恐怖の研究
原題:A STUDY IN TERROR
作者:エラリイ・クイーン(Ellery Queen)
訳者:大庭忠男(おおば・ただお)
初刊:1966
出版:ハヤカワ文庫
装丁:カバー 北園克衛
定価:520円+税
ISBN4−15−070110−5
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[あらすじ]
 締め切りに追われているエラリイのもとに、差出人不明の原稿が届けられる。それは何とワトスン博士の未公開記録だった。しかも、ホームズが切り裂きジャック事件の謎に挑んだという内容のものだった。
 原稿を読み進めるうちに、エラリイはある謎にぶつかる……。


〔Caution!! ネタばれ注意〕

「一八八八年、シャーロック・ホームズが謎の外科医のケースを受け取った。彼はその驚くべき才能を傾けて、驚くべき冒険をはじめる。四分の三の世紀の後、別の包みが、他の有名な探偵に届けられる」
(p31より)


※ 本書の合作問題についてはこちらに簡単にまとめてありますが、本書では、エラリイが登場する章はダネイが書き、ホームズが登場する章はポール・W・フェアマンが書く、という特殊な方法がとられているらしいです(エラリー・クイーン著 谷口年史訳 国書刊行会『クイーン談話室[→Amazon]』p274参照)。
 エラリイが登場する章よりホームズが活躍する章の方が断然多いので、ほとんど別人が書いた作品ともいえるのですが、まあいいでしょう。

 とはいえ、本書については何を言ってよいやら分かりません(笑)。
 ホームズにエラリイ、そして「切り裂きジャック」! とくれば、それはもうミステリ・ファンなら垂涎ものの設定のはずなのですが、別にどうということはないな、というのが率直な感想です。
 結局、中途半端なんだと思います。ホームズもエラリイも切り裂きジャックも、それだけで何作ものミステリが書けちゃうほどのビッグ・ネームです。ですから、すごいコラボになるはずですが、ほんとにパッとしません。う〜ん、欲求不満です。
 せっかくの二大探偵の競演なのに、別に推理を競ってるわけでもないし、ホームズの方はそれなりに頑張ってますが、エラリイは自作の締め切りに追われてやる気ゼロの状態でテンションが低すぎます。
 「切り裂きジャック」といえば、19世紀のロンドンを恐怖のどん底に陥れた未解決事件ですが、それについて何か斬新な推理がなされているのかといえばそれもないです。

 厳しいようですが、読みどころが全くないとしかいいようがありません。せっかくの設定がもったいないです。


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