| クイーン警視自身の事件 | |
| 原題:INSPECTOR QUEEN'S OWN CASE 作者:エラリイ・クイーン(Ellery Queen) 訳者:青田勝(あおた・かつ) 初刊:1956 出版:ハヤカワ文庫 装丁:カバー 北園克衛 定価:544円+税 ISBN4−15−070104−0 |
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[あらすじ] 刑事を退職したばかりのリチャード・クイーンは、エラリイが取材で留守なのもあり、友人の警察署長の邸で体を休めていた。 しかし、近くの島にある大富豪の家で赤ん坊が死んでいるという通報が警察に入り、リチャードも現場に急行する。 物証がないことから事故死と判断されるが、赤ん坊の育児を担当していたジェシイだけは殺人事件であると主張する。 彼女の言葉を信じたリチャードは独自に捜査を開始することにした。 〔Caution!! ネタばれ注意〕 輝かしい過去と、将来への安心感だけではすまされないなにものかが必要なのだ。 人には現在が必要なのだ。なにかすることが必要なのだ。 (p28より) 少年探偵団ならぬ老人探偵団ですね(笑)。 本書巻末の解説にあるとおり、本書は「老人と子供」、「誕生と死」というテーマが色濃く表現されています。 執筆当時、ダネイとリーは50歳を迎えており、そんな彼らにとって「老い」はひとつのテーマであったろうこと、40年代の終わりにダネイの6歳になる子スティーヴンが脳障害で死亡したことなどが、その理由として挙げられています。 そんな事情を知ってから読み返してみると、なかなか味わい深いものがあります。 エラリイはいないし、警察官を退職してしまってますので、リチャードは本当に頼りない立場で事件に臨むことになります。しかし、だからこそ、一人の人間としてのクイーンパパの存在意義が問われるというものです。 それにしても、刑事をやめたパパのとった行動は結構過激ですね。バリバリの違法捜査を行なっています。そのくせ、成果はほとんどありませんし……。 現職当時はあんなに厳格な法の番人として権限を振るっていたリチャードですが、民間人になったらそんなことしちゃダメですよ。いや、警察官でもそこまでは……。 でも、せっかく主人公として活躍の場が与えられたんですから、これくらいはいいでしょう(笑)。 で、エラリイのいない事件ですから、事件の鍵は論理ではなく法的証拠にあります。その発見が事件解決に直結するわけですが……警察は何をやってるんだ! って思いました。いや、ここで警察が見つけちゃったら面白くも何ともないのは分かってるのですが……。正直、ミステリとしてはイマイチ感は否定できません。でも、真相はなかなか痛々しいですね。 シリーズのファンとして外せないのは、リチャードとジェシイのロマンスでしょう。エラリイを差し置いてあっさり結婚してしまいます(あっさりし過ぎなのがちょっと物足りないですが)。 でも、年齢と青春は関係ないぞ、というテーマをストレートに表すエピソードといえるでしょう。 ちなみに、本書の後日談として、リチャードとジェシイが新婚旅行から帰ってきてからの物語、『真鍮の家』があります。 |