蹴りたい背中
著者:綿矢りさ(わたや・りさ)
出版:河出書房新社
初刊:2003
装丁:泉沢光雄
定価:1000円+税
ISBN4−309−01570−0

[あらすじ]
 周囲に溶け込めない高校一年生のハツは、同じく周囲から浮いているにな川に興味を持つが、にな川はモデルのオリチャンに夢中で、そんなにな川にハツは何とも言えない思いを抱く……。
 史上最年少の19歳で第130回芥川賞を受賞した話題作。



 はっきり言いまして、アイヨシは純文学なぞほとんど読みません。いや、学生時代の一時期は太宰治を始めとしまして、有名どころを狂ったように一通り読み漁った時期はあります(同じような経験をしてる人は多いと思います)が最近はもう全く読みません。もっとも、純文学とエンターテイメントの垣根が曖昧になってる昨今、全く読まないというと嘘になるんでしょうが、意識として純文学を読もうとはさらさら思いません。
 そんな私がなんでこの本を読んだかといえば、ズバリ『蹴りたい田中』と比較するためです。それだけです。バカとしかいいようのない動機です。これだけの話題作をそんな理由で読むなぞ本末転倒ですけど、マスコミがあれだけ最年少ということだけで過剰に話題にしたあとでは、逆にこうした理由でもなければ読む気がしないというのも、分かってもらえる人には分かってもらえると思います。
 で、『蹴りたい田中』との関係ですが……全くありません。タイトルが駄洒落ってるだけです。田中啓文のバカめ!(笑)

 それはそれとして、せっかく読んだので感想くらいは書いておこうと思いますが、意外と面白かったです。日常を淡々と切り取ったという感じなのですが、いじめに走るでもなく恋愛に走るでもなく、だからといって中途半端なところで逃げてるというわけでもありません。微妙なところを冷静に、意地悪く書いているところがとても好印象です。
 アイヨシの高校生時代を彷彿とは……させませんでした(笑)。
 いや、登場人物の誰にも感情移入できない(アイヨシの性格の問題。一部理解できるところはありますけどね。)とか、やっぱり時代が違うとかいうのはありますが、一番感じたのは場所が違うということですね。アイヨシが高校生時代を過ごした田舎では、カフェなんか無いしモデルなんか絶対来ませんし、こんな展開考えられません(笑)。

 なんやかんやと書いてきましたが、若者の感性に触れるのもそれなりに意義のあることだと思います(←オヤジだ)。

 あと、内容とは全く関係ないのですが、一般に、小説だとカギカッコ内のセリフは句点なしで終わってるのが普通ですが、この作品は句点がついてます。もっともアイヨシの記憶では、セリフの場合はカギカッコと同じマス内に句点を書くと学校の授業で教わったので、そういう意味で間違ってるとはいえないと思います。けど、変わってるとは思いました。


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