| カラフル(colorful) | |
| 作者:森絵都 出版:理論社 初刊:1998 装丁:イラスト 長崎訓子 デザイン 池田進吾 定価:1500円+税 |
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帯より…「一度死んだ魂が、少年の体を借りて下界で再挑戦する」お話 [あらすじ] 案内役のすっとボケたガイド役の天使プラプラによれば、一度死んだ魂、「僕」は前世で何らかの罪を犯しており、それが何だったのかを思い出すことによって、魂は無事昇天し、輪廻のサイクルに復帰するという。そのための修行として、「小林 真」の体に「ホームステイ」することになった「僕」だが…。 この本は子供向け小説のスペースに置かれています。いわゆる、ジュブナイルです。まあ、その分類も分からないではないのです。小林真は中学3年生なので、その年頃の若者が抱える誰でも覚えのある問題が、説教じみた言葉ではなく軽妙なテンポで語られています。文字は大きくて読みやすく、難しい漢字は使われていませんし、それで275pですから簡単に読めます。ですが、子供に独占させるには惜しい本です。 また、登場人物がどいつもこいつも変わり者なのにどこにでもいそうな人物ばかりなので(現実もそうですよね)、魂、輪廻、天使といった言葉が出てくる割にはリアルな話です。初恋の女性は中年男と援助交際、上司の失脚を喜ぶ父親、母親はフラメンコスクールの講師と不倫…。前言撤回。ジュブナイルにして子供に読んでもらいましょう(いいのか)。 進路の問題、思春期の悩み、家族との関係、自分らしさとは何か、といった問題を、ちょっと内気で神経質な「僕」の心を通じて考えさせられる作品です。みんながいろいろな「色」を持っている。だけど、自分にしかない「色」もある。タイトルである「カラフル」にはそんな想いが込められているのでしょう。 しかし、アイヨシがこの本を読んでもっとも感動したのは、「僕」が前世で犯した罪を思い出すまでの過程です。結末は決して意外なものではありません。しかし、それを導き出すための伏線というか、根拠がすごいのです。タイトルにも通じるものがありますし。「行間に書かれている文字を読め」の典型ですね。油断してました。魅力的な謎・巧妙な伏線・鮮やかな解決・意外な結末があって、その過程を楽しむのがミステリだとアイヨシは思っています。その意味で、この本はミステリとしても立派だと思います。繰り返すようですが、伏線と解決がシャープなのです。 総合的には、非常にお勧めの一冊です。本好きの人なら誰でも楽しめる一冊だと思います。 |