フジモリの脳内ラビリンス

〜a labyrinth in fujimori's brain〜

Twenty-ninth bookshelf
荒俣宏『怪物の友 モンスター博物館』



フジモリ 「今回は荒俣宏の「怪物の友」を取り上げます。久しぶりの「非・小説」です」

御影 
「ほんま珍しいな。第一回の「地獄めぐり」以来?・・・って、またこんな本かいっ!」

フジモリ 「こんな本って言うな。ファンタジィはフジモリのライフワークだからね」

御影 
「(いつからライフワークになったんや?)」

フジモリ 「まあ、それはさておき。「怪物の友」は作家であり怪物研究家でもある荒俣宏が様々な雑誌に掲載したコラムや対談を収録した本だ。怪物についていろいろ書いてある」

御影 
「なんかめっちゃ簡単な紹介やな」

フジモリ 「ストーリィがないんだから仕方がない。でも、内容はかなり興味深かった。国内外の怪物について網羅されていて、ためになる。いわば、実用書だね」

御影 
「実用って、なんに使うん?」

フジモリ 「ま、雑学だね。「狛犬の「狛」って、「高麗」から来たから「コマ」って言うんだよ」とかね」

御影 
「へぇ〜、そうやったんや」

フジモリ 「ね。そんな感じで、怪物というのは意外と身近な存在だ。ファンタジィ小説からならともかく、ゲームから怪物を知った人って意外と元ネタを知らないものだ。「ドラゴンクエスト」で一役有名になったスライムだって、ほんとはあんなチャーミィな格好をしてるわけではないぞ」

御影 
「ちっちゃいポリバケツみたいな入れ物に入った緑色のやつやんなぁ。ねばねばしてて、昔フジモリ体中に引っ付いてとれなくなったことあったやろ」

フジモリ 「そんな古いネタわかるかっ!と突っ込みたいところなんだけど、ほんとのスライムもそんななんだよ」

御影 
「うそぉっ!?ぼけたつもりやったんに!」

フジモリ 「まあ、スライムは創作の怪物なんで正式なものというのはないんだけど、いわゆる「スライム」というのはねばねばしたやつで、全身で消化する。でっかいアメーバみたいなもんだ」

御影 
「そんなん知っとったら、「スライムかわいいっ!」なんて言えへんな」

フジモリ 「だね。ほかの怪物、モンスターもそう。RPGとかでモンスターを知ってる人は、一読して損はないかもね」

御影 
「せやけど、あんたの卒論もそうやけど、怪物の誕生って、時代的な背景があんねんな」

フジモリ 「もともと怪物(モンスター)の語源は「monstrum」、兆候、警告という意味だった。この点については東洋西洋同じで、国が平和なときに現れるモンスターや乱れる前兆として現れるモンスターがいる。さらにさかのぼると怪物は「現象」であり、災害なんかが「名前」と「形」を与えられたものだともいえる」

御影 
「あと、伝聞な。異国の動物が知らん間に怪物になった」

フジモリ 「ジュゴンやアザラシが人魚になったのと一緒だね。おっと、ジュゴンやアザラシは「マーメイド」。人魚のもとネタは「山椒魚」だ」

御影 
「人魚とマーメイドってちゃうん?」

フジモリ 「ヴィジュアルは現代では同一とされているが、起源が違う。人魚はもともと「山椒魚」を表す漢字だったんだけど、実物を見たことがない人が字面のイメージから「半人半漁」の怪物を思い浮かべた。こういった誤解から誕生した怪物も結構多いよ」

御影 
「そうなんや。怪物一体とっても、えらく深い背景があるものなんやなぁ」

フジモリ 「この本はまあ、辞典みたいなもんだ。読んで感想を、というよりも、興味がある怪物についての知識を深める本だと思ってくれれば間違いない」

御影 
「なんか、今回の感想、めっちゃやりにくそうやな」

フジモリ 「「広辞苑」を読んで感想を書け、と言われているようなもんだからね。RPGをやる人も、カードゲームをやる人も、持っておいてなにかのときにその怪物の由来やエピソードを調べる、なんて使い方が一番だね」

御影 
「でも、西洋の怪物「モンスター」と東洋の怪物「妖怪」では、かなり違うようなイメージがあんねんけどな」

フジモリ 「モンスターは、元来「倒されるもの」としての機能が強いからねぇ。神話がいい例だ。しかも、RPGで誤ったイメージを植え付けられると異国の神様まで同列にされてしまう。罰当たりだよ。蝿の王「ベルゼブブ」とか、闇の神「アーリマン」とかがごろごろ出たらだめなわけですよ」

御影 
「なんで敬語やねん」

フジモリ 「まあ、良く調べられているのはアトラスの「女神転生」シリーズぐらいかぁ。あ、ゲームボーイ版は除く」

御影 
「やばい発言をさらりとすんな!」

フジモリ 「あと、これは個人的な意見なんだが、モンスターってかっこいいものも多いよね。妖怪って、ヴィジュアル面ではモンスターに劣る。でも、そこがより身近さを感じさせて、妖怪本来の存在目的である「不気味さや恐怖の具現」として後世まで語り継がれているんじゃないかな」

御影 
「ほんまは妖怪も元神様だったんがあんねんけどなぁ」

フジモリ 「妖怪って、漢字と一緒に輸入されてきたものが多い。例えば「化ける」なんて概念は、中国から入ってきたものだからね」

御影 
「ほな、日本の妖怪のルーツは中国にあるん?」

フジモリ 「のもある。まあ、こういう話になると長くなるからとりあえずやめとこうか(笑)」

御影 
「ほんま、あんた「妖怪馬鹿」やなあ」



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