フジモリの脳内ラビリンス

〜a labyrinth in fujimori's brain〜

Ninty-first bookshelf (ネタバレ感想)
西尾維新『サイコロジカル』


註!
今回の書評には内容に関するネタバレがあります。未読の方はご注意ください。



まったくもって絶悪論理(サイコロジカル)。
行為ではなく、認識の理論。


フジモリ 「今回取り上げるのは、西尾維新「サイコロジカル」です」

御影 「ええペースで進めとぉね」

フジモリ 「ウケ線狙いで」

御影 「狙うなぁ!」

フジモリ 「まあまあ。結構シリーズものの書評、途中でほっぽったりしてるんで、この戯言シリーズぐらいは全部書評してみようかな、と」

御影 「ほお。殊勝やね」

フジモリ 「思ったり思わなかったり」

御影 「どっちやねん!」

フジモリ 「と、まあ、矛盾理論がふんだんに盛り込まれた戯言シリーズ第4作、「サイコロジカル」をお届けします」

御影 「なんやうまくまとめよったな」

フジモリ 「ふふん。いーちゃんとまでは言わないが、フジモリもレベル7ぐらいの戯言遣いだからね」

御影 「詐欺師とか詭弁家とも言ぅわな」

フジモリ 「そんな・・・ひどい・・・「はい/いいえ」」

御影 「ドラクエIやん!わからんて、誰も!」

フジモリ 「でも、戯言シリーズも「男塾」とか「ジョジョ」とか平気で使ってくるし」

御影 「対抗せんでもええから!あらすじいくで!

「きみは玖渚友のことが本当は嫌いなんじゃないのかな?」
玖渚友のかつての仲間、「害悪細菌(グリーングリーングリーン)」こと兎吊木垓輔を救出に『堕落三昧(マッド・デモン)斜道卿壱郎』の研究所を訪れた「ぼく」。玖渚と兎吊木の再会、「ぼく」と兎吊木の邂逅。

そして訪れる惨劇。
眼前に広げられる戦慄の情景は、「終わり」の「始まり」に過ぎなかった・・・。

どや!渾身のあらすじやろ!」

フジモリ 「・・・まあ、六十点ってところか」

御影 「作中の登場人物のセリフ使ってかっこつけんなぁっ!」

フジモリ 「お、誰のセリフと言わないところがフェアだね。まあ、今回はネタバレありだから」

御影 「せやけど、この作品でだいたい方向性が固まってきとぉね」

フジモリ 「そうだね。ミステリィ部分は鳴りを潜め、「戯言遣い」いーちゃんをはじめとする、ちょっとイカれた登場人物たちの洒脱で軽妙な会話で物語が進められる」

御影 「そやね。いーちゃんと兎吊木の「一問一答」なんかは手に汗握るやんね」

フジモリ 「元ネタは「ハンター×ハンター」と見てるんだけど、どうか?」

御影 「「どうか?」ちゃうわ!いちいち元ネタ探さな気がすまんのか!」

フジモリ 「なんか気になるし。それに、こういう小ネタは作者があえて入れてるとも考えられるしね」

御影 「え?あえて?・・・なんで?」

フジモリ 「それは次作の書評で説明しよう。それにしても、今作はまず、「害悪細菌」こと兎吊木垓輔の強烈なキャラが印象的だよね」

御影 「確かに。会話だけで人を「壊せる」、ほんま恐ろしい壊し屋やね。エレベーターも素手で分解しとったし」

フジモリ 「・・・・・・アナスイ?」

御影 「せ〜や〜か〜ら〜、元ネタ探しはええって!」

フジモリ 「へへん(胸をはる)」

御影 「なに勝ち誇った顔しとんねん!」

フジモリ 「まあまあ。確かに、兎吊木のキャラは強烈だよね。玖渚をリーダーとする、世界を震撼させた「チーム」の一員だったしね。・・・そういえば、チームの一員だった街(バッドカインド)こと「式岸軋騎」は「零崎軋識」として別の作品に登場してたね」

御影 「うそぉ!?」

フジモリ 「ほんとほんと。この戯言シリーズも、上遠野浩平「ブギーポップシリーズ」のように、どこでどういう風に昔の登場人物が再登場するか分からない、気を抜けない作品になってきたな、と思ったよ」

御影 「そりゃ、あんたの記憶力の無さが原因やろが!」

フジモリ 「そうとも言う」

御影 「そぉとしか言わへんわ!・・・んーで、おとなしめのミステリィ部分の感想はどやったん?」

フジモリ 「うん。今作は、作者自らも、そして「最強の請負人」哀川潤も言っているが、「クビキリサイクル」の裏面なんだ。「殺されたと思われた人が殺してた」というトリックの中核部分はそのままに、今作「サイコロジカル」では探偵役であるいーちゃんが「犯人(=救出する相手である兎吊木垓輔)」を逃がすために嘘の解決編をする。嘘の、それこそ「戯言」の脱出ルートをでっちあげ(本当の脱出ルートは玖渚友がロック解除後、堂々と建物から出て行ったんだと思われる)、本当の死者であり兎吊木垓輔がなりすましている神足雛善を「犯人」にでっちあげ、しかも本当は死んでいる神足雛善を生きていると思わせながら逃亡させ、しかして実態は兎吊木垓輔を逃がしている、という幾重にも重ねた矛盾論理を「戯言」一つで罷り通らせてしまう。その過程は面白かったし、読者は読者で「クビキリサイクル」を読んでいるのでこのトリックには気付きやすいだろう。森博嗣「笑わない数学者」と同じく、全てを知っている読者なら気付くという「逆トリック」。ある意味、メタであり、そしてこれからの展開と密接に結びつく仕掛けだと思うよ」

御影 「これからの展開と密接に結びつく?」

フジモリ 「これも、次の書評で」

御影 「うぅぅ。引っ張るなぁ」

フジモリ 「ジャンプ漫画っぽくて良いっしょ?」

御影 「そこまで真似せんでもええって!」

フジモリ 「ともあれ、キャラクタの会話を読むだけで楽しめるし、兎吊木と対等に渡り合っているいーちゃんの成長っぷりを読んでも楽しめる。深読みの余地もあるしね。「今作はこうきたかぁ」と思ったけど、エンターテイメント小説として、素直に楽しむことができた。次作も楽しみだしね。それが、今回の感想かな?」




御影 「それにしても、いーちゃんの戯言っぷりは、ほんまおもろいね」

フジモリ 「だから、フジモリの戯言っぷりも負けてないって」

御影 「ふふん。ほんなら、なんか戯言を言ぅてみてや」

フジモリ 「おう。・・・じゃあ、種明かしするけど、この書評も「クビキリサイクル」の裏面になっている」

御影 「えっ!?えっ!?ほんま?」

フジモリ 「うむ。「クビキリサイクル」の書評と同じく、フジモリがボケて御影がツっこんでるだろ?」

御影 「それだけかいっ!」

フジモリ 「じゃあ、表紙の写真を・・・」

御影 「それはもぉええって!」

フジモリ 「どうだ!戯言レベルEの腕前を見たか!」

御影 「最後までジャンプネタかいっ!!」



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