フジモリの脳内ラビリンス

〜a labyrinth in fujimori's brain〜

Eighty-ninth bookshelf
木村航『ぺとぺとさん』




「せやかてウチ妖怪やもん」


フジモリ 「今回の書評も初顔です。木村航の「ぺとぺとさん」です」

御影 「ライバル登場!?」

御影 「はりきらなくっていいって」

フジモリ 「!!、誰だよ今のツッコミしたのは!?ってか、それ「あずまんが大王」ネタだろが!わけわかんないって!」

御影 「まあまあ。今回はウチが知的なボケをする番やからぁ。ほな、感想いこか。この本、妖怪と人間がいっしょに暮らす世界の、のんきな日常を描いたお話やねんなぁ」

フジモリ 「「知的なボケ」とか「ウチの番」とかいろいろツッコみたいけど、まあ、置いておこう。御影の言うとおり、ほのぼの物語だね。では、あらすじいこうか」

御影 「そやね。

 いとしいものと触れあった肌が「ぺとっ」とくっついてしまう妖怪「ぺとぺとさん」の、ぺと子こと藤村鳩子。
 彼女は人間と妖怪の一環教育を実践するマガ校(大曲垣峠中等教育総合校)に転校してきたばかりの中学二年生。
 主人公のシンゴ(人間)やカッパの沙原、ぬりかべのぬりちゃん、あかなめの赤沢らと大変なことがあったりなかったりの楽しい日常生活を送っていくが・・・。

 ちゅう話やね」

フジモリ 「おお、いい「引き」だねぇ。では、感想にいこうか」

御影 「せやねぇ。今回は社会派風味で」

フジモリ 「なんでだよ!普通でいいじゃないかよ!」

御影 「んーにゃ。この本、単なる「ほのぼの日常萌えキャラ小説」ちゃうねんでぇ。あんた普通に感想いったら、「ぺと子かわいいなぁ。おわり」で済ますだけやろ」

フジモリ 「う。当たらずとも遠からずのような気が・・・」

御影 「せやろぉ。ま、確かに、「ぺとぺとさん」の妖怪、ぺと子はめっちゃかわいいねんけどなぁ」

フジモリ 「だねぇ。舞台は人間と妖怪が共存する世界。しかし、妖怪(作中では「特定種族」と呼ばれる)は、共存しているとはいえいわば日陰の存在。クラスメイトの前田カンナなど、妖怪をあまり好ましく思っていない人もいる。でも、ぺと子は、そんな中、けなげに、たくましく生きている。その純粋さで彼女にかかわるさまざまな登場人物の心を動かしていくし、読んでる人にも感銘を与える」

御影 「それで、フジモリも感銘を受けたわけやね。このスケベぇ」

フジモリ 「なんでスケベなんだよ!まあ、読んでて「ぺと子がかわいいなぁ」と思ったのは認めるけどね。しゃべり方も、まったりした関西弁で。・・・って、だから冒頭で「ライバル登場!?」って言ったのかよ!」

御影 「えへん。本の内容と密接に結びついた知的なボケやろ。しゃべり方もぺと子を意識してちょっとまったりめにしてみましたぁ」

フジモリ 「意識しなくていいって!一方的なライバル宣言だって!」

御影 「まぁたまたぁ。ウチも「癒し系関西弁」で一旗あげてみせるでぇ。イメージで言えば、今までウチが使っとったんが「神戸弁」で、これからは「京都弁」に変える、ちゅう感じかなぁ」

フジモリ 「いいって!この書評のテンポ変わっちゃうから!お願いだからもとに戻して!」

御影 「ええぇ。しゃあないなぁ。・・・ほな、もとに戻して、話も戻して、と。・・・社会派風味の感想の話やけど」

フジモリ 「そこまで戻さなくてもいいから」

御影 「んーにゃ。これ、ボケとちゃうでぇ。確かに物語の中心はぺと子をはじめとする妖怪たちとモテモテ主人公のシンゴたちをはじめとする人間たちのほのぼの日常の話や。せやけど、さっきも言ぅとったけど、いくら人間と妖怪が共存している世界、言ぅても、軋轢は起こるし、快く思わない人もおる。そんな中でけなげに生きるぺと子たち。この「人間と妖怪は共存できるのか?」ちゅうテーマ、実社会に置き換えると、けっこう重いテーマやで」

