エラリー・クイーン Perfect Guide
編著者:飯城勇三(いいき・ゆうさん)
初刊:2004
出版:ぶんか社
装丁:装画 JET
定価:1300円+税
ISBN4−8211−0883−6

 ありそうでなぜかなかった、エラリー・クイーンとその作品についてのガイドブックです。
 こういう本がもっと早く刊行されてたらなぁ(苦笑)。

 第一部は、短編集も含むエラリー・クイーン全作品の解説です。
 作品ガイドの配列は刊行順ではなく読んで欲しい順になってます。私個人は刊行順に読んだ方が良いようにも思うのですが、なぜそういう順番で読んだ方が良いのかを考えるのはとても楽しいです。
 未読者向けに作品の内容がネタばれされることなく簡単に紹介されているので、ガイドブックとして完璧です。加えて、その作品についての裏話とか雑感(これはどうしても贔屓目のものになってますが)なども書かれていますので、既読者としても楽しく読めます。
 ”遠大な伏線”(p21)や「デューセンバーグはラストで車庫ごと大爆発してるはずなのにその後もエラリーは同じ車に乗っている」(p27)、「『十日間の不思議』と『新世紀エヴァンゲリオン』には共通点が多い」(p39)、「原書だと『顔』のラストと『最後の女』の冒頭は同じである」(p69)といった普通に読んでいるだけでは気付けない見方・読み方についても触れられていますので、マニアもニヤリとできるものになっています。

 第二部は、クイーンをより楽しむための評論等の資料集です。
 クイーン自身がもっとも最良のプロフィールと認めた「二重正体の事件」、クイーンが50歳の誕生日を迎えたときのフレドリック・ダネイへのインタビュー「エラリー・クイーン、50周年を語る」、エラリー・クイーン邦訳史「女王を映してきた鏡」、クイーンが日本のミステリー界に与えた影響についてつづった「最良最大のお手本」などは、「こういうのを読みたかったんだよ!」とまさに感涙ものばかりです。
 その他、パロディ短編や意味不明のアメリカン・コミック(笑)なんかも掲載されてます。ファンなら必見でしょう。
 また、クイーン・ファンの作家へのアンケート(項目はQ1.クイーンが好きな理由 Q2.最初に読んだ作品 Q3.クイーン作品ベスト5 Q4.エッセイ Q5.その他)も掲載されています。あの作家はクイーンからこういう影響を受けてるのかぁ、とメタな楽しみも得られます。ってゆーか、みんな本当にクイーンが好きなんだなぁ(笑)。
 ちなみに、私個人のクイーン作品ベスト5は、順不同で『ギリシア棺の謎』『スペイン岬の謎』『ドルリー・レーン最後の事件(シリーズ全部の評価として)』『九尾の猫』『ガラスの村』ですけど、他にも捨て難い作品がいっぱいあります。

 ガイドブックとしてだけでなく、クイーンの魅力や凄さを再認識できる最良の一冊です。


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