| フジモリの脳内ラビリンス
〜a labyrinth in fujimori's brain〜 Third bookshelf 21世紀に残したいマンガ(その2) |
フジモリ 「さて、前々回、「21世紀に残したいマンガ」というコーナーでいろいろとマンガを取り上げましたが、今回はその続きです。まだまだ21世紀に残したいマンガは多いので、今回もそのうちの一部を紹介したいと思います」 御影 「今回も偏っとんちゃうやろな?」 フジモリ 「確かにマイナなマンガもあるが、「名作」だぞ。今回は、わかる人が見たら「そうそう」と頷くような「21世紀に残したいマンガ」をメインに進めていきたい」 「アフタヌーン」より フジモリ 「まずは、講談社発行の雑誌「アフタヌーン」より。マイナな雑誌だけど、それだけに読者に左右されない骨太な作品が多い」 御影 「この雑誌、めっちゃ厚いやんな」 フジモリ 「ちょっとした電話帳なみ。立ち読みは不可能だね。ただ、あのインクの濃さは何とかしてもらいたいなぁ。読むと手が真っ黒になる(笑)」 寄生獣(全10巻、岩明均、講談社) フジモリ 「最初は、この雑誌を読んだことのない人でも聞いたことがあると思う、「寄生獣」というマンガだ。「ヒトという食物連鎖のさらに上に立つ存在が現れたら?」ということをテーマに、偶然一つの体に同居することになった新一と寄生獣「ミギー」との共同生活、そして「寄生獣」との戦いを描いている」 御影 「ある種「生命賛歌」を描いた作品やな」 フジモリ 「特筆すべきは寄生獣でありながら人間に興味を示す、田村玲子 。その生き方は、狩られる側の人間と狩る側の寄生獣との間に立つ。彼女の存在がこの作品に深みを増しているし、単なる「エイリアンに対する戦い」を描いていないのだ、ということを認識させられる。テレビでよくある「ライオンに狩られるシマウマを見て「可哀想」と言うアホな芸能人」もぜひ読んでほしいな」 御影 「この作品、殺人シーンや寄生獣の変形シーンがかなりグロテスクやな」 フジモリ 「この作品が表紙の時は、「子供が見たら夢に出るな」と思ったよ(笑)。そういえば、映画「ターミネーター2」はこの作品をパクったって話は有名だね」 地雷震(全19巻、高橋ツトム、講談社) フジモリ 「渋い作品を。刑事、飯田響也が冷徹に犯罪者を追い詰める、ハードボイルド漫画。こういう重い現代作品は他にはないということで、取り上げました」 御影 「ほんまハードボイルドな作品やな。取り扱う事件も、「洗脳」「少年犯罪」「受験にまつわる親同士の確執」など、時事ネタ満載や」 フジモリ 「この作品の目玉はやはり、主人公飯田響也の存在感。犯人逮捕のためなら仲間の死も、そして自身の死も省みない。凶悪犯は容赦なく射殺。その虚無感が、物語を一層重厚にしている」 御影 「絵柄も特徴的やな」 フジモリ 「筆を使っているのかな。黒を多用し、一見荒っぽいかのように見えるタッチは物語の救いようのない雰囲気と非常にあっている。「ヘヴィな漫画が読みたい!」と言う人にお勧めだ」 御影 「これ、フジモリが「ドラマ化してほしい作品」のNo1なんやんな?」 フジモリ 「ああ。ただし、飯田響也をやれる俳優は日本には存在しないだろうね。ハードボイルドという点でいうなら織田裕二や木村拓也でもいいんだが、少しでも人間味があったらだめだからね。多分ドラマ化は無理だろうし、なったとしても見ないよ」 御影 「き、厳しいなぁ」 菫画報(全4巻、小原愼司、講談社) フジモリ 「最後はライトな作品を。「やるときはやる、やらないときはやらない」女子高生、星之スミレが主人公の学園漫画。新聞部が舞台」 御影 「画風も、内容も、ちょっとかわっとるな」 フジモリ 「ほのぼの、といえばいいのか、シュール、といえばいいのか。独特の雰囲気を出している。そういえば「最終兵器彼女」の巻末で高橋しんもこの漫画を読んだ、と描いてあったぞ」 御影 「マニアックにマニアックを重ねるな!」 