、それにしたって、今の御時世でこの本を読むと、どうしても、あの白装束の困った皆さんのことを思い出さずにはいられません。
白装束の話題に合わせて文庫化したのでは?
と一瞬勘繰ってしまいましたが、時期的にさすがにそれはないと思います。
が、それにしても、時代を先取りしていた小説ですね。

『ザンヤルマ』を思い出しました。(ほとんどの人が知らないだろうな…)


2003年06月02日(月) アイヨシ

東野圭吾 「おれは非情勤」 集英社文庫

タイトルは誤植ではありません。小学校を舞台にした短編集です。
非常勤の教師を主人公にした作品が6編と、小学生が主人公の作品が2編収録されています。
同氏の作品『怪笑小説』のあとがきで作者自身が言明しているように、東野圭吾は学校、教師に対して嫌な思い出のある人みたいなのですが、にもかかわらず、と言いますか、だからこそ、と言うべきか、こんなにスマートな学園ものが書けるんですから、スゴイと思います。
(そういえば、デビュー作も学園ものだったな…。)
ちなみに、本書は「5年の学習」や「6年の学習」に連載されていたジュブナイル(子ども向け小説)なのですが、解説を読むまで気付きませんでした(笑)。
道理で、読みやすいな、とは思ったのですが…。
連載当時はPTAから抗議がきていたみたいですが、理解不能です。
アホだと思います。

2003年06月05日(木) アイヨシ

乙一 「死にぞこないの青」 幻冬舎文庫

うっわ。嫌な本だなこれは。
…いや、誉めてるんですけどね(笑)。
これで、文庫化されてる乙一の本はコンプリートしたのですが(多分)、読後の印象度は一番ですが、しかし…

2003年06月11日(水)  アイヨシ

柳沼行 「ふたつのスピカ」4巻 メディアファクトリー

幽霊といい、死んだ娘のクローンといい、死んだ彼氏に似た奴といい、よく考えると後ろ向きの要素が一杯の漫画ですね(笑)。
何だか、アスミは宇宙に行って死んじゃうような気がしてきました(コラコラ)。

疑問その1
ライオンさんはお酒を持ってくときにお金を置いていきましたが、そのお金はどうやって…?(笑)

疑問その2
無重量下だと、メトロノームの動きはゆっくりになるらしい。
へぇ〜。どうしてだろうって考えましたが、そもそもメトロノームの仕組みが分からん(泣)。
どうして、一定時間とはいえ、同じリズムを刻みつづけることができるのだろう。
不思議です…。

2003年06月17日(火)  アイヨシ

思緒雄二 「送り雛は瑠璃色の」 創土社

これは、ほとんどの人が知らない本でしょう。
何たって、ゲームブックですから(笑)。
いまどき、ゲームがしたければパソコンやプレステでいいじゃんって思われるかもしれませんが、これはこれで面白いのです。

で、肝心の作品についてですが、戦闘シーン一切なし、純和風の変わったゲームです。
とりあえず一回プレイしてみまして一番正解と思われるエンディングには辿り着きました。
しかし…何がなんだかサッパリ分かりません(笑)。
こいつは難しい。と〜っても難しい。
謎かけ歌と呪い歌、神話、伝承が巧みに織り交ぜられ、その中に更に登場人物の正体、心情が隠されているときてます。
日本文学の素養に乏しいアイヨシにとってはちんぷんかんぷんです(笑)。
でも、とっても面白いです。
何がどうなっているのか、自分なりに解明することができたら書評したいと思います。

2003年07月06日(日) フジモリ

上遠野浩平 「しずるさんと偏屈な死者たち」 富士見ミステリー文庫

上遠野浩平富士見ミステリー文庫初登場。
病弱の少女ホームズしずるさんと、彼女の話し相手の少女ワトソンよーちゃんが、ちょっと変わった殺人事件(裏表紙参照)を解決していく物語。
事件の真相はご愛嬌として(いいのか?)、その「死体」が唐傘小僧だったりキャトルミューテーションだったり、そういった「奇妙さ」を読むだけでも価値がある一冊です。
まあ、他にもいろいろと言いたいことはありますが、フジモリの胸のうちにとどめておきます(笑)。

☆付録:週刊さんちゃ用プチ書評 アイヨシ

菅浩江 「歌の翼に〜ピアノ教室は謎だらけ〜」 祥伝社ノベルズ

ピアノ教師が主人公の、音楽を題材にした短編連作ミステリです。
パスラーなのですが、そんなの途中からどうでも良くなります。
とにかくいい話なのです。最終話なんて感動のオーケストラが脳内で流れまくります。
しかし、その前段階である、主人公が抱える重い過去、心の傷があまりに深刻でつら過ぎます。
そこのところが、この本を評価するときに「面白かった」と言うのを躊躇わせます。
そんなわけで、オススメしづらいです(笑)。


エラリイ・クイーン 「日本庭園の秘密」 ハヤカワ文庫

日本語訳では国名シリーズっぽいですが、原題は「THE DOOR BETWEEN」となっており、つまり正式な国名シリーズではありません。
どうしてそうなったかといえば、本書の刊行時期が、1936年という第二次世界大戦へ向かって日本が国際的な印象を最悪なものにしている時期に当たったからだと考えられています。
でも、設定もトリックも日本のエッセンス(と誤解)がふんだんに盛り込まれていて存分に楽しめます。
ただ、ネタばれになりますが不満もあります。
(ネタばれ)だって、クイーン自身が、ハラキリ=切腹は不名誉を消し去るための儀式だと言ってるのに、最後の最後で明らかになる真相では、切腹の必要性が全くないじゃないですか。(ここまで)
最後の一行にはなかなか感慨深いものがあります。


エラリイ・クイーン編 「ミニ・ミステリ傑作選」 創元推理文庫

ショート・ショート・ミステリが67編収録されています。
アイヨシが特に面白いと思ったのは、「探偵業の起源」「生きている腕輪」「牧師の汚名」「演説」「わたしの目の黒いうちは」「良心」「ある老人の死」「犬と馬」「アダムとイヴ失踪事件」「川べりの犯罪」「ティー・ショップの暗殺者」と…おや、11編しかありません。でも傑作選なのです(笑)。
まあ、古典ばかりが集まったものですので、今となっては古臭くなってしまったものや、アイヨシの知識不足があるものを考えれば、上記の評価は少々厳しすぎるといえるでしょう。
一編一編はとても短く、ハズレに当たってもそんなに損した気にはならないでしょうから、オススメはし易いです。



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