| フジモリの脳内ラビリンス
〜a labyrinth in fujimori's brain〜 Fifth bookshelf フジモリ、ジョジョを語る(その2) |
御影 「さて、フジモリも重い腰をようやく上げました。今回は荒木飛呂彦「ジョジョの奇妙な冒険」第2部についてのコラム、「フジモリ、ジョジョを語る(その2)」です」 フジモリ 「このタイトル、「ホーキング、宇宙を語る」のパロディだって知ってた?」 御影 「知るか!開始早々、あほなこと言ぅな!真面目に語るんやろ、ジョジョについて」 フジモリ 「そうだね。今回は第2部、昭和62年から平成元年まで週刊少年ジャンプに掲載された部分をとりあげることにする。単行本では5巻後半から12巻までです」 御影 「ジョジョ好きな人は、この部をナンバーワンに挙げる人も多いなぁ」 フジモリ 「うむ。第1部から受け継がれた部分と、それ以降に受け継ぐ部分がうまく融合している。では、順を追って、第2部について語っていこう」 御影 「また名台詞集か?」 フジモリ 「いや、今回は、名シーン集」 御影 「(第2部を読み直す)・・・なぁ」 フジモリ 「うん?」 御影 「名シーンって、絞れる?これ?」 フジモリ 「いっそのこと、頭から全て解説しちゃおうか?」 御影 「んな、無茶な・・・」 <名シーン1> ジョセフ・ジョースターVSチンピラ(5巻、p193〜) フジモリ 「第2部はジョナサン・ジョースターの死から49年後。舞台はニューヨーク。ジョナサン・ジョースターの孫であるジョセフ・ジョースターは祖父譲りの波紋を身につけている。エリナおばあちゃん、黒人のスモーキーとともにレストランに入ったときに、チンピラと喧嘩になったシーンだ」 御影 「ここで、ジョセフがチンピラのメリケンサックの場所を言い当て、そして「おまえの次のセリフは、「何でメリケンのことわかったんだこの野郎!」という!」という名台詞を言うんやな」 フジモリ 「このシーンは、ジョセフという新ヒーローを印象付ける名シーンだ。力に力で対抗するんではなく、ずる賢く、トリッキィに立ち回れる策士・ペテン師の主人公だというイメージを読者に与える。この戦いは、今後の第2部のスタンスを象徴する戦いともいえるね」 御影 「一本気で「紳士」な第1部の主人公、ジョナサン・ジョースターと正反対な主人公やな、ジョセフって」 フジモリ 「しかし、ジョナサンからその「魂」と「波紋」を受け継いでいる。第1部の「波紋」と「石仮面」という設定を受け継ぎながら、全く違う主人公とストーリィを紡ぐ物語、それが「ジョジョの奇妙な冒険」第2部だ」 <名シーン2> ヘルクライム・ピラー(8巻、p101〜) 御影 「ワムウとの戦いで完敗したジョセフは、心理的駆け引きにより1ヶ月後の再戦猶予を取り付けてんけど、そこで「死の結婚指輪」をはめられる。ジョセフとシーザー(ツェペリの孫)は、師匠リサリサのもと、波紋の特訓を始める。そこでまず与えられた試練は、油で塗られた円柱を上る、「地獄昇柱(ヘルクライム・ピラー)」やった、ゆぅシーンや」 フジモリ 「当時の週刊少年ジャンプのモットーは、「努力・友情・勝利」だった。当時のマンガでは修行とか特訓とか入っていたんだが、「ジョジョの奇妙な冒険」もその例外ではない。しかし、そこでのジョセフの試練のこなし方も、真正面から向かうのではなく頭を使った上り方だった。当時の思想を取り入れつつも、独自の表現をしていく荒木飛呂彦氏の才能を垣間見ることができるね」 御影 「でも、第3部以降の人たちって、「努力」ってしてへんよなぁ」 フジモリ 「思うに、成長を「進化」と捉えてみると、ダーウィンが唱えた進化論、「環境に適するように努力した生物が生き残る」という考え方が第2部までの「努力による成長」だとすると、最近の進化論の主流である「突然変異で生まれた生物のなかで、環境に適した生物が生き残り、種として成長していく」という考え方、これが当てはめられているんじゃないかな。