| フジモリの脳内ラビリンス
〜a labyrinth in fujimori's brain〜 Onehundred-Second bookshelf 竹宮ゆゆこ『わたしたちの田村くん(1)』 |
「大、好き、だーっ!」 舞奈 「♪ちゃちゃちゃ(2拍3連符)ちゃちゃちゃ(2拍3連符)〜ちゃちゃ〜ちゃちゃ〜ん〜(ぱらぱっ♪ぱらぱっ♪)」 御影 「?」 舞奈 「古畑・・・じゃなかった、田村です」 御影 「いっこ前の書評と同じフリかいっ!」 舞奈 「というわけで、今回取り上げるのは竹宮ゆゆこの「わたしたちの田村くん(1)」です」 御影 「そういうことかいっ!!1作かけてまるまる前フリすなぁっ!」 舞奈 「壮大でしょ。ま、この本、前フリした前回の書評、森博嗣「θは遊んでくれたよ」と違ってラブコメ直球な作品よ。じゃ、あらすじお願い」 御影 「はいな。 中学最後の夏。クラスのどこもかしこも桃色の雰囲気が漂う。この流れに遅れまじと、オレ、田村雪貞(主人公)は素敵な恋をしたい!と一念発起する。進路希望に「故郷の月に帰りたい」と書いた電波少女、松澤小巻。兄の部屋と間違えてオレの部屋の窓ガラスをぶち破ってバレンタインチョコを投げ込んだツンデレ少女、相馬広香。二人の間で、オレは思い悩む・・・。 ちゅう話や」 舞奈 「うん。1巻のあらすじはそんなとこね。ネタバレなしだし。さて、感想に入るけど、ストーリィとしてはよくあるラブコメよね」 御影 「そやなぁ。二人のヒロインの間で思い悩む主人公、ちゅう構造は、古今東西、枚挙にいとまないわぁ」 舞奈 「それこそ、ジェンダー(登場人物の性別)を逆にするとオペラなんかでもあるしね。いわゆる「恋の鞘当て」というやつ」 御影 「せやけど、よくあるラブコメやったら、ウチらの書評でわざわざ取り上げんでもええんちゃうん?」 舞奈 「ところが、この作品「わたしたちの田村くん」は、そこにちょっぴり異なるスパイスを入れているの。ヒロインを普通の少女にせず、「電波少女」と「ツンデレ少女」を配したこと!うん、画期的よねぇ」 御影 「・・・」 舞奈 「・・・」 御影 「・・・・・・」 舞奈 「・・・・・・」 御影 「・・・えーっと、「電波少女」「ツンデレ少女」ってなんなん?」 舞奈 「えぇーっ!そこから説明するのぉ!?そんなのコモンセンスじゃないの!」 御影 「いや、舞奈のコモンセンスと一般のコモンセンスはちゃう思うから」 舞奈 「しょうがないわねぇ。私が噛んで含めるように説明してあげるわ。まずは電波少女。「不思議少女」「不思議ちゃん」と同一視されることもあるわね。その言動が突拍子もなく、頭から電波を発しているかのような女の子のことよ。「電波系」とも言うわ。聞く側が引いてしまうぐらいの変な言動をしたら確定ね。「不思議ちゃん」「不思議少女」に比べて「電波少女」の方がキチガイ度が高いと思われます。具体例は小倉優子」 御影 「待て待て待てぇ!さらっと問題発言すなぁっ!」 舞奈 「「電波」の語源はLEAFが1995年に出した「雫」というゲーム内の単語「毒電波」。まあ、元をただすと大槻ケンヂの「新興宗教オモイデ教」なんだけどね」 御影 「なんかふつーに話しとぉけど、めっちゃ濃ぉない?」 舞奈 「だから、コモンセンスだって。えーっと、この書評を読んでる8割の読者は「知ってるよ!わざわざ説明しなくてもいいって!」とイライラしてるかもしれませんが、しばしご辛抱ください〜」 御影 「8割て!」 舞奈 「若干扱いが難しいのが「無表情少女」よね。代表は綾波レイ。「電波少女」「不思議少女」と同じく「何を考えているのか分からない」ので同系統にカテゴライズしても良いと思うんだけど、実はツンデレっていうトラップが隠されている場合があるので要注意ね!」 御影 「トラップってなんやねん!しかもツンデレとか既知の用語のように使っとぉし!」 舞奈 「はいはい。「ツンデレ少女」っていうのは、「普段はツンツン(人付き合いが悪い、冷たい印象を受ける、など)、付き合うとデレデレ(甘えてくる)」という二面性をもつ女の子のことで、そのギャップにクラっとなる人が多いわ。この属性が人気なのは、普段は「ツン」の相手が自分に対してだけ「デレ」という、「他の人には見せない一面」を「自分だけに見せてくれる」からね。