週刊三軒茶屋 第14号 : アイヨシ

復刊ドットコム

ハヤカワ文庫の2002年5月の最新刊として、高野史緒著『ムジカ・マキーナ』(※註1)が出版されました。この本は新潮社から単行本として1995年に単行本として出版されましたが、売れ行きが伸びず長らく絶版状態でした。それが、めでたく復刊の運びとなりました。

 さて、どういう経緯で復刊ということになったのかといいますと、本書の「あとがき」にその答えがありますので引用します。

長く絶版扱いだったこの本に、「復刊ドットコム」での投票があると教えてくださったのも、そこに復刊リクエストをしてくださったのも、決して数多いとは言えない読み手の方々であったことも忘れてはならないだろう。(同書p467より)

 ある作家の作品を読んでいたく感動して、同作家の作品を探したら絶版・品切れだったという苦い経験をお持ちの方。

 懐かしき思い出の本を、曖昧な記憶を呼び起こしやっとの思いで探しあてたら、それが絶版・品切れだったという辛い経験をお持ちの方。あなた方は同士です。(笑)

 そんなあなたにオススメのサイトが『復刊ドットコム』です。

 『復刊ドットコム』には復刊希望の書籍のスレッドが多数立っています。その中から希望の書籍に投票します。投票の際にはメールアドレスはじめ住所・電話番号など、いくつかの個人情報を入力する必要がありますので、少々手間だと感じる方もいるかもしれません。しかし、この場合、組織票などによって集計が歪まないようにするためには仕方がないと思います。また、いざ復刊が決まったら購入することが望ましいわけで、冷やかしで投票はマナー違反だと思います。もちろん、希望書籍のスレッドがなければ自分で立てることもできます。

 そして、ある程度票がたまったら復刊のための交渉が開始されます。だいたい100票が目途のようですが、それ以下の票数で復刊が決定されたものもあります。詳細は実際に『復刊ドットコム』にて確認してください。

 とにかく、絶版・品切れというのは不愉快です。商売上売れないものは仕方がない、というのも分からないではないです。しかし、絶版本の存在が古書店の存在意義を正当化し、ひいては出版社の営業を脅かすことになる、というのは考えすぎでしょうか?いずれにしても、出版社には文化を支え世に伝えていくのだというプライドが欲しいです。とくに廉価な文庫の絶版は論外です!(笑)

 アイヨシは現在のところ『ソラリスの陽のもとに』(※註2)などの超絶傑作SF作品で知られる作家、スタニスワフ・レムの一連の絶版作品群と、ジャック・ヨーヴィル(『ドラキュラ紀元』などの作品で知られるキム・ニューマンの別名)の傑作ファンタジー『ドラッケンフェルズ』という作品の復刊に票を投じています。心当たりのある方、清き一票をお願いします(ペコリ)。


※註1 『ムジカ・マキーナ』

 高野史緒のデビュー作品。タイトルの「ムジカ・マキーナ」は音楽機械のこと。19世紀のヨーロッパを舞台に、音楽を絶対的快楽に変え、音楽に対する感覚を極限まで高める麻薬『魔笛』と、絶対音楽を奏でる『音楽機械』を巡る数奇な因果の物語。

 デビュー作品特有の文章、展開の粗さは随所に感じられるものの、19世紀のヨーロッパの史実を背景に虚構が巧みに組み合わされており、何とか物語として成立している(コラコラ)。音楽SFという独自のジャンルを確立した点は評価されてしかるべき作品。絶版なんて論外です!(笑)

余談ですが、アイヨシは“生き急ぐ”と“死に急ぐ”は同じ意味だと思ってました。しかし、本書では、『生き急いでいるというより死に急ぐ速度に達している。』(同書P79より)というように、程度の違いとして使い分けられています。勉強になりました(笑)。


※註2 『ソラリスの陽のもとに』

これはものすごい作品です。詳細は当HPで別に書評してます のでここでは省きますが、アイヨシ熱烈推薦本です。これを読めばレムの虜になること間違いなしです。未読のあなた、本書を読んでレム作品の復刊に投票しましょう!(笑)

で、この作品は一度映画化されているのですが、近々リメイクされることになっています。めでたいことですが、どんな映画になるのか、不安と期待が半々です。



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