| フジモリの脳内ラビリンス
〜a labyrinth in fujimori's brain〜 Eighty-sixth bookshelf(ネタバレ感想) 西尾維新『クビツリハイスクール』 |
「お前はな、−−−−なんていうか、他人を落ち着かない気分にさせるんだよ」 フジモリ 「さて、今回取り上げる本は、西尾維新の「クビツリハイスクール」だ」 御影 「今回はネタバレ書評やね」 フジモリ 「そういうこと。西尾維新の「戯言シリーズ」未読な方や、シリーズの謎を謎のままにとっておきたいかたはご注意下さい」 御影 「「捩れ屋敷の利鈍」で味しめおったな」 フジモリ 「なんとでも言うがよいさ。では、御影、あらすじをお願い」 御影 「はいな。 人類最強の請負人、「赤い制裁」こと哀川潤によって無理やり女子高に潜入させられた「ぼく」とこ戯言使い「いーちゃん」。 そこの学園、私立澄百合学園はまたの名を「首吊学園」と呼ばれていた。 潜入した僕の使命はとある生徒を救い出すこと。 しかしその「ぼく」は、学園を取り巻く恐ろしい殺戮の嵐に巻き込まれる・・・。 いう話や」 フジモリ 「この作品、戯言シリーズの3作目なんだけど、1作目「クビキリサイクル」のミステリィ、2作目「クビシメロマンチスト」の青春デカダンスに対して、まったく毛色の違った作品となっている」 御影 「ジョジョやね」 フジモリ 「はっきり言うなぁっ!!」 御影 「せやかて、そう思わへんかった?特殊能力とコードネームを持った登場人物たちのバトルがメインやん」 フジモリ 「確かにそうだけどさ。思うに、作者の趣味が思いっきり発揮されている作品だよね。潤が好きなマンガからしてもそれが伺える」 御影 「上遠野浩平みたいやね」 フジモリ 「ほんとだね。上遠野浩平もミステリ風味の作品からジョジョ風味の作品にシフトしていった。説明なしに過去の作品の登場人物名が出ているところもかぶるね。よし!今後こういう芸風の変化を「上遠野化」と名づけよう!」 御影 「いろんなところを敵に回す発言をすなぁっ!」 フジモリ 「幽遊白書は編集部の介入が入っているから微妙に上遠野化とは言いづらいね」 御影 「だからやめいっ!・・・で、感想はどうやったん?今までの作風から肩透かしくらったし、おもろなかったん?」 フジモリ 「いーや。だって、フジモリはジョジョ大好きだし」 御影 「せやから問題発言はやめいゆぅの!」 フジモリ 「まあまあ。この「戯言シリーズ」の作者、西尾維新のデビュー作(メフィスト賞受賞作)「クビキリサイクル」は、個性の強いキャラを出しながらも本格的なミステリィという芸風で読者をいい意味で裏切り、2作目「クビシメロマンチスト」はラブコメかと思いきやドロドロデカダンスでまたも読者の期待をいい意味で裏切った。で、今作もバリバリの格闘アクションでまたしても読者の期待をいい意味で裏切った。同じ世界を舞台にしながらもまったく毛色の違った作品を展開する、という意味で、何が起こるかわからない、非常に興味深い作風だね」 御影 「つまりドラクエの世界を舞台にしてシューティングゲームや恋愛アドベンチャーゲームを出すようなもんやね」 フジモリ 「なんか強引な例えだが、そんなもんだ」 御影 「どっちかっちゅうと、ライトノベルみたいやね、今回は」 フジモリ 「確かに。キャラクタメインの小説だし、そういう印象を受けるね。フジモリは2作目「クビシメロマンチスト」でこのシリーズをミステリィとして読む先入観を捨てたんで、すぐに舞台に迎合できた。ただ、キャラクタに感情移入できない人はきついかもね。好みの分かれる作品だと思うよ」 御影 「ミステリのトリックも今までの中では一番普通やったしね」 フジモリ 「あえてシンプルにしているんだと思うよ。登場人物、特に「ジグザグ」をメインに据えたために、ああいったトリックになったんじゃないかと思った。キャラが先にできた感じだね」 御影 「キャラゆうたら、今回は、いーちゃん大活躍やったね」 フジモリ 「今までは周りにすごい人たちがたくさんいて影が薄かったけど、結構面白いと思うよ。持っている特殊能力も含めて」 御影 「スタンドいうなぁっ!!」 フジモリ 「言ってないわっ!」 御影 「あ、そう?・・・そういや、今作でいーちゃんの名前のヒントがでとったな。わかった?」 フジモリ 「ああ。 1.あだ名は「いーちゃん」「いーたん」「いの字」など 2.母音が8、子音が7 3.「あ」を「1」、「い」を「2」・・・「ん」を「43」として、名前を全て数字に置き換えた総和は134 ってやつだね」 御影 「こんなヒントでわかったん?」 フジモリ 「2、3候補があるけどね」 御影 「うそぉ。