強敵との「戦い」によって主人公たちは成長していく。承太郎の「時止め」、仗助の「物体巻き戻し」、ジョルノの「肉体部品作成」などなど。これはいわば、「突然変異」と「自然淘汰」だからね」 御影 「か、考えすぎちゃうか?」 <名シーン3> ジョセフVSエシディシ、ロープトリック(9巻、p57) フジモリ 「特訓により成長したジョセフとエシディシの戦い。ジョセフが2重に張ったロープでエシディシを倒すシーンだ。この戦いで、第2部の評価が決まったといっても過言ではない」 御影 「相手の裏の裏をかく戦い。手に汗握る頭脳戦やねぇ」 フジモリ 「力と力の戦いではなく、頭脳と頭脳の戦い。「波紋」と「柱の男の能力」、それぞれのルールに沿ったこの戦いは、のちの第3部、「スタンドバトル」に受け継がれていく。そして、この戦いの最後でジョセフが言った言葉、 「去りやがれ!何万人もの人間を殺して得たそのパワーのほとばしりとともに!」 には、第1部から受け継がれた「ジョジョの奇妙な冒険」のメインテーマである「人間賛歌」を示す、とても重要なメッセージがこめられている」 御影 「この戦いがジョセフ対エシディシというミクロな戦いではない、ゆぅことを表現した興味深いセリフやな」 フジモリ 「そう。「人間」と「柱の男」という構図を、ここで読者に再認識させている、ということだね」 <名シーン4> シュトロハイム復活のシーン(9巻、p154) 御影 「これは名シーンゆぅより名台詞やな。 シュトロハイム「ナチスの科学は世界一チイイイイイ!!」 名台詞のオンパレードは相変わらずやな」 フジモリ 「これも第1部から受け継いでいる部分だね。印象的な効果音・セリフは、映画を彷彿とさせる。こういう、いい意味で奇妙奇天烈な部分は、他のどの漫画家にも真似できない部分だね」 <名シーン5> シーザー・ツェペリVSワムウ(10巻、p65) フジモリ 「うう、シーザーぁぁぁ」 御影 「これが有名な、「フジモリが居酒屋で後輩にこのシーンを説明しながら号泣した事件」の元となる戦いやな」 フジモリ 「ゆ、有名かどうかはさておき、号泣したことは事実なんで何も言うまい。間違いなく、第2部で1,2を争う名シーンだよ。シーザーとワムウの息詰まる頭脳戦。勝利を収めたワムウから「解毒剤」を奪い取ったシーザー。 「おれが最期にみせるのは代代受け継いだ未来にたくすツェペリ魂だ! 人間の魂だ!」 と言い残し、最期の波紋で鮮血のシャボンを作る」 御影 「それを割ろうとしないワムウ。 「くれてやる・・・ 人間のようにセンチになったからではない・・・ おれにとって強い戦士こそ真理・・・・・・勇者こそ友であり尊敬する者!! おれはおまえのことを永遠に記憶のかたすみにとどめておくであろうシーザー」 「シャボン玉のように華麗ではかなき男よ」(言いながら、遠ざかる) シーザーの死に様、そしてワムウの戦士としての「敬意」、この戦いにはすべてが凝縮されとるな」 フジモリ 「うううぅぅぅ」 御影 「また泣いとるわ」 <名シーン6、7> ジョセフVSワムウ(11巻、p47) 御影 「そして、シーザーの弔い合戦となるジョセフVSワムウ、やな」 フジモリ 「第2部で最もかっこいいキャラクタは、ワムウだと思っている。ワムウという「戦士」の戦いは、読む者を惹きつける力がある。相手の裏の裏をかきながら一進一退の攻防を繰り広げるジョセフとワムウ。この戦いでの名シーンは、ジョセフがシーザーの遺品であるバンダナを使って勝利するシーンだ。 「ワムウ、きさまは戦士としてはスゴかった・・・。 しかしおれにはシーザーという強い味方が最後までついていたのさ」 シーザーとジョセフとの「友情」。「孤独」な戦士であるワムウに勝てた勝因は、ジョセフが「孤独ではない」ことを証明するシーザーの形見のバンダナだった。シーザーが受け継いだツェペリ魂は、しっかりとジョセフが受け取っていたことを、過剰なセリフなく表現している。