フジモリの脳内ラビリンス

〜a labyrinth in fujimori's brain〜

Seventy-eighth bookshelf(ネタバレ感想)
森博嗣『朽ちる散る落ちる』


註!
今回の書評には内容に関するネタバレがあります。未読の方はご注意ください。



遠く離れてしまっても、
肉体は朽ちて、消えてしまっても、
こうして、残るものがある。


フジモリ 「さて、今回はVシリーズ第9話、「朽ちる散る落ちる」の感想です」

御影 「第9話!「保呂草、未亡人の危険な依頼に断りきれず・・・」ちゅう話やな」

フジモリ 「なんで2時間ドラマ風のサブタイトルなんだよ!・・・ま、まあ、そのキャッチに誤りはないんだけどさぁ・・・」

御影 「へへん。そやろ。ぎりぎりフェアを狙ってみました。・・・「ぎりぎりフェア」って、なんや怪しいもん売ってそうやね」

フジモリ 「「あぶないみずぎ」とか?」

御影 「ふーん(冷めた目)」

フジモリ 「なんでそこでスルーするんだよ!ボケ損じゃねえかよ!」

御影 「まあまあ。たまには新境地のツッコミをさせてぇや。ほな、あらすじいくで。

 「六人の超音波科学者」事件から一週間後。全てが解決したと思っていた土井超音波研究所の地下で、謎の死体が発見された。
 一方、瀬在丸紅子は、大西洋上に着水した有人衛生から、乗組員四名全員の死体が発見されたという密室事件を聞かされる。
 二つの事件はつながっているのか?そして、事件の真相は?
 Vシリーズ第9話!「朽ちる散る落ちる」!
 乞う、ご期待!

 ちゅう話や」

フジモリ 「なんだよ最後の2行は」

御影 「え?次回予告っぽく・・・」

フジモリ 「ま、確かにTVドラマみたいと言ったのはフジモリだけどさ・・・」

御影 「そやろそやろ。で、今回の話はどやったん?」

フジモリ 「うん。Vシリーズの伏線集大成という印象を受けた。「うわっ、そうくるかっ!」のオンパレードだったね」

御影 「懐かしい人がぎょうさん出てきたなぁ」

フジモリ 「そうだね。まず、「地球儀のスライス」収録の短編「気さくなお人形、19才」で出てきた纐纈一族。おじいさんも重要な役割だし、また物語の最重要人物として出てくるのが纐纈苑子」

御影 「練無のそっくりさんやね」

フジモリ 「しかも短編で纐纈苑子が話した、苑子がテロ組織と関わりがあった、という設定が今回の話にこう活かされてくるとは、というう感じだった」

御影 「おまけに「黒猫の三角」の小田原長治も再登場や」

フジモリ 「この人も重要な役割だよねぇ。「六人の超音波科学者」で紅子を土井超音波研究所に行かせたのも、今作の伏線であったし、最後にもおいしいところを持っていく」

御影 「ほんまやねぇ」

フジモリ 「フジモリは「六人の超音波科学者」の感想で、「このシリーズはS&Mシリーズ(犀川&萌絵シリーズ)と違い、シリーズ全ての話が伏線になったりはしない。TVドラマのように、毎回毎回違った話が見られる」と言っていたが、すまんありゃ嘘だ」

御影 「なんでジョセフ調やねん!ちゅうか、ジョジョ知っとっても、それどの台詞かわかるやつ少ないっちゅうの!」

フジモリ 「でも、知ってたら2度おいしいだろ?今作「朽ちる散る落ちる」もそうだ。森博嗣は長編にまたがった伏線の張り方がうまいっていうのは前から言ってたけど、今回の話はその中でも白眉だね」

御影 「ほほぅ。んーで、ミステリィとしてはどやったん?今回の話は「宇宙密室」と「地下密室」やったけど」

フジモリ 「うむ。今作、懐かしキャラ再登場の「ドラマ」部分もすごいけど、ミステリィ部分もすごいね。森博嗣は新しい物、今までにないものを書くのが好きだけど、確かに「宇宙密室」ってのは聞いたことがないよね」

御影 「せやけど、密室ちゃうやん」

フジモリ 「うーむ。どうなんだろうね、これ。フェアかアンフェアかの線引きでいうと、フジモリは「フェア」、つまり「あり」だと思うけど」

御影 「なんでなんで?」

フジモリ 「これ、いわゆる「全員が共犯」ものの応用でしょ?犯人は密室にいた。しかしその事実を隠蔽した。したがって結果的に「密室」になったわけだ。それが宇宙という特殊な舞台なこと、伝聞だということが普通の密室殺人と違うけど、本質的には一緒だと思うよ」

御影 「それと、地下密室」

フジモリ 「タイトルの「朽ちる散る落ちる」ってのもヒントになっているんだよね。上下運動なしの「墜落死」ってのも今までにないよね。トリックとしてはVシリーズの中で一番凝っているよ」

御影 「今回、第6話「恋恋蓮歩の演習」の「人間ドラマ」部分と第7話「六人の超音波科学者」の「本格ミステリィ」部分がうまく融合しとぉよね」

フジモリ 「おまけに、第8話「捩れ屋敷の利鈍」の「シリーズ全体の伏線」もね」

御影 「え?伏線なんてあったん?」

フジモリ 「へっ君のグローブに「S.S.」というイニシャルがあっただろ?これで確定した」

御影 「はぁ。なるほどなぁ」

フジモリ 「というわけで、今作はVシリーズ集大成という感じだったね。Vシリーズファンなら大満足の一冊だし、Vシリーズを読み返したくなる一冊だ。あいかわらず保呂草もかっこいいしね」

御影 「あんた、そればっかやね」

フジモリ 「まあ、保呂草だけじゃなく、紅子も、練無も、紫子ちゃんも相変わらずの大活躍だったけどね。とにかく、Vシリーズの粋を集めた作品。それが、今回の感想かな?」


御影 「さて、次が最終話「赤緑黒白」なわけやね」

フジモリ 「よし、TVドラマ風に、次回予告でもしてみようか」

御影 「おお。新しい趣向やね。よぉし。

  全身を真っ赤に染め上げられた死体。
  これが、「ペインター」連続殺人事件の幕開けだった。
  紅子達は犯人をつきとめることができるのか!?
  そして、保呂草と紅子の恋の行方は!

 次回っ、Vシリーズ最終話!「赤緑黒白」!」

フジモリ 「太正桜に浪漫の嵐!「大神さん、私、負けません!」」

御影 「全然関係ないやんっ!!」




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