| 黒き剣の呪い |
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原題:THE BANE OF THE BLACK SWORD 著者:マイクル・ムアコック(Micheal Moorcook) 訳者:井辻朱美(いつじ・あけみ) 出版:ハヤカワ文庫 初刊:1967,1970,1977 装丁:イラスト 天野喜孝 定価:360円+税 ISBN4−15−010611−8 |
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[あらすじ] セレブ・カーナは商王ニコーンの城へと逃げ込んだ。魔法においては並ぶ者のないことを自負するエルリックではあったが、それだけでは難攻不落の城と屈強の戦士たちを相手にはできない。 エルリックは、かつて自らが王として統治していたメルニボネの民に援軍を求める。今や流浪の民となったメルニボネの民は、エルリックのことを売国奴・盗人・同族殺し・国民の殺戮者として恨んでいたが、彼らの指導者でありエルリックの旧友であった〈竜洞の支配者〉ディヴィム・トヴァーは、エルリックの求めに応じてともにセレブ・カーナと戦うことを決意する。 「宿命などという代物ではないな。呪いと呼んだほうがいい。わたしは血も涙もない人間だが、わが魂の中に見るものに対しては別だ。それに対しては憐れみを覚え――涙すら湧く。だがわたしはそれに目をそむけたいのだし、そのこともわたしを駆りたてる呪いのうちだ。〈宿命〉でもなく、星辰でもなく、人でも、魔でも、神々でもない」 (本書p98より) 「第一の書 魂の盗人」ですが、ついにセレブ・カーナとの戦いが決着します。思えば、最初にセレブ・カーナが登場したときには、まさかこんなにエルリックと長い付き合いになるとは思いませんでした(笑)。 セレブ・カーナというより、一緒にいるニコーンと戦うために、エルリックはメルニボネの民に助けを求めます。3巻でイムルイルを破壊しメルニボネ帝国を滅亡へと追いやったエルリックの要請を結局は引き受けるメルニボネ人の気持ちは良く分かりませんが(笑)、せっかくメルニボネ人の助けを得ておきながら、エルリックは捕まってしまいストームブリンガーを取り上げられてしまいますが、すんでのところで敵であるニコーンに命を救われるというかっこ悪いことになってしまいます。このニコーンという人物、登場シーンこそ短いですが、人格者で商才もあり武勇に優れ人望も厚いという、ホントにいいキャラです。普通のヒロイック・ファンタジーなら主人公であっても不思議じゃありません(笑)。 策を講じてストームブリンガーを取り戻した彼は、〈風の王〉を召喚してニコーンの城に攻め込みます。ディヴィム・トヴァーはこの戦いで命を落としてしまいますが、エルリックはとうとう宿敵セレブ・カーナを殺します。ここまでならハッピーエンドと言えなくもないのですが、エルリックの裏切りに激怒したニコーンは、エルリックに斬りかかります。エルリックとしてもニコーンに受けた恩は忘れておらず、セレブ・カーナさえ殺せれば満足だったのでニコーンを殺そうとは思っていなかったのですが、ストームブリンガーがエルリックの手の中で踊ったとたん、心ならずもニコーンの命を奪ってしまいます。〈魔剣〉と共生関係にある自らの呪われた運命を改めて思い知らされ、エルリックは打ちのめされます。 「第二の書 闇の三王」において、エルリックは運命の女ザロジニアと出会います。毎回毎回、女と付き合い始めるのが上手なのは相変わらずですが、それによってトラブルに巻き込まれるのも相変わらずです(笑)。案の定、オルグ人の罠にかかり、ザロジニアは囚われの身になってしまいますが、何とか救出に成功します。 この戦いの中で、エルリックは自らの運命に一筋の光を見つけます。ザロジニアを助けようとしときに、エルリックはストームブリンガーを鞘に収めたままで戦って、そして勝利しました。新たな旅の始まりにエルリックの心は平安と喜びを覚えます。……奇跡だ!(笑) 「第三の書 炎の運び手」では、カーラークでザロジニアと共に幸せな新婚生活を満喫していたエルリックのもとに、ムーングラムが凶報を持って訪ねてきます。〈炎の運び手〉ガシュテックが近隣の国々を破壊し、ついにはカーラークにまで迫ってきたと。 強大な敵の脅威に対抗するため、エルリックは再びストームブリンガーを手に戦いへと向かいます。策謀と、メルニボネで古くからともに生きてきた竜の力とによってこれを撃破することに成功します。その戦いの最中、自らの作り出した地獄絵図に恐怖を感じたエルリックは、ついにストームブリンガーを捨ててしまいます。 しかし、〈魔剣〉は自らの意志で泣き叫びつつカーラークに入ってくると、エルリックの知らぬ間に武器庫のもとの暗闇におさまっていました。断ち切ろうにも断ち切れぬ剣の呪いを、ザロジニアはエルリックに伝えることができませんでした……。 そして、「エピローグ タネローンを救うために……」は、今まで何度か登場してはエルリックを助けてきた”赤き射手”ラッキールが、〈混沌の神〉ナージャン神の進軍からタネローンを守るための戦いの物語です。 この物語では、エルリックの妻ザロジニアがさらわれてしまっていますから、ストーリー上では6巻の最初の内容と平行的に進行していることが分かります。 いくたの試練を乗り越えて〈灰色の神々〉の力を借りることに成功したラッキールは、〈混沌の神〉ナージャン神を退けることに成功します。ラッキールの戦いを助けた隠者ラムサーは、去り際にラッキールに告げます。「人間のあるかぎり、タネローンもまたあるのじゃ」「今日、そなたらが守ったのはひとつの都ではない。ひとつの理想だ。それこそがタネローンよ」と……。 |