で、この「ツン」と「デレ」の境を、「最初は「ツン」、好きになったら「デレ」」が良い(=好き)か、「最初は「ツン」、好きになっても「ツン」で好きなのに気持ちを伝えられないんだけど、想いを遂げて付き合いだしたら「デレ」」という方が良い(=好き)かは世論を二分するところかしら」 御影 「いや、世論なんてないやろ?」 舞奈 「ちなみに、本作では「ツンドラ系」と言ってるわね。確かに、相馬は「他人には「ツン」、主人公には「デレ」なんで、厳密に言うと「ツンデレ少女」に当てはまらない可能性はある。気をつけなきゃ」 御影 「はぁ」 舞奈 「具体例は音無響子」 御影 「古いなぁおい!」 舞奈 「それだけ昔からあるベタな属性ってことね。ちなみに、「ツンデレ」っていう言葉はとある匿名掲示板で二次元女性キャラクターの性格設定について「ツンツンデレデレ」という表現をしたことに由来するわ。ま、詳しくはこちらをご覧ください。 wikipedia 電波系 wikipedia ツンデレ どう?わかった?」 御影 「まあ、なんとなくはわかったわぁ。んーで、話を「わたしたちの田村くん」に戻すけど、どこが画期的なん?」 舞奈 「さっきも言ったけど、「電波少女」と「ツンデレ少女」をヒロインに配した点。しかも、「電波少女」をメインヒロインにね」 御影 「いや、「イリヤの空、UFOの夏」も電波少女とツンデレ少女やろ?」 舞奈 「あ、そうか。うーん、・・・でも、「わたしたちの田村くん」は、「ラブコメ」というジャンルだからこそ、「電波少女」と「ツンデレ少女」の対比が際立つのよ」 御影 「でもフジモリが「イリヤ」はラブコメだ言ぅとったけど」 舞奈 「ちっ、あの野郎・・・(アトデコロス)」 御影 「?、なんか言ぅたぁ?」 舞奈 「いえいえ、なんでもないのよおほほほほ。まああえて言うなら、「イリヤ」では主人公浅羽はイリヤ一筋だけど、田村くんは松澤と相馬の間でフラフラ揺れてるところが最大の違いね。さて、田村くんは「電波少女」と「ツンデレ少女」のどちらを選ぶのか!」 御影 「どっちなん?」 舞奈 「それはネタバレ書評、2巻の感想で話します。意外と奥深いですよ、この二つの属性」 御影 「そうなんや」 舞奈 「ま、1巻は田村くんが電波少女とツンデレ少女に振り回されて、でも心がキュンとなって・・・な様子を身を捩りながら思う存分楽しんでください。文体も勢いがあり、ところどころに漫画ネタ(福本伸行ネタもあるわね)、ゲームネタなど散りばめられてるし、テンポよく読めると思うわ。まあ、キャラクタ造型は、松澤も電波すぎるほどキチガイじゃないし、相馬もすぐに「デレ」になるんで(でも周囲には「ツン」)拍子抜けかもしれないけど、仕草やセリフにグッとくるわ」 御影 「そうなんや」 舞奈 「まさに東方仗助状態ね。『グッときたぜ!!』」 御影 「それちゃうって!絶対ちゃうって!」 舞奈 「「電波少女」「ツンデレ少女」にグッとくるための入門書といっても過言ではないわ。それが、今回の感想かしら」 御影 「それ感想ちゃう!」 御影 「「電波少女」に「ツンデレ少女」かぁ。まあ、ええ勉強になったわ」 舞奈 「そうだ!」 御影 「いきなり何やねん」 舞奈 「私もこの流行りに乗っかって、「電波属性」と「ツンデレ属性」を身に着けてみます!」 御影 「その二つどうやって両立させんねん」 舞奈 「あ、そうか。うーん(しばし考える)・・・はっ!逆転ホームラーン!」 御影 「うわびっくりした!」 舞奈 「こういうのはどう?普段は冷酷なボスなの。裏切った部下は容赦なく殺す。これが「ツン」ね」 御影 「怖いなぁ」 舞奈 「でも、たまに弱気で小心者なところを見せるの。タクシーにボられても言い返せないくらい。これが「デレ」で」 御影 「びみょーにちゃうような気ぃすんねんけど。で、「電波」は?」 舞奈 「とぉぅるるるとぉぅるるる・・・あ、ボスからの電話だ(近くにあった蛙を耳に当てる)」 御影 「それ「ツンデレ」でも「電波」でもないって!ギャングのボスやって!」 舞奈 「このジョルノ・ジョヴァーナには夢がある!」 御影 「ええかげんにせんかいっ!」 |