| フジモリの脳内ラビリンス
〜a labyrinth in fujimori's brain〜 Sixteenth bookshelf ロブ・イースタウェイ/ジェレミー・ウィンダム 『数の魔法使い』 |
フジモリ 「うーん」 御影 「?、いきなりどしたん?」 フジモリ 「いやね、前前から不思議に思ってたことがあって」 御影 「?、このコーナーのことで?」 フジモリ 「いや、全く関係ない。いつもフジモリは朝7時に起きて会社に行くんだけど、8時40分には会社に着いているんだ」 御影 「通勤時間1時間30分ぐらいか…。けっこう遠いな。」 フジモリ 「お台場だからね。で、毎週月曜日は、朝6時に起きてるんだ」 御影 「早っ。学生時代には考えられんな」 フジモリ 「全く。森博嗣の言う「地獄起き」というやつだ。で、そんなに早く起きても、会社に着くのは8時20分なんだ」 御影 「?・・・1時間早く起きて、、20分しか違わへんの?・・・「起きる」ってゆーても、布団の中でもぞもぞしとんちゃうん?」 フジモリ 「いや。布団から出るのが6時」 御影 「・・・なんでやろ・・・」 フジモリ 「とまぁ、そんな具合に、日常ではちょっとした疑問が結構ある。今回読んだ本は、そういった疑問に数学的見地からエレガントな答えを見つける手がかりになる本、「数の魔法使い」だ」 御影 「すうがくぅ?また、頭が痛くなりそうな本やな」 フジモリ 「ところがそうでもない。あくまで噛み砕いた説明で、高校のときに「ああ、そういえばやったなぁ」と思うぐらいのレベルだ。実際、フジモリも楽しく読むことができたよ」 御影 「内容はどんなんなん?」 フジモリ 「日常おこりうる可能性がある、ちょっとした疑問。例えば、「なんでホームについた途端電車が行ってしまうのか」とか「どうして不幸は連続して起こるのか」から、果ては「四つ葉のクローバーはなぜレアなのか」まで書かれている」 御影 「おもろそうやな」 フジモリ 「説明も、難解な言葉は用いられず(まあ、「フィボナッチ」とかあるけど)、わかりやすさを第一としている。数学好きな人にとってはちょっと物足りない気がするかもしれないけど、数学が苦手な人、縁遠い人なんかは逆に新鮮で、数学の面白さがわかるんじゃないかな?」 御影 「この本、確率の話が結構多いな」 フジモリ 「ホームで目の前を去って行く電車は確率論で説明できる。で、フジモリが一番興味を持ったのは、「不幸の連鎖」だね。「どうして不幸なことがこんなに続けて起こるんだろう?」ということ、多々あると思うんだけど、これについて、非常にエレガントな説明がなされている」 御影 「へぇ。で、どうしてなん?」 フジモリ 「その前に、フジモリの持論である「黒猫理論」の話をしようか。「なぜ黒猫が目の前を通ると、不幸になるという言い伝えがあるのか?」だ。これについて、フジモリは持論を持っている」 御影 「不幸の連鎖と関係がありそうやな」 フジモリ 「そう。「黒猫」っていうのは、めったにいない。黒猫が目の前を通りすぎることっていうのは、「めったにないこと」なんだ。そして、黒というのは一般に「負の象徴」である。これは「闇」に起因しているし、自然界では黒という存在はあまりないからね。たとえば、黒い花を咲かせる植物はないし」 御影 「昔マンガの「キャッツアイ」で黒いチューリップの話があったなぁ」 フジモリ 「マニアックなツッコミで話の腰を折るなぁ!・・・で、この「黒猫が目の前を通る」という出来事と、その後起きた「不幸な出来事」はそれぞれには関連性がないんだけど、それぞれが「めったにないこと」であるため、脳の中でリンクしたものとして記憶されてしまうんだ。それぞれがまったく時期が違えば記憶に残らないが、それが連続して起こればその二つがセットで記憶される。 例えば「デジャ・ヴ(既視感)」というのもこれが原因だ。脳の中でそれぞればらばらに記憶されていた出来事が、あるきっかけ(特に場所)でリンクしてしまい、「あ、この場所で前にこんなことした(言った)ことがある」という錯覚をしてしまうんだ。同じように、「めったにないこと」をキーに、「黒猫」と「不幸」がつながってしまう」 御影 「それぞれの因果関係はないのになぁ」 フジモリ 「そう。因果関係はないのだが、二つの出来事を記憶したためにそれぞれが関係があるものと思ってしまう。時分に振りかかる理不尽な出来事(不幸、天災など)」に対し、昔から人間は「理由」をつけなければ気がすまんという性質だからなぁ」 御影 「疫病のときの魔女狩りみたいなもんやな」 フジモリ 「まさしくそれだ。そういう意味で、「不幸」の原因として記憶の中でリンクしている「黒猫」という「めったにないこと」がピックアップされるわけだ」 御影 「逆に、四葉のクローバーが幸せを呼ぶいうんも、「めったにないこと」の象徴やからやな」 フジモリ 「そうだね。いわゆる「ジンクス」というものはこの「黒猫理論」によって説明がつく」 御影 「ほう。・・・で、なんの話やったっけ?」 フジモリ 「「不幸の連鎖」。なんで「不幸が連続して起こるのか」というのも、これで説明がつく。日常起こる平平凡凡なことは記憶に残らないけど、めったにないこと、特に「不幸」は記憶に残る。本当は不幸の間に「平平凡凡な出来事」が挿入しているのに、記憶の中では「不幸の連鎖」が残るわけだ」 御影 「ほう。ゆーことは、あんたが考えとったことが書かれとぉわけやな」 フジモリ 「そうだね。この本を読んで、自分の理論に自信がついた。さらに面白いことに、この本では「不幸の持続時間」についても示唆している」 御影 「持続時間?」 フジモリ 「不幸ってのは、持続時間が長い。例えば交通事故に遭ったとき、入院、警察の手続き、相手との話し合いなどでその出来事が終息するまで時間がかかる。そのたびに、不幸自体は一回でも「ああ、不幸(不運)だな」と思うわけだ。その間が長ければ長いほど、次の不幸に会う確率も高い。それに、幸運よりも不幸のほうが記憶に残る時間は長い。「1万円拾った、ラッキー」という幸福の持続時間より「1万円落とした!」というショックのほうがあとあとまで引きずるだろ?(当社比)そういう意味も含め不幸ってのは持続時間が長いんで、次の不幸に会う確率も高くなる。そうやって、「不幸の連鎖」が起こるわけだ」 御影 「まあ、言われてみればそうやな、と思わんでもないな」 フジモリ 「もちろんこれ以外の原因もあるけど、これである程度説明がつく。話が大幅にそれたけど、この本、「数の魔法使い」はこういう疑問を解いてくれる手助けになるし、普段不幸が続いて困っている人は読んで欲しいな」 御影 「数とゆーとるけど、数学にあまり縁のない人にこそお勧めの本やな。・・・で、この本読んで、あんたが月曜日に早起きしても会社に遅く着く理由はわかったん?」 フジモリ 「逆(遅く起きたら起きた時間の差以上に遅く着く)ならわかるんだけどなぁ」 御影 「せやけど、なんで月曜だけ早起きするん?」 フジモリ 「ああ、ジャンプの発売日だから」 御影 「買うて会社に行って読むん?」 フジモリ 「いや。コンビニで立ち読み」 御影 「(ぴくっ)・・・で、どれぐらい立ち読みしとん?」 フジモリ 「内容にもよるけど…だいたい30〜40分ぐらいかな」 御影 「それが原因やろぉがぁっ!!」 |