フジモリの脳内ラビリンス

〜a labyrinth in fujimori's brain〜

Thirty-fourth bookshelf
西澤保彦『念力密室!』



フジモリ 「今回もミステリィです。西澤保彦の、「念力密室!」をお送りします」

御影 「おお、神麻嗣子シリーズの第3弾やな」

フジモリ 「今回は、雑誌「メフィスト」に掲載された短編集だ。密室を「サイコキネシス(念動力)」で形成する、という謎を、いつものメンバ、チョーモンイン見習の神麻嗣子、ミステリ作家の保科匡緒、警部の能解匡緒の3人が解いていく、という物語だ」

御影 「サイコキネシス?」

フジモリ 「そう。今回は、密室がサイコキネシスで形成されるという形式で統一されている。謎のメインは、「なぜ、サイコキネシスで密室を作ったか?」という「Why」だね。相変わらず、ルールがしっかりしているんで読者は「パズル」として作品を楽しむことができる」

御影 「まあ、このシリーズの骨組みの面白さは、前2作で説明しとぉから、くどくどは説明せんけど、やっぱおもろいな」

フジモリ 「だね。それに加えて、今回はシリーズものとしての面白さもあった。時系列的には、この本に収録されている「念力密室」が3人の出会いの発端となる事件だ。その後、長編の「幻惑密室」になり、短編の「念力密室2」〜「念力密室4」があり、長編「実況中死」があり、「念力密室5」になるわけだ」

御影 「なんか、ややこしいなぁ」

フジモリ 「うむ。だから、これからこのシリーズを読もうと思ってる人は、「幻惑密室」「実況中死」「念力密室」の3冊を買って、その時系列通りに読むのがベターだね。もちろん、フジモリのようにノベルス化された順に読んでも全く差し障りはないけど」

御影 「でも、時系列で読んだ方が、登場人物の気持ちの移り変わりとかは把握できそぉやな」

フジモリ 「シリーズとして読むなら、時系列で読んだほうが良いね。この神麻嗣子シリーズ、ただ単に同一の登場人物たちが出ているというわけではない。シリーズには大きな流れが存在する。「幻惑密室」「実況中死」にはあまりそれを感じさせないけど、今作に収録されている「念力密室F」や次作の「夢幻巡礼」などでその「流れ」というものが次第に明らかになっていく、というわけだ」

御影 「先の作品まで、ネタばらししてもええん?」

フジモリ 「作者があとがきで書いているから、ギリギリセーフだろ?それに、シリーズとしての一貫した流れがあるとわかれば、読み方も(良い意味で)変わるだろうし」

御影 「今作の「念力密室F」って、かなり意味深な作品やなぁ」

フジモリ 「ほんと、俗に言う「伏線バリバリ」というやつだ(笑)。詳しい説明はネタバレになるんで言わないが、たぶんこの「F」って、futureのFだろうね。finishやfinale、finalという可能性も捨てきれないけど」

御影 「Fね・・・、フィニッシュ、フォーミュラ、ファントム、フリー?それとも・・・、フューチャー・・・、あ!未来さん?」

フジモリ 「「すべてがFになる」ボケをするんじゃないっ!」

御影 「それはおいといて、作者もあとがきで「SFとして読んでもミステリィとして読んでもいい」ってゆぅとぉけど、ほんまそんな感じやな。SFとしての舞台設定もしっかりしとっておもろいし、ミステリィ(パズル)としてもしっかりしとる」

フジモリ 「恋愛小説としても読めるしね(笑)。どちらかといえばキャラが先に立っていて、そちらばかり取り上げられているけど、基盤となっているSF部分、ミステリィ部分もしっかりしている。とにかく、「超能力で密室を設計する」という設定を構築した時点で、このミステリィは勝ったも同然なんだよ」

御影 「誰に勝ってんねん!」

フジモリ 「んー、まあ、いろいろと。で、今作を読んで、短編にこそ、このシリーズの良さが際立つな、と思った。もちろん、長編でこの「世界」についての基礎知識を得てから、ではあるけれども、シンプルな謎とテンポの良さは前2作を上回るね。まずはこの本から読んでみるのも、一つの楽しみ方じゃないかな」

御影 「せやけど、超能力って、ほんまあると便利やろな」

フジモリ 「でも、犀川先生じゃないけど、わざわざ超能力でする意味がないよ。スプーンぐらい、手で曲げろよ!ってね。それに、下手に使うと、チョーモンインが嗅ぎつけて補導されるぞ(笑)」

御影 「・・・・・・」

フジモリ 「?」

御影 「・・・・・・。どや?」

フジモリ 「なにが?」

御影 「今回は、テレパシーでオチを送ってみました」

フジモリ 「んなん、わかるかぁっ!!」



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