砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない(A Lollypop or A Bullet)
著者:桜庭一樹(さくらば・かずき)
出版:富士見ミステリー文庫
初刊:2004
装丁:イラスト むー
定価:500円+税
ISBN4−8291−6276−7

[あらすじ]
新聞記事より抜粋
 十月四日早朝、鳥取県境港市、蜷山の中腹で少女のバラバラ遺体が発見された。身元は市内に住む中学二年生、海野藻屑さん(一三)と判明した。藻屑さんは前日の朝から行方がわからなくなっていた。発見したのは同じ中学に通う友人、A子さん(一三)で、警察では犯人、犯行動機を調べるとともに、A子さんが遺体発見現場である蜷山に行った理由についても詳しく聞いている……。(本書p5より)



 ジャケ買いした人はビックリの内容でしょう。
 良くも悪くもイラストが付き物のライトノベルでは、ときどきイラストと作品の内容との乖離が生じますが、本書の場合は多分わざとです。イラストで騙さないとやってられないほどきつい内容です。

 こういうのを読むと、ライトノベルの”ライト”が明るいって意味じゃ絶対無いことが分かります。
 カバー折り返しには”青春暗黒ミステリー”とありまして、ミステリーという部分には疑問符がないでもないですし、青春は青春なんですが、それより何より”暗黒”というのが目に付きますけど、まさに文字通りドス黒い内容となっております。
 乙一の『死にぞこないの青』(幻冬舎文庫)よりさらに暗い、と言ったらその暗さが分かってもらえるでしょうか?

 確かに、主人公の女の子の心情とかは面白いのです。甘酸っぱい恋心もあれば友情もあり将来への不安もあり、そういう意味では本書は正真正銘の青春小説であり、それはそうなのです。
 でも、”暗黒”です。リアリスティックでありながら刹那的で退廃的な主人公の性格もそうなのですが、約束された悲劇的な結末へ容赦なく落ち着くあたりが素晴らしく”暗黒”です。一応、”ミステリー”と名の付くレーベル(もっとも、富士見ミステリー文庫にミステリーを期待してる人ってあまりいないかも)から出版されてるんですから、何らかの仕掛けなりを用意することでこの結末を回避して、ありきたりなハッピーエンドで大団円というのもアリだったでしょう。しかし、そんな凡庸なことはしてません。こういう本のことを好きとか言うと性格疑われそうですが(笑)、でも大好きです。
 そういう意味でやっぱり本書はミステリーじゃないですけど、でも、どんでん返しをしてくれよー、て思ってしまう結末をそのまま迎えるというのは、ある意味どんでん返しのミステリーと言えるかもしれません。ってゆーか、『蹴りたい背中』とかと比較してもそんなにギャップを感じませんし、純文学系で売ってても可笑しくないと思える内容です。

 単に暗いだけならいいんですが(ホントか?)、実のところ、嫌な現実感があるんですよね。ニュースなんかで、ときどき本書みたいな”戦い”の果ての戦死者じゃないかと思うようなのを耳にしますし。『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』ってタイトルは、ひと目見た限りでは何のことか分かりませんでしたが、本書を読むとそれが苦々しい意味なのだということを思い知らされます。

 著者のあとがきによりますと、本書はわりと一瞬で書き上げたんだそうですが、確かにライブ感というか叩き付けた感はあります。そうした衝動的な部分を感じつつも、シニカルなところもあって、小説として成立してるのがすごいです。コンパクト(全204ページ)で読みやすいので、お手軽に暗い気分になりたい方にオススメです(笑)。

 ホントのことを言いますと、何も知らずに読んじゃった人の感想を聞いてみたいなぁ……(←悪趣味)。


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