「週刊少年サンデー」より フジモリ 「前回だけでは取り上げきれなかったけど、この雑誌も名作が多い。今回はその中で3作を取り上げる」 御影 「今回も趣味丸出しやな」 究極超人あーる(全9巻、ゆうきまさみ、小学館) フジモリ 「天才科学者が世界制服のために作った人造人間、R・田中一郎。己の目的を達するために、とある学園に入学するところからこの物語が始まる・・・」 御影 「こう書くと、なんかめっちゃシリアスなように思えるな(笑)」 フジモリ 「確かに。物語はシリアスとは無縁な世界。学園を舞台にした、ほのぼの漫画。さっきの「菫画報」に通じるものがあるけど、こっちはもっとコメディ要素を強めにしている。なにげない日常なのだが、ほのかな面白さが浮き出る、何度も読み返してしまいたくなる秀作だ」 御影 「そういえば、この作品、「日本SF大賞」を受賞したんやんな」 フジモリ 「そう。SF作品じゃないのにね(笑)」 機動警察パトレイバー(全22巻、ゆうきまさみ、小学館) フジモリ 「同じ作者の、今度はシリアスな近未来ものの作品だ。レイバーと呼ばれるロボットに乗り込む機動2課の面々が主人公の話。「あーる」から受け継がれたほのぼのさと、シリアスなストーリィがうまく調和した作品」 御影 「登場人物がみんな個性的やねんな」 フジモリ 「特に敵役だね。内海や黒崎はフジモリの中の悪役ベスト3に入る。特に内海は、一見人のよさそうなおっさんに見えるけど実は策略家。機動2課の後藤と同じタイプだけに、二人の腹の探りあいも面白い」 御影 「アニメも良かったやんな」 フジモリ 「そうだね。そうだ、パトレイバーの主題歌にも一票入れとかなくちゃ。♪こんでぃしょん、ぐりーん〜」 御影 「歌わんでええわっ!」 タッチ(全26巻、あだち充、小学館) 御影 「前回とりあげそこねた名作やな。双子の兄弟、上杉達也と和也が幼馴染の朝倉南のために甲子園を目指す話や」 フジモリ 「この作品についてはもはや言うことは何もないね。決勝戦で新田に最後の一球を投げるシーン、これは漫画史上に残る屈指の名シーンだ。アニメも良かったし、漫画のほうもぜひ一読してほしいね」 「週刊少年ジャンプ」より 御影 「この雑誌は名作の宝庫やからなぁ」 フジモリ 「今回もややずれた名作を紹介しよう」 ドラゴンクエスト ダイの大冒険(全37巻、三条陸/稲田浩司/堀井雄二、集英社) 御影 「おお、これは名作、そして大作やなぁ。魔王を倒すために立ち上がった勇者ダイとその仲間たちの冒険と成長を描く話や」 フジモリ 「この「成長」がこの物語の一番のテーマだ。特に、ポップという魔法使い。最初はよわっちくて情けないやつなんだけど、戦いを経て、能力的にも精神的にもだんだん強くなっていく。この物語は、ポップの成長物語といっても過言ではない!」 御影 「ほ、ほんまか?」 フジモリ 「ドラゴンクエストというゲームを題材としながら、まったく別の、それでいてドラクエの雰囲気を損ねない、当時のジャンプの主翼を担った名作だ。物語的にも破綻も強さのインフレもなく、ある意味「ドラゴンボール」よりも物語としてまとまっているな」 御影 「また、そんな過激な発言を・・・」 THE MOMOTAROH(全10巻、にわのまこと、集英社) 御影 「なんでこれが名作やねん!」 フジモリ 「名作だぞ。桃太郎の子孫を名乗るプロレスラーが主人公の、ギャグ格闘漫画だ。登場人物も個性あふれ、「モンガーダンス」などの名ゼリフもある。プロレスの中身自体は良く描けているし、ギャグに比重がおかれながらもストーリィ性も深い。ジャンプの中ではいぶし銀的な漫画だったな」 御影 「「モンガーダンス」って、名台詞か?」 フジモリ 「とまあ、今回もやや偏りながらも21世紀に残したい名作を紹介してみた。もちろん、これら以外にもまだまだあるんで、随時紹介していこう」 御影 「なんか、前回よりもマニアック度が強くなったと思うねんけど」 フジモリ 「うっ。次は多分大丈夫だ、と、思う」 |