フジモリの脳内ラビリンス

〜a labyrinth in fujimori's brain〜

Twenty-sixth bookshelf
上遠野浩平
『ブギーポップ・パラドックス ハートレス・レッド』



フジモリ 「さて、まだまだミステリィ封印期間が続いているのか、今回読んだ本もミステリィではありません。今回取り上げるのは上遠野浩平の「ブギーポップ・パラドックス ハートレス・レッド」。ブギーポップシリーズの最新刊です。フレッシュもフレッシュ、読みたてほやほやの感想をお届けします」

御影 
「ブギーポップシリーズって、ミステリィちゃうん?」

フジモリ 「最初の作品(「ブギーポップは笑わない」)はミステリィだったけど、ここ最近の作品はファンタジィ+サスペンスだな。「スレイヤーズ!」とS・キングの作品を足して2で割らないような感じで」

御影 
「割らないんかいっ!」

フジモリ 「ま、それはおいおい。まずは粗筋から。<傷物の赤>と呼ばれている「人の心に鍵をかける」少女、九連内朱巳。後に<炎の魔女>と呼ばれる「正義の味方」霧間凪。二人は邂逅し、お互いの中の共通点に気付く。おりしも、世間では「生命を停められ」昏睡状態になる学生が続発する、という事件が起きていた。二人はそれぞれの道を歩みながらも、やがてその事件を軸に交差することになる・・・、という話だ」

御影 
「めっちゃ抽象的やな」

フジモリ 「そうか?これでもわかりやすい粗筋だと思ったんだが。ま、ブギーポップシリーズは、様々な視点から物語が進むために、粗筋を語りにくいという特徴はあるけどね」

御影 
「あんたの理解力が足らんのんちゃうん?」

フジモリ 「余計なお世話だ!」

御影 
「ま、それはおいといて、どうやったん、感想は?」

フジモリ 「うん。相変わらず面白いね。最近はどちらかというと「特殊能力戦闘物」の方面に偏りがちだけど、今回はその要素は薄い。サスペンス的な要素(まさしく「不気味さ」)の表現の仕方はうまいし、能力者の「願望」や日常の描写などは読者層(中、高校生が中心)の共感を得る内容だと思う。ライトノベルの主題である「エンターテイメント」を違ったかたちで提供してくれるという意味で、やはりこのシリーズは「面白い」と思うよ」

御影 
「ライトノベルズ?」

フジモリ 「ま、大雑把に言うと「マンガと小説の中間にある小説」とでも言うかな」

御影 
「すでに言葉が矛盾してんねんけど」

フジモリ 「ニュアンスさえわかってもらえればいいよ。「マンガを読む感覚で読む小説」とでも言えばいいのかな。ブギーポップはまさにそれに該当する。ぶっちゃけて言うと、「細かい突っ込みはせずに読む小説」になるかな」

御影 
「細かい突っ込み?」

フジモリ 「「なんで悪役は主人公の変身シーンで攻撃しないんだ!」というのと一緒だよ。ブギーポップシリーズだって、「何で登場人物がみんな珍しい苗字をしているんだ?」とか「どうして「世界の敵」が同じ町に集中して存在しているんだ?」とか、言い出したらきりのない突っ込みをしようと思えばできるけど、「そういうものなんだ」と思って読むと面白いもんだ。「エンターテイメント性」を前面に押し出したとでも言うべきかな。「エンターテイメント」を純粋に楽しむ、これがライトノベルズの読み方だと思うよ。だから、マンガも、ライトノベルズも、そして「ブギーポップシリーズ」も、無粋な突っ込みはせずに楽しんで読みましょう、というのが今回読んでの感想だね」

御影 
「なんか自分に言い聞かせてるようやな」

フジモリ 「うっ。いや、今回は突っ込みどころが多いかな、と思ったり思わなかったり」

御影 
「あんのかいっ!」

フジモリ 「だから、そういう部分に目を瞑って読めば、面白い作品なんだって。「能力のあるふりをする」能力者、過去のシリーズに出てきたキャラクタたち、そして相変わらず「おいしいところを持っていく」ブギーポップ・・・。ま、今回は「シリーズ」として明確な方向性や伏線が登場しなかったぶん(最後のほうでそれらしいものはあるが)、「幕間劇」と印象が強いものの、ある意味シリーズの中核にある存在と位置付けることもできる。今作を機に、これまでのブギーポップシリーズを復習してみるのも面白いんじゃないかな?」

御影 
「ま、いろいろゆーてても、感想で取り上げるんやから、おもろかったんやろ?」

フジモリ 「それはそうだよ。難点を言えば、これまでに出てきただろう人たちがいっぱい出てきたんだけど、フジモリが覚えてないこと」

御影 
「それはあんたの記憶力が悪いからやろがっ!!」



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