| フジモリの脳内ラビリンス
〜a labyrinth in fujimori's brain〜 Fourty-second bookshelf 夢枕獏『陰陽師 飛天ノ巻』 |
フジモリ 「たまにはミステリィ以外の本を。今回は夢枕獏の「陰陽師 飛天ノ巻」の感想です」 御影 「噛み砕いてゆぅと「陰陽師2」やな」 フジモリ 「なんで噛み砕くんだよ」 御影 「せやかて、そぉ言わんとこれから読む人が順番わからんくなるやろ?」 フジモリ 「・・・・・・。ま、まあ、確かに。ということで、この本は「陰陽師」の続編です。といっても続き物のシリーズではなく、同じ登場人物たちが出るというだけですが」 御影 「稀代の陰陽師「安倍清明」とその友人「源博雅」やな」 フジモリ 「そう。「陰陽師」という小説は、魑魅魍魎がいまだ闇の世界に存在する平安京で、安倍清明と源博雅が人々を困らせる百鬼に立ち向かう物語だ。今作、「陰陽師 飛天ノ巻」はその続編。7つの短編によって構成されているが共通して出てくるのが先ほど言った「安倍清明」と「源博雅」、というわけだ」 御影 「この小説から、安倍清明ブームが起こったんやんなぁ」 フジモリ 「うん。正確に言うと、この小説と、この小説を原作に岡野玲子が描いた漫画から。いまや、大阪にある安倍清明神社や京都にある清明神社は若い女性が群れをなして訪れる、一大観光スポットになってるらしいよ」 御影 「な、なんで若い女性なん?」 フジモリ 「陰陽師ブームの決め手、京極夏彦の「京極堂シリーズ」に出てくる京極堂も陰陽師で、清明神社の末社にお仕えしてるからね。もちろん、清明神社には京極夏彦の絵馬が奉納されている。「世界妖怪協会 京極夏彦」と、洒落たバーにある芸能人のサイン色紙のごとく飾られている」 御影 「よくわからん例えやなぁ。まぁ、安倍清明ゆーたら「帝都物語」にも出てきとぉし、昔から結構有名やったもんなぁ」 フジモリ 「有名も有名。「陰陽師」内のストーリィは古典の名作「今昔物語」に収録されているものが多いんだが、その頃から安倍清明はタダモノではないヤツと記されているんだ」 御影 「外国でゆぅたら、「アーサー王物語」に出てくる魔法使いマーリンみたいなもん?」 フジモリ 「お。ボケなしの的確な例えだね。その通り。役行者(役小角)、卑弥呼なんかと並ぶ日本が誇る偉大な呪術者の一人だよ。和風ファンタジィに、ほとんど名前を出しているといっても過言ではない」 御影 「いや、それは過言やろ」 フジモリ 「いやいや。そうでもないと思うぞ。とにかく、今回フジモリが読んだ「陰陽師 飛天ノ巻」も前作の「陰陽師」同様、安倍清明と源博雅の活躍が見られる、面白い話だ」 御影 「陰陽師が妖怪と戦う話ゆーたらあれやろ、「急急如律令!」ゆーて、お札をかざして妖怪を封印すんのやろ?血沸き肉踊る活劇もんやな!」 フジモリ 「ところがところが、そうではない。あやかし退治はするのだが、ゆったりした文体にのせ、非常に優雅に描かれている。おなじみのフレーズ、 「ゆこう」 「ゆこう」 そういうことになった。(p24) にはじまり、物語は二人の会話をメインに進められる。この、安倍清明と源博雅の対比が絶妙で、単なるホームズとワトソンの関係ではなく、互いが互いを認め合い、それでいながら軽口をききあう気のおけない間柄として描かれている」 御影 「確かに、読んでみるとめっちゃテンポのいい会話ですすめられとぉな」 フジモリ 「あやかしといっても、都の平和を脅かす強大なものではなく、当時人々と共に存在していたものとして書かれている。あやかしを退治する、ということがもはや日常のものとなっているわけだ」 御影 「なんちゅうか、ええ時代やなぁ」 フジモリ 「ひとことで言うなら、「みやび」だね。読むものを平安時代にトリップさせる、「いとおかし」な」作品だよ」 御影 「思わず和歌でも詠みたぁなるな」 フジモリ 「そうだね。そして、今作「陰陽師 飛天ノ巻」では安倍清明の相方、源博雅がクローズアップされている。「今昔物語」や「古今著聞集」など、いろいろな文献にもでていた実在の人物だそうで、この作品の中では生真面目な「好い漢(安倍清明談)」として描かれている。笛の名手であり、いい年なのに通う女性もいない。その博雅の性格が一番出ている話が、「源博雅堀川橋にて妖しの女と出逢うこと」という短編だ。博雅にまつわる数々のエピソードや、あやかしを笛の音色で救うところなど、博雅の魅力満載の回だね」 御影 「なんか妖しい発言やわ(笑)。まあ、博雅が安倍清明を助けとぉ事件もあるし、やっぱこの二人はええコンビなんやなぁ、と思ったわ」 フジモリ 「「陰陽師ブーム」の火付け役になったのもわかる気がするよ。短編集なんで気軽に読めるし、どの作品から読んでもいい。もののけ、古典、平安時代。この辺に少しでも興味のある人なら必読だね」 御影 「読んだら、酒を飲みながら和歌を詠みたくなるわなぁ。式神に注いでもらいながら」 フジモリ 「まったくだ。ノウマク・サマンダ・バサラダンカン!」 御影 「悪霊退散してどないすんねん!」 |