| 真鍮の家 | |
| 原題:THE HOUSE OF BRASS 作者:エラリイ・クイーン(Ellery Queen) 訳者:青田勝(あおた・かつ) 初刊:1968 出版:ハヤカワ文庫 装丁:カバー 北園克衛 定価:760円+税 ISBN4−15−070115−6 |
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[あらすじ] ハネムーンから帰ってきたクイーン警視夫妻のもとに招待状が届いた。手紙の主はブラスという老人で、真鍮だらけの邸に住んでいた。 そこには互いに面識のない人間ばかりが集められていたが、ブラス老人は彼らに莫大な遺産を遺したいと提案してきた。ただし、テスト期間として邸に住むようにという条件がついていた。 なぜ彼らに? そして遺産は本当にあるのか? 異様な雰囲気の中で共同生活が始まるが、ついに事件が発生してしまう……。 〔Caution!! ネタばれ注意〕 それですべてが終りを告げるはずなのだが、エラリイはさすがにエラリイで、そうはいかなかった。 (p290より) ※本書の合作問題についてはこちらに簡単にまとめてあります。 『クイーン警視自身の事件』の直接的な続編で、物語はクイーン警視夫妻がハネムーンから帰ってきたところから始まります。 遺産相続のために邸での生活を迫られるという設定は、『ドラゴンの歯』で既に使用済みですが(笑)、本書はさらに趣向を凝らしてあります。なぜこのメンバーが遺産相続の対象となるのか? そもそも遺産は存在するのか? という謎が物語を奥行きあるものにしています。 本書の主人公はリチャード・クイーン警視(引退してるので元・警視と呼ぶべきでしょうが)とジェシイ・クイーンですが、二人が事件に巻き込まれて、様々な困難を何とかしのいでいくわけですが、このあたりの二人の会話や協力しあう姿はなかなか微笑ましいものがあります。エラリイが主人公ではあり得ない展開で、この点は成功していると思います。 結局、おいしいところはエラリイにとられてしまうわけですが、これは愛敬でしょう。家族三人で事件を解決したというアットホームな感じがして良いと思います。 ただ、理解に苦しむところがいくつかあります。 まず、ブラスは結局なんのために6人を集めたのかが分かりません。彼の私生児であることが判明した人間もいますが、それ以外の人間については何の説明もありません。しかし、財産はなかったわけで、だとしたら6人を集めたこと自体がナンセンスだったことになります。一体彼は何をしたかったのでしょう? 偏屈だったのか、狂人だったのか、単に人恋しかったのか? まあ、説明は何とでもできるのでしょうが、ホントのところは分からないままなのが少し気になりました。 それに、真犯人の行動原理にも腑に落ちない点があります。財産目当てであったのなら、遺産相続人など探し出さない方が良かったと思います。まあ、逮捕令状が出ていたので公に名乗ることができないというリスクがあったのは分かりますが、事態がどうなるかわからないことを考えれば、相続人は少ない方が良いわけで、律儀に6人探し出す必要はなかったと思います。 ……それにしても、事件の関係者の身許くらいきちんと調べろよ!(笑) |