フジモリの脳内ラビリンス

〜a labyrinth in fujimori's brain〜

Sixty-fourth bookshelf
上遠野浩平
『ブギーポップ アンバランス ホーリィ&ゴースト』




「アンバランスだからこそ、倒れないように努力できるんだろうよ」


フジモリ 「久々、って感じはあんまりしないけど、感想としては一年ぶりになるのか。ブギーポップシリーズ最新刊、「ホーリィ&ゴースト」です」

御影 「この作者は他シリーズにも手をつけとぉけど、ブギーポップシリーズはコンスタントに出しとぉな」

フジモリ 「だね。間隔があくと、世界設定や根底を流れるストーリィを再インプットしなきゃらないしね。特にブギーポップシリーズは過去の作品に出てきた人名がぽこぽこ出てくるんで、1年間隔でも出るたびに人名を頭の引き出しから掘り起こさなくちゃならないし」

御影 「それはあんたの記憶力の問題やろ?」

フジモリ 「そ、それを言われると身も蓋もないが・・・。とりあえず粗筋を」

御影 「はいな。

 まったくの偶然で出会った少年と少女。
 世紀の大悪党"スリム・シェイプ"と出会い、彼らは世間を騒がせた若い二人組の犯罪者――ホーリィ&ゴーストとなった。
 二人の引き起こす数々の犯罪が、遂には統和機構、そしてブギーポップをも呼び寄せてしまうのだが……。

 ゆぅ話や」

フジモリ 「今回も、今まで出て来た人名や用語が結構出てきたね。とはいうものの、読者に思い出させるように簡単な説明が書いてあるんで嬉しいところだけど」

御影 「さらっと名前出しとって、何のフォローもせんかった巻とかあったからなぁ」

フジモリ 「「どこかで見た名前だなぁ・・・」とか思ってても、今までのブギーポップシリーズ全巻読み返す気力はないからなぁ」

御影 「「海影」(パンドラの主人公)ゆぅ隠れキャラもおったけどな」

フジモリ 「確かに、こいつは忘れてたな・・・。とにかく、今回は昔の話を忘れててもすんなり読めた」

御影 「内容も、今までの流れはあんまひきずっとらんしなぁ」

フジモリ 「だね。強いて言うなら「歪曲王」か。寺月恭一郎の遺産が出てくるし。そういう意味でも、これまでのブギーポップシリーズからの再登場組が少なく、思い出す労力も少なくてすんだってことか」

御影 「んーで、肝心の内容はどやったん?」

フジモリ 「青春ラブコメ風「俺たちに明日はない」って感じだね。あっちはボニー&クライド。ん?ホーリィ&ゴーストと語呂も似てるかな?・・・っと、「俺たちに明日はない」なんて最近の人は知らないか」

御影 「知っとぉで」

フジモリ 「お、珍しいね」

御影 「松田優作が出とったドラマやろ?」

フジモリ 「そりゃ、「俺たちは天使だ!」だろうが!」

御影 「ぶー。「刑事物語」でしたぁ」

フジモリ 「余計わかんないよ!元ネタは「俺たちは天使じゃない」からのボケだろうが!」

御影 「なにそれ?」

フジモリ 「・・・もういいや。で、感想に戻ると、「俺たちに明日はない」ほど殺伐としていない。何より、ホーリィ&ゴーストは義賊だからね。「スリムシェイブ」の導きで世間を騒がす二人。そして最後には、「世界の敵」と対することになる」

御影 「今回は、ふつーの人間が能力者たちと戦う、ゆぅんが見所の一つやな」

フジモリ 「とはいうものの、最後には手助けがあったりしたけどね。とにかく、今回は結城玲治こと「ゴースト」と濱田聖子こと「ホーリィ」のアンバランスな関係がメインだからね」

御影 「さすがに、「仗助」ゆぅて「ジョジョ」ゆぅんは無理あるやんなぁ」

フジモリ 「何の話だよ!」

御影 「それに、第3部以降主人公のことを「ジョジョ」ゆぅてへんもんなぁ」

フジモリ 「余計なボヤキを入れるなっ!!話は「ホーリィ&ゴースト」だってば!」

御影 「せやなぁ。確かに、この二人って正反対の性格しとぉもんなぁ。ブギーポップも言ぅとったけど、「奇妙なバランス」ってやつや」

フジモリ 「この二人はパートナー関係で、そのうち恋愛感情を持つわけだけど、実際にこういった「アンバランス」な関係ってのはアンバランスだからこそうまくいくってのはあるかもね」

御影 「せやな。「相補的恋愛」ゆぅ言葉があるぐらいやからな」

フジモリ 「?、なんだ?それ?」

御影 「むかし心理学の授業でやっとった。お互いの欠点を補う部分に惹かれる恋愛感情のことや。才色兼備なクラスのアイドルが野球部の部長とつきあうようなもんやな」

フジモリ 「なんかちょっと違うと思うが・・・」

御影 「体育系と文化系、とか、しっかりものとおっとりもの、とか、お互いに無い部分を求める恋愛やねんけど、まさしく「アンバランス」な関係やな」

フジモリ 「確かに、「なんでこの二人が付き合ってるんだ?」っていうような異色な組み合わせってあるもんなぁ」

御影 「「東大卒の女性タレント」と「秋葉原でよぉ見かけるビジュアルした音楽家」の夫婦とかな」

フジモリ 「だぁっ!!危険な発言すな!・・・まぁ、あえて否定はしないけど・・・」

御影 「意外と、美男美女のカップルって少ない気がすんねんけど、どやろな?」

フジモリ 「うーん。こればっかりはサンプルが少ないからなぁ。とにかく、「似たもの夫婦」と同じぐらいの割合で「異色な組み合わせ」のカップルがいることも事実。それについてはゴーストも言ってたけど、「
アンバランスだからこそ、倒れないように努力できる」んだろうね」

御影 「ブギーポップはこの「アンバランス」を「世界」に例えとったけどな」

フジモリ 「壊すのは簡単なんだよ。維持する方がよっぽど難しい。「ブギーポップ・アンバランス」のサブタイトルにはそういういろいろな意味が込められているんだと思うよ。まあ、本筋からそれてしまったけど、今回はそんな風に「アンバランス」について考えさせられた。もちろん、話の方も面白かったよ」

御影 「最強の刺客、「リセット」こと雨宮世津子も登場したしなぁ。・・・せやせや、最後、なんで「リセット」は引き返したん?「ピート・ビートが」云々、言ぅとったけど」

フジモリ 「それは、次回のブギーポップ外伝、「ビートのディシプリン」で語られる。彼女の存在は覚えといて損はないと思うよ」

御影 「伏線も貼っとぉわけやな。結構身の詰まった本やな」

フジモリ 「ライトノベルという形態で、早い人なら1時間もせずに読めるけど、なかなかどうして、読み応えがある本だ。大作ばかり読んでいる人も、たまにはこういう本で息抜きすると良いんじゃないかな?今作は、内容の濃さとライトノベルの軽さがうまい具合に「バランスがとれている」ように思えたね。これが、今回の感想かな?」

御影 「内容は「アンバランス」なんになぁ」

フジモリ 「うまいね」

御影 「ま、たまにはうまくオチをまとめとかんとな。いっつもいっつもふざけた終わりかたしとぉと、バランスが悪ぅなるしな」

フジモリ 「バランス整えるためにあと何回まともに締めなきゃならないんだよ・・・」




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