前述のシーザーVSワムウの戦いのテンションを引き継ぎ、さらにそれを越えているこのシーンも、第2部で1,2を争う名シーンだ。そして、消え行くワムウに対するジョセフの敬礼。 ワムウは風になった・・・・・・ ジョジョが無意識のうちにとっていたのは「敬礼」の姿であった・・・・・・ 涙は流さなかったが 無言の男の詩があった・・・・・・ 奇妙な友情があった・・・・・・ ワムウというキャラは、シーザー、そしてジョセフともに敗北をしている「越えなくてはならない壁」であった。そして、その壁を越えたジョセフがとる「敬礼」。この部分が、第2部の一つのクライマックスだと言えるね」 御影 「それにしても、荒木飛呂彦って、魅力的な敵キャラを書くんがほんまに上手やなぁ」 フジモリ 「第1部のDIOといい、ね。第1部のときにも話したけど、魅力的な敵がいるからこそ、主人公が活きてくる。そしてそれら個性的なキャラクタに負けないストーリィを生み出している。「キャラクタ」「ストーリィ」「世界設定」、全てが良くできていて、しかもバランスが取れている」 御影 「淘汰激しい週刊少年ジャンプで長期にわたって人気なんも、頷けるわなぁ」 <名シーン8> ジョセフ対究極生物カーズ(12巻、p159) フジモリ 「そして、最後の戦いだ。エイジャの赤石によって究極生物となったカーズとジョセフとの戦い」 御影 「ワムウは戦士やってんけど、カーズってめっちゃ外道キャラやんなぁ」 フジモリ 「だね。DIOを彷彿とさせる。純粋な戦士と戦士の戦いから、今度は究極生物となったカーズから逃げるというストーリィ。いわば、ホラーだね。そこの切り替えがうまいし、最後にジョセフが赤石をかざすシーンで「生命」という言葉を使い、「ジョジョの奇妙な冒険」に流れるキーワードを「逆転」の因果として用いた。読者は究極生物カーズに恐怖し、圧倒的な強さに絶望し、そして生命の大車輪によってプッシュされたジョジョの直感でカーズを地球から追い出したことに対し、カタルシスを得るわけだ」 御影 「確かに、ワムウが究極生命体になっても「恐怖」はせんもんなぁ。「悪役」のカーズだからこそゆぅシーンやなぁ」 フジモリ 「これは、カーズが「人間の善悪を超越して」いて、ワムウは「人間らしかった」キャラだったからなんだろうね。ラスボスとしては、前者の方が適役だからね」 御影 「なるほど」 フジモリ 「そして、ジョセフは無事生き残る。このあたりの演出も見事だね。ハッピィエンドというのをよく心得ている」 御影 「でも、いったんは死んだと思って騙されたやろ?」 フジモリ 「ま、リアルタイムにジャンプを読んでいた当時はね・・・」 フジモリ 「というわけで、名シーンを取り上げ、「ジョジョの奇妙な冒険」第2部の魅力について語ってみました」 御影 「ほんまは名シーンなんてもっとあんねんけどなぁ。なんでこんだけなん!」 フジモリ 「うう。苦情はフジモリまで・・・。しかし、第2部は第1部から「受け継いだもの」をさらに強化しながら、第3部へ「受け継いでいくもの」をその端々に見せている。ジョセフとともに、第3部へと続いていくわけだ」 御影 「まあ、今回で「波紋」は書ききったんやろうなぁ。波紋編の集大成ゆう感じやな」 フジモリ 「第2部が最高峰だとする人は多いけど、読み返すと、肯定まではいかなくても「うんうん、そういう意見もアリだね」と思わせる勢いとパワーがある、そんな作品だね」 御影 「・・・ぷはぁ。にしてもやっぱめっちゃ語ったなぁ。書くんに気合がいる気持ちもわかるわぁ」 フジモリ 「第3部はもっと大変だぞ。巻数でいってもこれまでとは比べ物にならない。ま、語るのは楽しいし、頑張って(その3)を書くとしよう」 御影 「読み直すんだけでも一苦労やけどな(笑)」 フジモリ 「ではto be continued !!(バァァァーンッ!!)ジョジョ風に!」 御影 「前回と同じオチをすなっ!」 |