ハートの4
原題:The Four Of Hearts
作者:エラリー・クイーン(Ellery Queen)
訳者:青田勝(あおた・かつ)
初刊:1938
出版:創元推理文庫
装丁:カバーイラスト ひらいたかこ
    カバーデザイン 磯田和一
定価:700円+税
ISBN4−488−10419−3

[あらすじ]
 ハリウッドへ脚本家としての仕事をするために招かれたエラリーだったが、六週間経ってようやく仕事を始めることができた。
 その映画で主演をする予定だった男女は長い間敵対関係にあったが、それが突然結婚を発表して大騒ぎ。あわただしくも壮麗な結婚式が計画され、二人は飛行機でハネムーンに旅立ったが、誰も予想し得なかった悲劇が発生する。
 エラリーは事件を解決することができるのか!?


〔Caution!! ネタばれ注意〕

「そんなにびっくりしなくともいいですよ、ブッチ、論理には感傷はぬきだから」(p161より)


 …うーん。困りました。
 何も言うことがありません。ちっとも面白くなかった……。

 本書は、前作『悪魔の報酬』に続いてのハリウッドもの第二作です。
 前作で面会を切望していたプロデューサーのブッチャーにも無事会うことができて、それから映画の話が具体的にトントン進んでいきます。
 エラリーは脚本家というより脚本家の補佐として、変人ぞろいの出演者たちの間を取り持つという、ちょっと向いていないように思いますが、エラリー自身も十分変人ですから、毒を持って毒を制すといいますか、意外と上手くこなしていきます。
 こんな感じでストーリーが進んでいきますが、ハリウッドらしい展開ではあります。
 で、作品の売りは二人のスターの不仲ぶりだったのですが、それが急に結婚することになって、慌てて映画の宣伝を兼ねた壮大な結婚式を計画することになって、で、予想通り殺人事件が発生します。

 …ホントに予想通りなんですよね、いろんな意味で。
 ロマンスは特に意外なものではないし、それどころかベタな展開で恥ずかしいです(笑)。
 ミステリとしては、らしくもなく動機オンリーで事件が解決されちゃいます。
 物証がないので犯人を捕まえるために罠をかけることになりますが、一番重要な部分を警察ではなくエラリーがつとめることになるというのは、かなり無理があると思います。
 トランプの脅迫も意味が良く分からないし、ホントに困ってしまいます。
 22章の「終わりの始まり」だけは、何のことだか分からなかった伏線が解消されて、それなりに面白かったですが、でも、「パークは死んだ」って作中でハッキリ宣言されてるのに、それが生きてるって言われてもあんまり感心できません。
 まあ、たまにはこんな作品もあるってことでしょう。

 ハリウッドものには、この作品の15年後を舞台にした『悪の起源』がありまして、『悪魔の報酬』とあわせてハリウッド三部作と呼ばれています。


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