| フジモリの脳内ラビリンス
〜a labyrinth in fujimori's brain〜 Sixty-eighth bookshelf 加納朋子『月曜日の水玉模様』 |
御影 「♪月曜日は市場に出かけ〜」 フジモリ 「いきなりなんだよ」 御影 「いやな、今回の書評に合わせて歌ってみてんけど」 フジモリ 「けっこう、歌のツカミって多くないか?」 御影 「ま、真面目モードと半々ぐらいやな(適当)。いやな、普通落語とかやったら時節のネタから入るやん。せやけど、この書評は基本的に時事ネタ禁止やから」 フジモリ 「そうなんだよなぁ。当初は読んですぐの書評を目指してたんだけど、だんだんインプットとアウトプットのバランスが取れなくなってきた。鮮度という点からすると、ドライフラワー級だからなぁ」 御影 「それもこれも忙しさが悪いんやね。仕事に追われ、生活に追われ、ううう」 フジモリ 「い、いや、そこまで追い詰められてはいないんだけどね」 御影 「あほう!せっかくうちが今回の書評に入りやすくしてんから、素直にのっときぃや!」 フジモリ 「!!、なるほど!、たまにはすごいな、御影」 御影 「いやいやぁ(てれてれ)。まぁ、高い自給もらっとぉから、これぐらいはせんとな」 フジモリ 「いつから給料制になったんだよ!」 御影 「あほう!またうちがふったんやから、早ぉ本題に入り!」 フジモリ 「うう、2回も御影にしてやられてしまった・・・。では、本題に入るか。今回読んだのは加納朋子の連作短編集、「月曜日の水玉模様」だ。ではまず、あらすじを」 御影 「はいな。 いつもと同じ朝。いつもと同じ電車。 丸の内OL・片桐陶子は毎朝ラッシュの電車に乗って通勤している。 しかし、彼女はこのラッシュの攻略法を発見。 彼女がラッシュ中の電車でマークしていた水玉模様のネクタイをする男性は、決まって途中駅で下車をするのだ。 つまり彼をマークしておけば、途中駅から座席に座れるというわけ。 しかし、ある日を境に、彼は途中駅を過ぎてもずっと座り続けるようになってしまった。 その謎に興味を持ったときから、陶子の日常が少しづつ変化しだした・・・ ゆぅ話や」 フジモリ 「うむ。うまくまとまっている。今作も加納朋子お得意の「日常本格」だね」 御影 「??なんや、「日常本格」って?」 フジモリ 「フジモリの造語。日常で起きた些細な不思議を論理によって解き明かす本格ミステリィのこと。北村薫がその代表格だね」 御影 「確かに、今回も、日常に起こりうるちょっとした「不思議」を切り取った短編ばっかりやったからなぁ」 フジモリ 「しかも、生活感あふれてるよね。小田急線の登戸で南武線に乗り換えて川崎に行くとか、読みながら情景が浮かんでくるよ」 御影 「んーで、フジモリの出勤時のユウウツな気持ちも浮かんでくるんやな」 フジモリ 「それを言うなぁっ!・・・しかし、作品内に登場する萩の気持ちもわかるものなぁ。毎日毎日同じことの繰り返しで、まるで生きてる気がしない日々」 御影 「ぅをにぃ〜ちゃぁ〜〜〜ん!!!」 フジモリ 「古いな、おい。しかも前に使ってるネタじゃねぇかよ!」 御影 「あんたの感想が同じネタの繰り返しや、ゆぅことを揶揄してみたんや」 フジモリ 「なんか攻撃されっぱなしだな、今回は。 そうだね。この本を読んで、毎日毎日同じことの繰り返しで、いいかげんいやになる日常だけど、不思議の種はどこにでも転がっているのかな?とか思ったりしたな」 御影 「お、なんか癒されとぉな。加納朋子効果やね」 フジモリ 「そうだね。今回も、優しい気持ちにさせられた。思うに、加納朋子のミステリィの特徴のひとつに、「大事件に発展しない」ってのがあるんだと思った」 御影 「えっ?・・・けっこうヤバそうな事件もあるやん」 フジモリ 「でも、ほとんど最後は探偵役(今回は陶子)の活躍で「未遂」に終わるだろ? 普通のミステリィって、事件が起こって(しかも陰惨な事件が多いよね)、それを探偵役が解決する。そういったパターンがほとんどだ。 無人島に15人いて、10人殺されたらそりゃ犯人もわかるわな、と突っ込みたいぐらいの話とかあったりするだろ?」 御影 「ま、まあ、たしかに」 フジモリ 「ところが、加納朋子はその逆だ。事件が起きる前に解決してしまう。結果、犯罪を犯す予定だった人の心も救っているんだよね。そういったところが、加納朋子作品に共通する「優しさ」なんだと思うよ」 御影 「「加納朋子の半分は優しさでできている」ってゆぅもんなぁ」 フジモリ 「言うかぁっ!」 御影 「もちろんウチの造語やで。ほら。転載は御影までよろしくぅ。メールアドレスは・・・」 フジモリ 「勝ち誇るなぁっ!・・・ま、まあ、確かに言い得て妙だけど・・・」 御影 「せやろ?せやろ?」 フジモリ 「優しく、読後感が良いミステリィ。この一点だけでも読む価値はあるよ。そして、今作もその期待を裏切っていない。ミステリィを読んだことのない人に薦めるならこの一冊かもしれないね。ボリュームも手ごろだし。加納朋子作品のよさを再認識した一作。これが、今回の感想かな」 御影 「ここまででは触れてへんかったけど、各章のタイトルにも意味があるんやんね」 フジモリ 「ん、ああ。そうだね。○曜日の○○○○(四字熟語)のなかで、四字熟語の頭文字をつなげると「みずたまもよう」になってるんだよね。心憎い隠し味だね。・・・それにしても御影、今回はめちゃめちゃ仕切りがいいね」 御影 「れーせーに進めたらこうなるんや。ふふん。ま、いつもはあえておちゃらけてるだけなんやで」 フジモリ 「なんかいつもと違って調子狂うなぁ。なんかがっかりだ」 御影 「がっかりってゆぅなぁっ!たまには違うウチも見せとかなな」 フジモリ 「ああ。ほんと、今回の御影が一番のミステリィだよ。いつもだったらここらへんからオチへ突入するんだけどなぁ」 御影 「オチ?ほほほ」 フジモリ 「ほほほってなんだよ」 御影 「チゃぁんと、用意してあるでぇ。ほほほ。ふふん。ま、今回の本にふさわしいオチ、ゆぅことで」 フジモリ 「なんだなんだ?まったくわからんぞ」 御影 「や、あんたもしっかり協力しとぉで。・・・わかった。タネ明かししたろ。行があいた後の、ウチの言葉の頭文字を縦読みしてみぃ」 フジモリ 「!」 御影 「!」 |