フジモリ 「・・・確かになぁ。おんなじ人間同士でも、分かりあえず争いを起こす人たちがいる。グローバルな視点から見てもそうだし、もっと身近な視点から見ても、何も悪いことをしていないのに、「自分たちと異なる○○だから」という理由で差別したりする。この本、「ぺとぺとさん」は前面に押し出してはいないものの、読後には「人と人とが分かり合うこと」について考えさせられるよね。うーん、確かに社会派だ」

御影 「せやろせやろ。それに、もう一つのテーマとして、「家族愛」もあると思うねん」

フジモリ 「おお、そうだね。この本、登場人物たちに「妹」がわんさかでてくるし、ぺと子の母を始め、家族たちも物語に絡んでくる。複雑な家庭事情を持った人たちも出てくるしね。で、ストーリィ的にも、その「家族」がキーワードとなっていくし、読んでいくと、「家族っていいもんだなぁ」と思わせる流れになっていくわけだ」

御影 「そやね。まあ、「妹」がわんさか出てくるのはご愛嬌としても、この「家族」、ちゅうテーマも、この本がもっとる「ほのぼのした日常感」に彩りを添えてる、思うねん。安心できる居場所、みたいな感じかもしれへんね」

フジモリ 「うんうん。確かに社会派だ」

御影 「えっへん。どや。見直した?」

フジモリ 「見直した見直した。というわけで感想をまとめると、まず、主人公のぺと子を始め、可愛いキャラ、面白いキャラなどが繰り広げるほのぼの日常を楽しく味わうことが出来た。イラストもその「ほんわか」してる雰囲気が出てるしね。でも、裏に隠されている内容は意外と重く、「平和」とか「家族愛」とかを考えさせられる。しかも、それを説教くさくさせないところが、この本のいいところだね。この本、本当のライトノベルの読者層、中高生とかに読んでほしいな。多分フジモリみたいに「かつて中高生だった人たち」以上に、なにかを得ることが出来るんじゃないかと思う。そんな風に人に薦めたくなるほど、読む人を幸せにさせる本だ。それが、今回の感想かな」




御影 「最後も、知的なオチで締めてみよか」

フジモリ 「おう。楽しみにしてるぞ」

御影 「この話のテーマの一つ「家族愛」にちなみ!」

フジモリ 「うんうん」

御影 「冒頭ウチにツッコんだ人の正体!なんと!ウチの妹「御影(おかげ)」でしたぁ!」

フジモリ 「妹かよ!ってか、ほんとに妹いたのかよ!」

御影 「へへん。前回の感想のオチ、ネタかと思たやろ!ちゃうねんで!・・・ちゅうわけで、御影(おかげ)、挨拶しぃや」

御影(おかげ) 「あのぉ、御影姉さんの妹の、御影(おかげ)ですぅ」

フジモリ 「うわっ!ほんとに妹だよ!」

御影(おかげ) 「ウチもぉ、ぺと子を意識してぇ、「癒し系関西弁キャラ」目指してがんばりますぅ」

フジモリ 「また話戻しちゃってるよこの人たち!だから、それはいいんだって!」

御影 「まあまあ。てなわけで、これからはボケ倍増で張り切っていくで。あ、お約束のセリフがあるんやな」

フジモリ 「なんだよ、お約束のセリフって?」

御影・御影(おかげ) 「いつもより多くボケておりますぅ」」

フジモリ 「・・・フジモリのツッコむ労力も気苦労も倍増するのかよ・・・」



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