フジモリの脳内ラビリンス

〜a labyrinth in fujimori's brain〜

First bookshelf
川村邦光『地獄めぐり』



フジモリ 「さて、この本棚はフジモリが読み終わった本が並んであります」

御影 「あんた、本読むペース結構早いやんな。しかも乱読やし」

フジモリ
 「まあ、週1冊のペースは守りたいな。従って、この本棚どんどん本が増えてきます」

御影 「で、今回は?」

フジモリ
 「けっこう読むのに時間かかったけど、川村邦光の『地獄めぐり』」

御影
 「うわっ。めちゃめちゃディープやな。なんでこんな本買うたん?」

フジモリ
 「まあ、もともと民俗学には興味あったんだけど、直接的な原因はゲーム『俺の屍を越えていけ』をやったからかな」

御影
 「これカバーなしで読んでたら、絶対怪しい目で見られるな」

フジモリ
 「でも、内容はけっこうおもしろかったよ」

御影 「どのへんが?」

フジモリ
 「うーん。内容うんぬんというよりも、インスパイアされる部分が大きい。こういう本を読むと、内容から脱線していろんなことを考えられるからね」

御影
 「あんたの卒論みたいなもんやな。ライアル・ワトソンの『シークレット・ライフ』がもとネタの中国文学の論文なんてそうそうないで」

フジモリ
 「教授も評価に困ってたしね(笑)」

御影 「おっと、閑話休題や。で、今回はどんな変な話が浮かんだん?」

フジモリ
 「変なとは失敬な。まず、この本の概要を説明しよう。様々な文献、絵に描かれてきた『地獄』について考察し、地獄観の変遷について述べている」

御影 「もともと、『地獄』って仏教の概念なんよね」

フジモリ
 「そう。それが日本用にカスタマイズされている。この本を読んでまず思ったのが、『死』と『宗教』についての関係」

御影 「全ての宗教は、死から始まるってやつね」

フジモリ
 「死を恐れない人間はそうはいない。その恐怖を和らげるために宗教が生まれた。また現世で罪を犯したものは地獄に落ちる。地獄では無限の苦しみを味わう。人々は地獄絵図などから地獄の恐怖を感じ、罪を犯すことを避ける。いわば、地獄は警察みたいなもんだった」

御影 「そのココロは?」

フジモリ
 「『罰せられたくないから罪を犯さない』」

御影
 「うまい。確かに、極楽に行くために罪を犯さないという考えかたをする人は少ないもんね」

フジモリ 「だって、極楽に行ったって楽しくないから(笑)。地獄というのは非常にリアリティあふれ、身近に感じられる世界なんだ。でも極楽は人間の理解を越えた世界であり、非自然だ。欲望を捨て去ったのちに行ける世界が極楽なんだから、極楽では人間は欲望を満たすことはできないんだ」

御影 「ある意味地獄やね」

フジモリ 「だから、人々は『極楽へ行きたい』という気持ちではなく、『地獄に行きたくない』という感情から救いを求め、宗教を信じるようになっていったのかな、とおもったわけだ」

御影 「なんで法律を守るのか?『破れば罰せられるからだ』というのといっしょゆーことや」

フジモリ 「まあ仏教は輪廻転生で生まれ変わるからいいけど、死んで死にっぱなしの宗教もあるし、そういうところでは余計死後の恐怖があるんだろうね」

御影 「でも、この本読んでおもったんやけど、宗教ってほんまに女性蔑視の思想なんやね。開祖が男性やからしゃーないかもしれへんけどや、地獄の思想にしたって、子供を産むための経血が不浄なもの(穢れ)とされ、自然を穢したとして『血の池地獄』に行くわけや。かといって、子供を産まない女性は『うまずめ地獄』が待っている、と」

フジモリ
 「弁護するわけじゃないけど、昔は経血が子供を産むためのものだということがわからなかったからなぁ。こういう話題はデリケートなんであまりしたくはないけど、母系社会から父系社会になって以降、男性による執拗なまでの男尊女卑の思想が始まった。もともとは『命を生むことが出来る女性は(死んでも換えがきく)男性によって守られることが、種の保存として一番効率的だ』という考えだったんだろうけど、いつのまにか『女性は外に出るな』という考えにすりかえられてるし。こういう考えって、積み重ねられてきたものだから、一朝一夕で『女性を差別から解放しよう!』なんていっててもどこかでひずみが出てしまう。女性である自分を周囲の差別から解放したいと考えるのではなく、種としての女性を差別から解放したいという考えぐらいはもってほしいと思うわけだ」

御影 「誰に言っとんや、誰に。まあ、TVで女性解放をアジっている人達に言ってるってことはニュアンスでわかるけどな(笑)」

フジモリ
 「うーん。地獄の話から、かなり脱線してしまった。まあ、これがフジモリの読書スタイル、ということで。では、次の本が置かれるまで、しばしの休憩を」

御影 「はぁっ!しまった!」

フジモリ 「な?どうした?」

御影 「この話、オチがない!」

フジモリ 「オチつけてどうするっ!」



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