フジモリの脳内ラビリンス

〜a labyrinth in fujimori's brain〜

Twenty-eighth bookshelf
西澤保彦『麦酒の家の冒険』



フジモリ 「同じ作者で恐縮ですが、今回は西澤保彦の「麦酒の家の冒険」を取り上げることにします」

御影 
「麦酒?ビールのこと?」

フジモリ 「そう。では、まず粗筋を。御影、よろしく」

御影 
「え?早いな。
ドライブの途中、主人公・匠千暁ら四人が迷い込んだ山荘には一台のベットと冷蔵庫しかなかった。冷蔵庫にはヱビスのロング缶96本と凍ったジョッキ13個があった。四人はそのビールを拝借して飲みながら、この「麦酒の家」の謎を推理する、ゆぅ話や」

フジモリ 「そこで!今回は「脳内ラビリンス」初の試みとして、ビールを飲みながら感想を書いてみたいと思っている!(ドン、とヱビスのビール缶を用意する」

御影 
「な、なんや、唐突に」

フジモリ 「いいから、いいから。かんぱ〜い!(ぷしゅ!と、缶を開ける)」

御影 
「だ、誰と乾杯しとん?」

フジモリ 「雰囲気付けだよ、雰囲気。ぷはぁ(注:今回の感想は本当にビールを飲みながら書かれています)」

御影 
「ぷはぁ。もう飲めへん〜」

フジモリ 「は、はやっ」

御影 
「冗談や冗談。本人格のあんたは酔ってるかもしれへんけど、そういう時にうちがふんばらな、めちゃくちゃな感想になるんは目に見えとるからな。で、どうやった、この本?」

フジモリ 「♪もいちどすきってきかせてほしぃ〜!」

御影 
「いきなり酔っとるやんか!」

フジモリ 「冗談だって、冗談。(ぷしゅ!と2本目をあける)」

御影 
「なんか、ペース早ない?」

フジモリ 「んー、まあ、こんなもんだろ。で、感想。フジモリが手に取ったように、「山荘にヱビスのロング缶96本と凍ったジョッキ13個」という状況を、純粋に推理だけで突き止めるという展開がなんといっても面白い」

御影 
「ハリイ・ケメルマンの「九マイルは遠すぎる」やな」

フジモリ 「あの話は、「九マイルの道を歩くのは容易じゃない、ましてや雨の道ともなるとなおさらだ」という言葉から、前日の殺人事件まで推理を飛躍させてしまうという短編だ。なんというか、屁理屈の領域だね」

御影 
「んなこと、言ってええん?」

フジモリ 「褒めてるんだよ。少ない情報から飛躍させ、あらゆる可能性を考える。「麦酒の家の冒険」も、それと同じだね。フジモリはこういう推理だけで裏にあるとんでもない事件を導き出した小説として、富士見ファンタジア文庫の「蓬莱学園の初恋!」(新城十馬著)を挙げたい」

御影 
「うわ」

フジモリ 「「うわ」ってなんだ?うわって」

御影 
「いや、あまりにもマニアックやったから・・・」

フジモリ 「でも、作品自体はいい出来だぞ。

 東京の南、2500qの海上にある宇津帆島。この島はまるまる一つの学校である。新入生の朝比奈純一は、学園遊覧の飛行船から覗いた双眼鏡に映った少女に一目惚れしてしまい、そこからはじまるドタバタ劇。で、その途中で、ベアトリス・香沼という登場人物の一人が朝比奈が一目惚れした女生徒について推理するんだ。「なぜ、その場所にいたのか?」「その女性はどういう生徒なのか?」その推理の結果、ベアトリス(通称ベッキィ)は学園を揺るがす可能性に気がつく・・・。

 という話だ。この作品、フジモリの読んだ作品の中でかなり上位にランクインされるよ」

御影 
「うわ」

フジモリ 「だから、「うわ」ってなんだよ。・・・なんだろうね」

御影 
「自分でつっこむなぁっ!」

フジモリ 「あ〜、なんかいい気分になってきた。(ぷしゅ!)」

御影 
「3本目か。よぉ飲むなぁ」

フジモリ 「今日は体調がいいね。でも、おつまみはやっぱイカだね。ビールのつまみはイカだよ。乾き物は邪道!」

御影 
「はいはい。ここはあんたの酒話ちゃうねんからね。感想続けましょうね」

フジモリ 「「蓬莱学園の初恋!」はとりあえず、読んでみてほしい」

御影 
「ちゃうやろが!「麦酒の家の冒険」の感想やろが!」

フジモリ 「え?あ?そうだったっけ?ええっと、「麦酒の家の冒険」もそのように推理だけで大事件の可能性に思い当たります。ちょっと難癖をつけるなら、キャラクタの色がない分、「一人の人間が推理している」という印象はぬぐえませんが、とにかくこの作品はシチュエーション勝ち。ビール好きならまず読んでほしい」

御影 
「なんか言葉づかいがめちゃめちゃやな」

フジモリ 「え?ああ、そう?いいや、あとで治すから(注:直しません)」

御影 
「なんか、今回はほとんど内容に触れてへん気がすんねんけど」

フジモリ 「たまにはこういう感想もあるさ(ぷしゅ!)」

御影 
「4本目か・・・、よう飲むなぁ」

フジモリ 「昔たけいとアイヨシと3人でビール11リットル、カクテルバー全種類飲んだこともあるぞ。で、今回、何でこんな形式かというと、「ビールを飲みながら本当にあんな推理が出来たのか?」を確かめたかったからだ」

御影 
「ほう(疑いの眼差し)。で、どやった?」

フジモリ 「フジモリには無理だ。どうしても、テンションが先行して、論理的な考えが不可能になる。でも、こうやって原稿が書けているということは、作品内のように推理を展開していくことも可能かもしれないね。その点で、リアリティという問題はOKだ。「麦酒の家の冒険」は、一応キャラクタのシリーズものだけど、フジモリみたいにこの作品だけ読む、という楽しみ方でもOKなんじゃないかな。今回は内容についてあんまり触れなかったけど、長編の純粋な「推理」だけで進められるミステリィとしては最後まで読ませる勢いもあるし、面白かったよ。こういう屁理屈(褒めてます)好き、ビール好きの人は、大いに楽しめる作品だね。ああ、ビール4本飲んだわりにまともに感想が書けたな。どうだ、御影」

御影 
「・・・・・・」

フジモリ 「?」

御影 
「ララァがさぁ〜」

フジモリ 「お前も酔っとんかいっ!」



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