
| 週刊三軒茶屋 第22号 著作:アイヨシ 公開日:2003/01/25 『青空文庫』で著作権を学ぶ |
新年とっくに明けていますが、このコーナー、週刊どころか月刊ペースすら維持できていません(泪)。 面目次第もないです。言い訳させてもらえば、号外さんちゃのコーナーを頑張りすぎているからということもあるのですが…。 とにかく、あまりに放置しておくと、書きたくて仕方がないことがあるときにどうしようもなくなるので、細々と続けていきましょう(笑)。 アイヨシは、復刊ドットコム巡りを趣味にしています。SFやミステリに一番の興味があります。私が書評しているビロードの悪魔が絶版になってしまったのは悲しいことです。とっても面白いのに…。 真面目な絶版本もときどき探します。リヴァイアサンや、三権分立で有名な法の精神といった有名書物が絶版だと知ったときには驚愕しました。マジですか?!出版社(岩波!)の良心は何処に?! そんな感じで、ポツポツと復刊投票はしていますが、仮に票が集まって復刊されることになっても、それにはかなりの時間がかかります。困ったものです。 そもそも、どうして復刊に時間がかかるかと言えば、版元との交渉があるからで、つまり著作権者の許可が要るからです。 であれば、著作権の切れたものであれば、復刊を待たずとも良いのではないか? そんなときに頼りになるのがココ。青空文庫です。 ここは、そのものズバリ、著作権の切れた作品が公開されているサイトです。 いや、有名なサイトなので皆さんご存知かもしれませんが、私が利用するようになったのは最近です。なんとなれば、オフラインならともかく、パソコンの画面で小説を読むのは何故だかシンドイからです。 でも、夢野久作や小栗虫太郎などのマニア向けの(自分で言ってて空しい…)古典的名作が無料で読めちゃうのには抗し難い魅力があります。ダウンロードしただけで読んだ気になりますし(意味ないじゃん)。 そんなわけで、著作権切れの古い作品に興味のある文学フリークにはたまらないサイトですが、『著作権切れ』といっても大別して2つのタイプがあります。 1つは、著作権者が権利を放棄して、公開を許可している場合です。もっとも、これはかなり例外的なものです。 もう1つは、死後50年が経過した、というタイプです。著作権は原則として著作権者の死後50年で消滅します。小説も原則どおり死後50年間保護されます。(『映画』などが例外的に公開から50年となっています。ただ、法改正の動きがありまして、公開から80年と改正されそうなので、注意して下さい。) 著作権法第五十一条第二項で以下の通り規定されています。 「著作権は、この節に別段の定めがある場合を除き、著作者の死後(共同著作物にあつては、最終に死亡した著作者の死後。次条第一項において同じ。)五十年を経過するまでの間、存続する。」 このことは、意外に広く知られています。ところが、落とし穴があることは意外に知られていません。”死後”の起算点が曲者なのです。 例えば、アイヨシが2003年の1月31日に死亡したとします。そうしたときに、アイヨシがこのサイトで公開しているショート・ショートの著作権はいつ切れるでしょうか? 死後50年ですから、2053年の1月30日までと思われるかもしれません。 ところが、実際には違います。なぜなら、著作権法第五十七条で「第五十一条第二項、第五十二条第一項、第五十三条第一項、第五十四条第一項又は第五十五条第一項の場合において、著作者の死後五十年又は著作物の公表後五十年若しくは創作後五十年の期間の終期を計算するときは、著作者が死亡した日又は著作物が公表され若しくは創作された日のそれぞれ属する年の翌年から起算する。」と定められているからです。 つまり、この場合には、2003年の翌年、2004年の1月1日から起算して50年間保護されることになります。つまり、2053年12月31日までがアイヨシのショート・ショートの著作権保護期間となり、2053年中はまだアイヨシの著作権が有効なのです。 したがって、著作権的には1月1日に死ぬのが最もお得(事実上、著作権が51年間保護されることになる)で、12月31日に死ぬのが最も損(50年キッカリしか保護されない)ということが言えます。年末に死にそうな作家さんは年始まで頑張りましょう(コラコラ)。 これは誤解されやすいポイントです。青空文庫内でも、 『ヴィヨンの妻』著作権侵害未遂に関する報告 として、この点について実際に起きたトラブルが報告されています。 ちなみに、アイヨシは当サイトで『続・走れメロス』という太宰治の名作を思いっきりパロッたショート・ショートを掲載していますが、太宰治の死後50年以上経過しての発表(太宰治は1949年に死亡しています。)なので、問題ありません。もっとも、死後51年ちょっと後と、意外にギリギリだったので焦りましたが…(笑)。 このような、どんな作家の著作権が切れているのかということも、青空文庫で確認することができます。 インターネットが急速に普及して、掲示板などでの発言にも著作権が認められるようになった現在ですが、近い将来には、インターネット上で一般人の訃報の情報が飛び交う時代が来るかも知れませんね。 |