「そして誰もいなくなった」―マザー・グース原詩―

 原文、訳ともに、谷川俊太郎訳・平野敬一監修、講談社文庫「マザー・グース4」より引用のものです。詳細は同書に実際に触れて下さい。また、「マザー・グース」は1〜4までありますが、「4」はまとめとして、マザー・グース全般についての解説がなされており、資料価値も高いと思います。
 マザー・グースとは何か?簡単にいってしまえば、イギリスの古い伝承童話です。
 マザー・グースについては、山口雅也がキッド・ピストルズを主人公とするマザーグース・ミステリを書いています。そして、創元推理文庫「キッド・ピストルズの冒?」所収の巻末エッセイ「なぜ駒鳥を殺したのか?」では、山口雅也が自己の見解を述べながら、マザーグース・ミステリについて書いています。キッド・ピストルズシリーズ、巻末エッセイともオススメです。
 なお、実は結末には二つのバージョンがあります。その点については書評本文を参照して下さい。

(原詩)
Ten little black boys went out to dine;
One choked his little self, and then there were nine.

Nine little black boys sat up very late;
One overslept himself, and then there were eight.

Eight little black boys travelling in Devon;
One said he'd stay there, and then there were seven.

Seven little black boys chopping up sticks;
One chopped himself in half, and then there were six.

Six little black boys playing with a hive;
A bumble-bee stung one, and then there were five.

Five little black boys going in for law;
One got in chancery, and then were four.

Four little black boys going out sea;
A red herring swallowed one, and then there were three.

Three little black boys walking in the Zoo;
A big bear hugged one, and then there were two.

Two little black boys sitting in the sun;
One got frizzed up, and then there was one.

One little black boy living all alone;
He got married and then there were none.

(訳)
十にんのこくじんのこども ごはんをたべにいく
ひとりがのどをつまらせて 九にんになった

九にんのこくじんのこども とてもよふかし
ひとりがぐうぐうねすごして 八にんになった

八にんのこくじんのこども デヴォンへたびする
ひとりがそこにのこるといって 七にんになった

七にんのこくじんのこども まきをわる
ひとりがじぶんをまっぷたつ 六にんになった

六にんのこくじんのこども はちのすであそぶ
まるはなばちがひとりをさして 五にんになった

五にんのこくじんのこども ほうりつのべんきょう
ひとりがどうにもならなくなって 四にんになった

四にんのこくじんのこども うみへでる
くんせいにしんがひとりをのみこみ 三にんになった

三にんのこくじんのこども どうぶつえんへ
おおきかくまがひとりをだきしめ ふたりになった

ふたりのこくじんのこども ひなたぼっこ
ひとりがじりじりこげついて ひとりになった

ひとりのこくじんのこども ひとりぼっちでくらしていたが
けっこんして だれもいなくなった


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