妹が「井伊遥奈」やから、苗字は「井伊」?」 フジモリ 「違う」 御影 「ほな、謂神?」 フジモリ 「違う」 御影 「もったいいぶらんと早よ言えやっ!」 フジモリ 「質問に答えただけだろが!・・・えっと、最初はそう考えていろいろはめってったんだけど、いかんせん候補が多すぎた。で、いったん頭をリセットし、別方面からアプローチしたみた」 御影 「別方面から?」 フジモリ 「うん。いーちゃんいーちゃん言うけど、実は「い」と言う文字が入ってないんじゃないかって」 御影 「どういうこと?」 フジモリ 「某ゲーム会社のスタッフに、「一 一」っていう人がいたんだけど、なんて読むかわかる?」 御影 「かずはじめ?」 フジモリ 「それはそのまま平仮名だろうが!正解は、「にのまえ はじめ」。「にのまえ」って、けっこうマイナーメジャ(レアなだけに逆に有名なこと)な苗字みたいだね」 御影 「なるほど、二の前やから一、ゆぅわけやな」 フジモリ 「ここにヒントを得て、最初苗字は「うのまえ」じゃないかと考えたんだ」 御影 [!!なるほど!「うの前」で「い」か!」 フジモリ 「子荻が「キーワードは「い」」って言ってたしね。ただ、「うのまえ=unomae」だと母音4、子音2でバランスが悪い。名前を母音4、子音5になるにはshi、tsuなどを入れるんで、「うのまえ いちもじ」とか考えたんだけど、合計が124だ」 御影 「せやけど、ええアプローチやな」 フジモリ 「だろ?と、いうわけで、「うのまえ」でなかったら「あのつぎ」だ。「阿野次」とかって苗字、ありそうだろ?」 御影 「確かに」 フジモリ 「「あのつぎ=anotsugi」だと母音4、子音4。名前に母音を入れるだけでいい。「あ」の次の文字だから、「あのつぎ ○○もじ」。合計数が98だから残りの2文字で母音が入った組み合わせは足して36になる「あ・も」「い・め」「う・む」「え・み」「お・ま」の5通り。意味が通りそうなのは、「あのつぎ うむもじ」「あのつぎ もじみえ」かな」 御影 「おお、ちゃあんと要件を満たしとぉな」 フジモリ 「あとは、「あ」のあとなんで、「あのあと」かな。これも母音4、子音2だけど、合計数が47、残り87なんで融通がきく。子音が二つあり、かついちばん数字の大きい「つ=tsu」をいれるということで、「ひとつ」が浮かんだ。と、残りの数字は「に」。「あのあと ひとつに」「あのあとに ひとつ」「あのひとつ あとに」なんかが候補になるね」 御影 「めっちゃいっぱいあるやん」 フジモリ 「文字の並び順には制限がなかったから、アナグラムが可能になっちゃうからね。とにかく、このあたり。特に「い」という文字を示す言葉が関連するんじゃないかと踏んでいる」 御影 「なるほどなぁ」 フジモリ 「ただし、今回は「捩れ屋敷の利鈍」と違って正解の確信はない。反論は大歓迎だ」 御影 「・・・まあ、本編以外にお楽しみ要素がある、ゆぅのもこの作品の楽しさのひとつや、ゆぅことやね」 フジモリ 「FFのミニゲームみたいなものだね」 御影 「そやな。あれって下手すると本編よりおもろいからなぁ・・・ってあかんやろ!」 フジモリ 「自分で言っといてキレるなぁっ!」 御影 「まあまあ、落ち着いて。せやけど、今作ってこんな遊び心に満ちた感想が合う気がするやろ?」 フジモリ 「うまい具合にまとめたね。確かにその通り。今作は、「クビキリサイクル」などのミステリィを期待した人は結構肩透かしを食らうけど、なんでもありの「戯言シリーズ」として受け入れれば面白く読めるね。次はどんなジャンルでくるか、というメタな読み方もできる。まあフジモリとしては、いーちゃんの名前の謎にちょっと踏み込めただけでも満足だったけどね。胡乱としてるけど、これが、今回の感想かな」 御影 「なあ」 フジモリ 「ん?」 御影 「いーちゃんの名前がわかったゆぅけど、いままでいーちゃんの本名を呼んだ人って、みんな死んどんのやろ?大丈夫なん?」 フジモリ 「大丈夫大丈夫」 御影 「なんでそんな自信満々やねん。もしかして、当たってない自信があるからとか?」 フジモリ 「いや、さっき言った候補のどれかは当たっている、あるいはかすっているんじゃないかな?」 御影 「せやったらあかんやん」 フジモリ 「だから大丈夫だって」 御影 「せやから、なんでそんなに自信もってゆぅん?」 フジモリ 「だって、この感想通じて読んだ人に伝えてるだろう?1ヶ月以内に次の人に本名を見せれば大丈夫なんだって。でも死んだ後はDNA構造が変化しているかもしれないけど」 御影 「いーちゃんの本名は貞子のビデオかいっ!!!!」 |